顧客VOICE:1年で2.8万DAUを作った相鉄線アプリ担当者に聞く、リアルの体験を向上するアプリの作り方

沿線の住宅地と横浜市中心部を結ぶ都市型鉄道として、横浜〜海老名間(本線)、二俣川〜湘南台間(いずみ野線)の旅客線と、相模国分〜厚木間(厚木線)の貨物線で営業している相鉄線。2019年11月30日からは相鉄・JR直通線が開業し、新宿方面への直通運転もスタートしています。

本インタビューでは、2018年12月にフルリニューアルを行った新アプリの企画から運用までメインで担当されている、相模鉄道株式会社 経営企画部 ICT推進担当の綱島 悠太様にお話を伺いました。

 

相模鉄道株式会社
経営企画部 ICT推進担当 綱島 悠太様

INDEX

失敗が許されない鉄道だから、実績とノウハウ量は重視したい
アプリで目指すのはインフラサービスとしての適切な情報発信
認知拡大目的で出したサブアプリも評判になってしまったこと
駅の仕事をするはずがアプリ担当に。でも反響のあるものづくりは楽しい
DAUを旧アプリ時代のほぼゼロから2.8万まで押し上げた、日々の丁寧な運用
電車もアプリも止めない。お客さまの安心安全を支えて“愛される”

 

失敗が許されない鉄道だから、実績とノウハウ量は重視したい

 

─アイリッジを知ったきっかけは東急電鉄様からのご紹介で、並行してコンペも実施されたとお聞きしていますが、選んでいただいた決め手はどのようなものでしたか?

アプリのリニューアルは2018年度の一大プロジェクトで、失敗は許されないものでした。そのため、アイリッジさんをはじめ、大手企業さんにも数多くお声掛けいたしました。

その中で、費用などの条件面はもちろん、プレゼン内容がしっかり組み立てられており、開発後の運用プランも見えていたこと、また、鉄道という特殊な条件もある中、東急電鉄さんでの実績からノウハウをお持ちの点などを総合的に判断いたしました。

 

アプリで目指すのはインフラサービスとしての適切な情報発信

 

 

─既存アプリをリニューアルすることになった経緯を教えてください。

従来のアプリは電車の写真が見られるなど、広報的な側面が強く、電車の利用に役立つものは時刻表を表示する機能程度でした。

各社が、列車走行位置や運行情報などをお客さまに提供するようになり、相鉄線アプリでも実装してほしいという声が高まったことを受けて、社内で検討を行いリニューアルに踏み切ることになりました。

─新アプリの一番の目的は何でしょうか。

インフラサービスとしての適切な情報提供です。

運行情報の提供などはいまや当たり前という状況になってはいますが、もっと力を入れてきちんと情報整備をしていかなくてはならないと考えています。

加えて相鉄線の認知向上にも役立てたいと思っております。

─リニューアルの際、こだわった機能はありますか。

まずは同業他社が対応済みの列車走行位置の基本機能については最低限揃えなければならないと思っていました。

その上で何を実装すべきか検討した結果、駅改札口の混雑状況を表示するStationViewやチャットボット、端末の言語設定に連動した多言語案内、振替輸送における迂回ルート検索など、当時他社にあまり見られなかった機能を追加しました。

迂回ルート検索は、輸送障害発生時、近郊他社の振替輸送を利用されるお客さまが慣れないルートで移動する際サポートするものです。

 

認知拡大目的で出したサブアプリも評判になってしまったこと

 

─日本語・英語・中国語・韓国語の4ヵ国語対応はいまもなかなか他では見られない機能ですね。あとは、鉄道アプリ本体とは別でゲームアプリを提供されているのも珍しいなと思いました。

「相鉄線で行こう」ですね。

せっかくゲームを作るなら鉄道らしいものを作りたいと思い、都市開発鉄道会社経営シミュレーションゲーム「A列車で行こう」を提供する株式会社アートディンクさんにコラボゲームを作りたいと飛び込みで相談したのがきっかけで誕生したアプリです。

相鉄線アプリ本体への組み込みも検討したものの、グラフィックの処理の問題などもあり別アプリで出すことになりました。

ただこの「相鉄線で行こう」が、同時リリースした本家の有料版「はじめてのA列車で行こう」のダウンロード数を上回る結果となってしまい、アートディンクさんが「誤算でした」とおっしゃっており、大変申し訳なかったです・・。

ダウンロード数は相鉄線アプリ本体と同じくらいありますね。これは我々としても複雑なところです(苦笑)。

 

当時を思い出しながら担当PMの木下と盛り上がる

 

─相鉄線アプリ本体も、リニューアル後はダウンロードキャンペーンを実施され、ロケットスタートを切られました。どのような工夫をされたのでしょうか。

相鉄線の運行情報を発信しているTwitterアカウントのフォロワー数が約10万人いたので、まずは10万ダウンロードを目標に、ニュースリリースや、駅貼り・中吊り広告・サイネージなどの鉄道広告、キャンペーンなどを実施しました。

また、「相鉄線で行こう」でも宣伝してもらえたことで多くのメディアに取り上げていただくことができ、沿線外の方や鉄道業界以外の方などにも認知が拡大できたのが良かったですね。

私自身も入社前はそうだったように、神奈川県外の方は相鉄線を知らない方が多いです。11月30日からのJR東日本との相互直通運転も一つのきっかけになりますが、まずは知っていただかないと始まらないと思っています。

 

駅の仕事をするはずがアプリ担当に。でも反響のあるものづくりは楽しい

 

─そんな綱島さんが相鉄線で働かれるきっかけになったのは何だったんですか?

私は中途採用なのですが、新卒入社した業界がなんとなく合わないなと思った時に、前から鉄道の仕事にも興味があったのを思い出して受けてみたのがきっかけです。

でも、鉄道会社に入ったのにこのような業務をやることになるとは思わなかったですね(笑)。

 

 

─(一同笑い)入ってからいままでの担当業務はどんなふうに変わってきたんでしょうか。

通常は、入社するとまず駅に配属されて駅係員を務め、その後試験を受けて乗務員になるのですが、私は駅の業務に興味があったので、2年目に駅業務の昇格試験を受け、別の駅の定期券売場を経験しました。

そして3年目、もう一つ上の職種への昇格試験でいい点数を取ったぞと喜んでいたところ、図らずも本社に異動となり、券売機や改札機、PASMOシステムなどの駅務機器の管理と機器取り扱いの講師を6年ほど担当しました。

講師については、駅がまるまる再現されたトレーニングセンターをCS向上の一環として整備するところから、そこで駅係員に教育するところまでを担当しました。

その後広報を4年経験した後、アプリ担当になり現在に至る、というちょっと特殊なキャリアを歩んできています。

─また駅に戻りたいと思ったりしないんですか?

うーん・・駅の仕事も魅力的ですが、いまの仕事が楽しいですからね。

アプリの話が来た当時、私は運行情報など他のシステムを多く担当しながら広報も兼務する状況だったので最初は正直及び腰だったのですが(笑)、アプリ専任としてやってほしいと言われて広報を外れアプリの仕事に取り組み始めました。

何かを作って、世間の人に使ってもらう事にとてもやりがいを感じます。これからも取り組んでいきたいと思っています。

この会社で自分が作ったものを探してみると、アプリはもちろん、電車内のドア上モニター、改札上の運行情報ディスプレイ・・と結構たくさんあって感慨深いですね。

 

DAUを旧アプリ時代のほぼゼロから2.8万まで押し上げた、
日々の丁寧な運用

 

 

─アプリの成長も牽引されて、リニューアル前はほとんどいなかったというアクティブユーザーを、現在DAUで2.8万以上、MAUで7万以上まで伸ばしていらっしゃいます。利用されるために心がけている運用などありますか。

運行情報はお客さまにとって重要であることを認識しているので、運行情報ディスプレイとアプリを連動させ、体制・システムともにリアルタイムな情報表示、素早い情報共有を心がけています。

例えば昨年10月の大型台風の接近時には、広報担当の協力の元、ティッカーの運行情報に関する注意喚起を6回以上更新しました。

─確かに、よく使われている機能を調べてみたところ以下のような結果となり、何かあった時の情報源としてアプリが活用されていることが見て取れました。

1位:列車走行位置 (11.97%)
2位:運行情報 (11.91%)
3位:お知らせ(ティッカー) (7.09%)

前回の台風の際には2日で1万2千ダウンロードくらい増えました。沿線人口に応じて多寡はありますが他社も同様の動きをされていたようです。

お客さまはその場で情報を知りたくてダウンロードされるケースが多いので、決して良いことではない、本来あってはいけないことなのですが、トラブルが予見される時や事故等で長く運転を見合わせるほど顕著に利用が伸びる傾向はあります。

─異常時にお客さまの重要なサポートになっているということですよね。気象等の影響が懸念される時は、どんな体制で臨まれるんでしょうか。

弊社の場合、台風や大雪など予めわかる時は警戒体制を発令し、安全推進部が先頭に立って各部署が24時間体制で対応にあたることになっています。

アプリについても我々ICT推進担当と広報担当が連携して、プッシュ通知やティッカーの対応に当たっています。

─インフラとしての安心安全に留まらず、本格ゲームの提供やマスコットキャラクター「そうにゃん」のキャンペーンなど、ファンを作る取り組みも積極的にされています。アプリの企画・運用はどのような体制になっていますか?

広報担当と宣伝担当とICT推進担当の3部署が関わっています。

情報共有をしながらそれぞれが責任を持って対応していて、異常時は広報担当、イベントや新商品・グッズ告知は宣伝担当、その他アプリ全体の管理はICT推進担当という棲み分けです。

最近、宣伝担当のメンバーが新しくなったこともあり、アイリッジさんにもFANSHIPの使い方など講習会をしていただいて、これからいろいろやろうと盛り上がっていますね。

 

電車もアプリも止めない。お客さまの安心安全を支えて“愛される”

 

 

─全体を通しての成功体験や課題などお聞きできますか。

お客さまからのご意見をいただくこともしばしばありますし、相鉄線アプリはまだまだ成長途上と思っています。

そのため、すべてのお客さまにご満足いただけるよう改善点を把握し、日々検討を重ねています。

一方、迂回ルート案内のおかげで飛行機に間に合いました、というようなお褒めの声やレビュー、Twitterで思いの外温かい声が多いのを見ると、改めて作って良かったと思いますね。

─相鉄線が愛されているからこそだと思います。顧客に愛されるために必要なこと、大切にしていることは何でしょうか。

有り難いことに、相鉄線は巷では災害に強い路線として評価していただけています。

台風や大雪のような異常気象時も極力列車を運転させる、何かあってもお客さまへのご迷惑を最小限に留められるよう早く復旧させる、というのは社員一同一番心がけていることだと思います。

そして、もしもの異常時にはアプリで素早い情報共有をすることですね。

─現状アイリッジではどのようなサポートをさせていただいていますか。また、サポート内容への満足度やご要望などもお聞かせください。

制作から運用まで幅広くお願いしていますが、細かいことにも柔軟に対応いただけてとても助かっています。

ICT推進担当は少人数ながらアプリ以外にも担当範囲が広く、業務多忙でアプリに手が回らない時もあるのですが、そういった時に私に代わってメーカー間の調整などやっていただくこともあり、これからもお願いしていきたいと思っています。

─終始笑顔で弊社担当との関係値もバッチリのようで安心しました。今日はありがとうございました。

 

(取材・文:下坂乃奈子/写真:石永孝士)

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