顧客VOICE:愛される商業施設であり続けるために。アプリと店頭カメラの相乗効果でOMOの未来を描く実証実験がスタート

「mozoワンダーシティ」は愛知県名古屋市にある人気ショッピングモールです。


公式アプリの開発をアイリッジが担当する同施設で、2021年11月27日より新たな試みが始まりました。

 

イベントスペースにオープンしたポップアップストア「mozo SUSTAINABLE PARK」では、顧客体験向上を目指した実証実験が行われています。

 

この実証実験には、アイリッジのアプリマーケティングツール「FANSHIP」と、アイリッジが出資するFlow Solutionsの店頭カメラソリューションが採用されています。


ストア内に設置された合計9個のカメラから取得したオフライン行動データと、「mozoアプリ」のチェックイン機能から取得したアプリの顧客IDとを紐づけることで、オフラインとオンラインを統合しながらの顧客行動分析を目指します。

 

実証実験の意図やアプリで目指す商業施設の未来について、「mozoワンダーシティ」を保有する日本都市ファンド投資法人の資産運用を行う三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社の加藤様にお話を伺いました。

 

 

 

サステナブルを大事にした、ライフスタイル提案型の商業施設

―今回初めてmozoワンダーシティに伺いましたが、実証実験のテーマでもある「サステナブル」をすごく大事にされている施設なんですね。

まだ台数は少ないですが、EV車の急速充電設備を入れています。また、電力に再生可能エネルギーを選ぶなど、施設自体でもサステナブルに取り組んでいます。
そういったハード面に加えて、お買い物を通じてサステナブルなライフスタイルを提案していけるような施設を目指しています。


―では改めて、貴社の事業内容と加藤様の所属部署の役割を教えてください。

当社は、日本都市ファンド投資法人と産業ファンド投資法人という2つの投資法人の資産運用をしています。
私は、このうち日本都市ファンド法人の所有する商業施設を担当する部署に所属していて、各商業施設の資産価値を高めていくことが役割です。


―資産価値を高めるとは、どういうことでしょう。

物件から上がってくる収益をアップさせることです。
収益の基本は賃料なんですが、各テナントの売上に連動するので、これをあげる必要があります。
また、集客力などの面で商業施設として評価が高まれば、出店希望のテナントさんを増やしたり賃料をあげたりできます。
そのために、施設のブランディングや、施設から提供できる価値を増やすことに取り組んでいます。

 

 

 

 

実証実験でめざすのは、OMOがつくる商業施設とテナントのより強固な関係性

―今回の実証実験プロジェクトには、加藤様はどういう形で関わってこられましたか?

全体像は博報堂さんに提案いただき、私はプロジェクトメンバーの選定や実行するためのスキーム作りを行いました。
それから、ファンドとしてこの実験にどんな意義を見出すかを整理したりしました。

―この実証実験のきっかけは何だったのでしょうか。

競合施設が増える中、これから先も選ばれ続ける施設になるために何が必要なのかを、博報堂さん含めmozoに関わるメンバーでディスカッションをしたのがきっかけです。


―そこで、サステナブルというキーワードが出てきたんですね。

そうですね。これまでもmozoとして、サステナブルを大事にしてきました。
一方で、今まで感覚でやっていたものを、デジタルを活かして数字で追えるようにしたいと考えました。
その数字を我々施設側だけでなく、テナントさんにもフィードバックできるプラットフォームを作りたかったんです。
そうすると、テナントさんからも選んでいただける施設になるんじゃないかと。
その両面から、サステナブルに特化してデータを取ってみてはという話になりました。

―今回のプロジェクトでは、サステナブル以外に「OMO」もキーワードになっていますね。もともとOMOを意識されていたんですか?

そうですね。OMOをやろうというのもありました。
社内でも、これだけの来客数があるのだから、データをとって活用していくべきではないかという声があり、それも後押しになりました。

―今回、チェックインの仕組みにもアイリッジで開発したアプリをご利用いただいています。オンライン・オフラインを統合していくためには、アプリも必要だというお考えでしょうか。

おっしゃる通りですね。アプリは会員証機能に加えてお客さんへの発信もできるし、購買以外のリアクションもわかりますよね。
今までカード型の会員証はあったんですが、より響くプロモーションをするにもアプリが必要ではないかと思い、2020年2月に導入しました。
そしてアプリは情報取得のベースですので、全国の他施設にも展開させてもらっているところです。

 

―ありがとうございます。

今回、アプリにPOSレジを連携させて、より深いデータが取れるようになっています。
施設運営者としてアプリで取れるデータは、一般的にはどの店舗で幾ら買ったかだけです。
でもこの連携によって、何の商品を買ったかにまで踏み込んだ情報が取れるので、我々としてはとても新しい試みなんです。
小売りメーカーさんでは当然されていることではあるんですが、商業施設がここまで細かく情報をとって分析するのは、結構新しいことなのではと思っています。

 

―この実証実験では店頭カメラとアプリの連携でデータ計測をしていますが、今後どういう活用を考えていらっしゃいますか?

アプリとQRコードやビーコン・店頭カメラなどを組み合わせて、購買に至る前の行動データをとっていきたいと考えています。


―そうして計測したデータを各テナントさんにフィードバックしていく、その準備段階としての実証実験なんですね。

理想はそうです。テナントさんに対してデータの分析結果をフィードバックできるシステムを構築して、それ自体をmozoに入居することの付加価値にしたいんです。

 

―イベントスペースから始めて、最終的にはmozo全体に広げていかれるということですね。

そうですね。このパッケージが有効なら、mozoだけではなく別の施設にも広げていきたいと思っています。

 

 

会員数12万人を超えるアプリを使ったコミュニケーション施策で、平日の集客増を実現

―加藤様はmozo アプリの開発当初から関わってこられたそうですが、こだわりの機能などはありますか?

自前のポイントを貯められるところと、アプリ上で決済できるところですね。
ただ決済機能については成功したと言い切れない部分があって…。手数料などの関係で、指定のクレジットカードを作ってもらう必要があるんです。
お客さんの利便性を考えてこだわった機能なのですが、そこがハードルになってあまり利用数が伸びていないのが残念です。
でも今アプリ会員が12万7千人*くらいいるので、決済機能がもっと広がるようなことを今後考えていきたいですね。
*2021年12月20日時点

 

―今回の実証実験に向けて、mozoアプリにイベント参加機能を追加していただきました。今後もこの機能を使ったイベントなどは企画されていますか?
 ※イベント参加機能:QRコードを読み込むとポイントが付与される機能

例えば、館内のあちこちにQRコードを配置したスタンプラリーができますね。
他にも、mozoでは過去にエコバッグをプレゼントしてきたんですが、それを使い続けてもらう方法を考えていました。それがこの機能を活用すれば、お会計の際にエコバッグポイントが付与できるようになると思うんですよ。

あとは、これまでアナログでやっていた、期間中に複数店舗で購入するとポイントが付与されるイベントにも導入したいです。
スタンプカードや複数枚レシートを集めるやり方だと、運営側もお客さんも結構大変なんですよね。

 

―お買い物する側からしても、各テナントのレシートを何枚も保管するよりもスマートになりますね。参加率も上がりそうです。

我々としてもその分、他のところにマンパワーを割けます。
そういう点も、アプリに期待してるところですね。

 

―アプリをこういった商業施設で使っていく上で、ここが良かったなというところはありますか?

良かったのは、データをタイムリーに取れるようになったことです。
カード型の会員証だと、データは毎月PM(プロパティマネジメント/不動産経営代行)会社にお願いして出してもらう必要がありました。
それが、今はアプリ利用者の売上や入会数・年代別の会員数まで、現地にいなくてもタイムリーにわかるんですよ。
それはアプリを入れて良かったことですね。

 

―そこはデジタルの強みですね。

分析も細かくなりました。例えば競合の施設ができた時に、どこの地区の人の来館が増えた・減ったということも、今までよりぐっと早く分析できるようになりました。
他の位置データなどと掛け合わせて見ることも可能になりました。

 

―そういった分析ができると素早い施策が打てそうです。

年間購入額による会員ランク制度を作れるようになったのも、すごく良かったです。
アプリ上で会員ランクを表示したり、ランクごとの限定イベント開催やプレゼントができるようになりました。
カード型の会員証だと、会員ランクを見分けるのがとても手間ですよね。

 

―確かに、カード型の会員証でランク分けされているものは、見たことがないです。

他にも、毎月5の付く日にアプリ利用者限定でクーポンを配布していて、すごく好評なんです。
アプリ会員がその日を狙って来てくれるようになりました。
これはアプリの機能ではないですが、こういうイベントによって土日以外の来館者数を増やすことができています。

 

―アプリはコミュニケーションが得意ですからね。

プッシュ通知などで、たくさんの情報が送れるようになったのも大きいですね。
これまではお客さんに直接情報を届けるためには、紙のDMを送るかメルマガを送るかしかなかったんです。
今では、アプリの通知をONにしてくれているmozoのファンの方々に、タイムリーに情報を伝えられるようになりました。
そういうことがしたかったのも、アプリが欲しかった理由のひとつです。

 

 

アプリとともに目指す「心地いい」施設づくりで、人からも地域からも“愛される”

―アイリッジで今どういうサポートをさせていただいているか、教えてください。

今は、当社が管理する別の施設への展開を進めているところです。
mozoで良かったこと・悪かったことをふまえて、別物件への展開の提案をいただいています。
あとは、アプリを使って売上や収益を上げるためのKPI設計といった戦略的なアドバイスや、各指標の目標数値などを一緒に考えていきはじめているところです。

 

―今後アプリで実現したいことがあれば、可能な範囲でお伺いできますか?

本当はお客さんとの双方向のコミュニケーションがしたいんですよ。
アプリでやることが良いのかはわかりませんが、「mozoがこうだったらいいな」みたいなことをみんなが話せるコミュニティがあって、それを実現していければ面白いなと。
お客さんにもっと自分たちの施設だと感じてもらえるんじゃないかなぁ…。

 

―最後に、貴社が顧客に愛されるために大切にしていることを教えてください。

やっぱり、人や地域に優しい・心地いい施設づくりですね。
「心地いい」は大事にしたいなと思っています。

 

―サステナブルもその一環なんですね。

そうです、ほんとに。なんとなくここで時間を過ごしたいな、と思ってもらえる場所であり続けたいです。
時代に合わせた心地良さを常に提供できる施設であれたらいいなと…まぁ理想論ですけどね(笑) 理想が無いと動けないので。

 

―今回mozoにお伺いしたのはこの取材のためでしたが、プライベートでもまた来たくなりました。

あぁ、ぜひ来てください!

 

―ありがとうございました。

 

 

▼「mozo SUSTAINABLE PARK」の体験レポートはこちら

 

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