【身近なOMO】NIKE BY SHIBUYA SCRAMBLEから学ぶ新しい店舗のかたち
こんにちは。マーケティンググループの角田(つのだ)です。
日が落ちるとジャケットや上着が必要な気温になってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
11月1日 渋谷スクランブルスクエアの開業と同時に、「Nike Live」のアメリカ国外初出店となる「NIKE BY SHIBUYA SCRAMBLE」がオープンしました。
Nike Liveは、店舗周辺のNikeメンバーから得られる意見や会員データをもとに、その地域の顧客ニーズに合わせた商品や体験を提供するNikeの新しいコンセプトストアです。
オンラインデータとオフラインデータの連携で、店舗での快適な体験をすることができそうなので、さっそく行ってみました。
Nike Liveを体験してみた
0. 事前準備
① 公式のNikeアプリをインストール
② 会員登録
それではお店へ向かいます。
1.顧客ニーズに合わせて変化する、店内ディスプレイ
Nike Liveを表現する店内ディスプレイは、2週間に1回テーマが変わります。今回のテーマは “ ヨガ ”。
この店内ディスプレイは、近隣(渋谷)エリアの会員データをもとに、その時の顧客ニーズに合わせて変更されます。
店舗側が押したい商品ではなく、顧客の興味がある商品・欲しい商品をディスプレイする新しい試みで、今後のディスプレイテーマがどのように変化していくのか楽しみです。
2.スマホでサイズ管理「Nike Fit」
自分の足のサイズと幅をデータでアプリ内に保存し、商品選びに活用することができます。
さっそくスタッフの方に足の計測をお願いしました。
① スタッフのスマホアプリで計測
② 計測結果確認
③ 自分のNikeアプリで計測結果のデータを受け取り、データ登録完了
初めは大まかなサイズで、実際のフィッティングと購入を重ねることで、より精緻な数値に修正されるとのこと。
実際には、たった数秒で両足の幅の違いなど細かく計測できているなと感じました。
(両足の幅が3mm違い…!)
3.商品情報・在庫情報をアプリで確認
店頭で気になる商品をチェックする時にも、Nikeアプリが活躍します。
① Nikeアプリを起動して商品のバーコードを読み取る
② 商品の詳細情報、自分の適正サイズの在庫確認
たとえばスタッフが捕まらなくても、商品の素材やおすすめポイント、サイズごとの在庫状況を知ることができます。
シューズサイズは自分のNike Fitのデータに合わせて、その商品での適正サイズを自動選択してくれます。
また、店舗在庫はわざわざ自分が今いる店舗の選択を行わなくても、ビーコンによって自分が今いる店舗の在庫が自動的に表示される仕組みとなっています。
徹底的にユーザー目線のアプリ設計となっていて、不便さやストレスを感じることなくスムーズに商品購入まで行うことができました。
4.店舗でプチギフトがもらえる「デジタル自動販売機」
Nikeアプリをインストールしている会員なら誰でも無料でプチギフトを受け取れるデジタル自動販売機が店頭に設置されています。
① アプリ内のPASS QRコードを表示して、自動販売機で読み取る
② 欲しいギフトのタッチパネル上のボタンを押す(ギフトの中身は見えません)
③ 無料ギフトを受け取る
知らずに店舗の前を通る人もこのデジタル自動販売機に興味を示し、その場でNikeアプリに会員登録をしてギフトを受け取っていました。
このデジタル自動販売機は3週間に1回 商品が入れ替わり、新規会員獲得だけではなく、CRMを推進するためにも重要な施策であると感じました。
(写真は3人分のギフトです。)
総括
Nike Liveは、オンラインと店舗それぞれの良さを併用することで、会員登録から購買までのプロセスにおいて、顧客が満足感や利便性を得られる仕組みを作っています。
顧客に還元するためのCRM
CRMのためには顧客に関する様々なデータを収集、管理する必要があり、その手法の一つとして会員制度を設ける企業が多くあります。
一般的な会員制度はクーポン発行やポイント還元など商品購入を前提とした特典が多いのに対して、Nike Liveのデジタル自動販売機がユニークな点は、来店するだけで特典を得られる新しい形を提供していること。
店頭に目立つように設置されたデジタル自動販売機は、商品を購入せずに特典を得られるので新規会員獲得の施策であると同時に、定期的に中のプチギフトを入れ替えることで既存会員に対する再来店の動機づけにもなっています。
こうして獲得した会員の商品閲覧データや購買データから、顧客の趣味・嗜好性を予測し、予測結果を店内ディスプレイをはじめとしたNike Live全体に活かし、顧客へと還元しているんですね。
徹底した顧客視点の購買システム
商品を見つけてから購入までの流れにおいても、顧客視点での体験を提供しています。
一般的な店舗の場合、気になる商品の情報・在庫を確認するためには、スタッフを探して声をかける必要がありますが、Nikeアプリでは商品のバーコードを読み取るだけで、アプリ上から商品情報・サイズごとの店舗在庫を確認することができます。
アプリに表示される情報は自動的に今いる店舗と自分のサイズを選択してくれるため、操作がスムーズなうえに、そのまま店舗で購入することもオンラインで購入することも可能です。
顧客はその時の自分の都合に合わせて、購入場所を選択することができます。
最後に
先日Nikeは、自社製品をAmazonで販売しないことを表明しました。
製品を購入する顧客のデータを自社で集約管理することでデータの精度を高め、顧客のニーズに適切に応え、顧客視点のサービスを提供していくものと推測されます。
今後、Nikeが顧客の満足度、利便性をどのように向上させていくのかに引き続き注目していきたいと思います。
アイリッジでは 顧客データ、GPSやWi-Fi、Bluetoothから取得した位置情報を組み合わせたデータ活用方法のご提案が可能です。
データ連携の活用に関する詳細が知りたい方や、OMOのためのアプリマーケティングにお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください!