保険業界でのTechnology活用(InsTech)事例
金融業界でのTechnology活用「FinTech」が盛り上がっていますが、保険業界でのTechnology活用「InsTech」も動きが活発化しそうです。
これまでも保険会社や保険代理店などが、様々な形でスマートフォンアプリを展開してきました。
保険の契約・請求管理や、各種保険商品の検索、自動車保険の事故報告などがメイン機能ですが、その他の分野でもTechnologyを活用した動きもでてきています。
ウェアラブル機器を活用した健康増進支援
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険
ヘルスケア関連のウェアラブル機器を多種展開するアメリカのFitbit社と共同で、保険契約者にウェアラブル端末を配っています。
健康保険組合から提供された健康情報と端末からの活動データを解析することで、疾病と活動データの因果関係の分析を進めるようです。
まずは、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険の約3,000人の社員を対象に、分析結果を元に健康増進の支援を行っていくようです。
保険料の算出でのビッグデータ活用事例
「健康年齢少額短期保険」
これまで主流だった年齢によって保険料を算出する方法から、医療ビッグデータの解析をもとにした健康年齢※1 という指標により保険料が算出されるようになります。
この医療ビッグデータは、㈱日本医療データセンターから提供されているそうです。
年齢・性別に加えて、健康診断で計測する12項目の指標が保険料の算出に活かされています。
「ネオファースト生命保険:カラダ革命」
第一生命グループのネオファースト生命保険が2016年12月より発売を開始した「カラダ革命」は、同じく㈱日本医療データセンターのデータを活用した健康年齢※1を元に保険料を算出する保険です。
3年毎に健康年齢を再判定します。
健康(健康年齢)を維持することで、より保険料が安くなる仕組みとなっています。
※1「健康年齢」は㈱日本医療データセンターの登録商標です。
海外ではさらなる活用事例があるInsTech
2015年に創業したInsTechスタートアップ保険会社の「Lemonade」アプリはスマートフォンベースのUI/UXが特徴です。まずは家財保険のローンチからスタートしました。
既存の保険サービスをアプリ化したのではなく、ゼロベースからスマートフォンでの動作を考えて構築しているため、非常にシンプルなのが特徴です。
実際の契約までの流れは、チャットBotの質問にYes/Noで答えていくだけ。見積りや加入手続きが数分で完結します。
また、AIを活用した不正、詐欺の自動検知も行うなど、ほとんどのプロセスがアルゴリズムで自働化されています。
ローンチから8ヶ月で14,000契約を獲得しましたが、加入者の8割が25-45歳の若いデジタル世代とのことです。
Trovも2012年創業のスタートアップ企業です。
こちらは保険会社ではなく保険代理店として、スマートフォンベースで家電やカメラなどの動産に対するマイクロ保険を販売しています。
分単位で保険がかけられるなどの特徴があり、これまで既存の保険会社が対象外としてきた物品を対象とし、若年層などを取り込むことに成功しました。
保険会社にとっても新たなチャネルとして歓迎されているようです。
保険商品は保険業法などの規制があり、日本では海外ほどダイナミックな動きは作りにくい環境です。
しかし、ユーザーのスマートフォン利用の一般化や、AIやチャットBot・医療ビッグデータなどのTechnologyの進化などから、保険会社各社も積極的にIT企業などとの提携を発表しています。
今後日本でもInsTechの普及が進んでいくのではないでしょうか。