顧客VOICE:プライズでサプライズを。進化するアミューズメント施設「タイトーステーション」のアプリ活用
世界的な大ブームを巻き起こしたアーケードゲーム「スペースインベーダー」の開発から始まり、現在はアミューズメント施設「タイトーステーション」を全国に約160店舗展開している株式会社タイトー様。
2018年12月から店舗での体験を向上するためのタイトーアプリを提供開始し、最近では2019年11月に食×エンターテイメントの融合をコンセプトにした“イータテイメント”施設「EXBAR TOKYO」もオープンされています。
本インタビューでは、執行役員 社長室 室長の児玉 晃一様を中心に、アプリ推進を担当されているみなさまにお話を伺いました。
写真左から、オペレーション統括戦略室 店舗企画課 課長 下崎 成彦様、運営支援部部長 小坂 佳代様、運営支援部 運営支援課 課長 佐藤 亜矢様、コミュニケーション推進課制作係 WEB担当係長 平松 信宏様
マーケティング戦略と連動するために。アプリを支える合同チーム
─本日はお忙しい中たくさんの方にご対応いただきありがとうございます。みなさん同じ部署でいらっしゃいますか?
児玉様:小坂さんと佐藤さん、下崎さんがアプリに関わる店舗本部の部隊で、平松さんが広報の中でWebなどを担当しています。
私は社長室で広報やマーケティングなど全社的なところを見ています。
マーケティング戦略としっかり連動して推進していくために、アプリはこの合同チームで運営しています。
─アプリを開発するに至った経緯・背景を教えてください。
児玉様:もともとアミューズメント施設(ゲームセンター)事業は、企業ごとの差別化をはかることが難しい領域でした。弊社ではこれまで、紙の会員カードによる特典などで、ファンの獲得に取り組んできましたが、紙カードは携帯性の問題に加え、お客様への特典還元がしにくいという課題がありました。
また、現在でも現金で遊ばれるお客様が多く、データ収集の面でも課題がありました。アプリを活用することで、より深くお客様を理解し、ファン獲得への施策が打てるのではないかと考えました。
アミューズメント施設をより楽しんでいただくためのアプリの可能性
─現在のアミューズメント業界、またタイトーさまのアミューズメント事業の概況はいかがですか。
児玉様:アミューズメント(いわゆるゲームセンター)業界は、ここ数年持ち直してはいますが、緩やかな下降傾向にあります。
現在当社では、食とエンタメを融合した「EXBAR TOKYO(エクスバートーキョー)」や、スポーツとエンタメを融合した「NOBOLT(ノボルト)」といった新しい施設を展開し、エンターテインメントの拡張にも取り組んでいます。
その一方で、主力のアミューズメント施設事業においても、複数フロアで運営する大型の施設では、新しいお客様も増えてきている状況にあります。そのような中で「アミューズメント施設をより楽しめるツール」としてのアプリの可能性に期待しています。
─例えばクレーンゲームなど、思わずハマる難易度の設計や刺さるプライズ(景品)というところに独自の知見やノウハウがあるのでは、と想像していますが、実際どんな感じなのでしょう。
児玉様:プライズは上限価格が法律で決められています。
その価格をもとに、我々も赤字が出ず、お客さまも最後は笑顔になってプライズを持って帰っていただけるような、程良い難易度にするのが難しいところですね。
そこのノウハウを持っているのが小坂さんと佐藤さんです。
小坂様:お子さまが多いお店もあれば多様な方がいらっしゃるお店もあり、街により客層も異なるので、各店舗がお客様を見ながらそれぞれで一番楽しんでいただけるよう工夫しています。
同じクレーンゲームでもお店ごとに置き方が違うので、お店を変えて遊ぶとまた違った楽しみ方があるかもしれません。
プッシュ配信後のデータの動きから見える、熱狂的な顧客層
─顧客のロイヤリティを高めて、リピート回数を上げたり、もっと施設を利用してもらうようにするというところで言うとまさにアプリも得意領域ですが、現状アプリを通じてどんな取り組みをされていますか。
下崎様:アーケードゲームの新機種は1ヶ月から数ヶ月に1回の入荷なので、目新しさをアピールするまでのサイクルが長い傾向があります。その一方、クレーンゲームのプライズは毎日のように新商品が入荷するため、アミューズメント施設にとって重要なコンテンツとなります。
そのため「タイトーアプリ」では、プライズの入荷情報を逐一プッシュ通知で配信しています。プライズは基本的に再生産しないため、入荷から当日〜数日でなくなってしまうこともあり、二度と手に入りません。人気プライズの入荷日はお客様のご来店が集中します。
その他の施策としては、ご来店してチェックインしたことのあるお客様が1週間ご来店されなかった場合などに、プッシュ通知を自動配信しています。
─このプライズの集客力がすごかった、というのは何かありますか?
佐藤様:「鬼滅の刃」のプライズの時は開店前から列が出来て、ずっと並んで待ってプレイするお客様が多かったです。
「アイドリッシュセブン」も人気でした。
キャラクターによってファン層がガラッと変わるのが顕著で、「鬼滅の刃」は老若男女でしたが、「アイドリッシュセブン」はほぼ100%女性のお客様でしたね。
─アプリを提供開始されてから1年が経ちましたが、現状で感じられている手応えなどはありますか?
下崎様:「チェックイン」機能を活用し、ご来店ボーナスでポイントを配布しています。ポイントは、プレゼント応募や、ゲームに使えるチケットに交換して使われる方が多いです。アプリがご来店のきっかけになっているということだと思っています。
佐藤様:従来は、お客様がご自身でプライズの発売日をWebサイトで確認する必要がありましたが、アプリのプッシュ通知でリアルタイムに表示されるため、お客様にとっても店舗にとってもWin-Winなサービスとなっています。
海外と日本でやっぱり違う、アミューズメント&エンターテイメント
─外国人の方がプレイされる姿も見かけますが、海外と日本のアミューズメント業界、ゲームセンターは大きな違いがあったりするのでしょうか。
児玉様:アジア圏で言うと中国・韓国・台湾などでもクレーンゲームは人気ですが、日本のアミューズメント施設のような音楽ゲームなども含め幅広く取り扱っている施設は少ないです。
中国は日本に比べるともう少しキッズ寄りの施設が多いですね。
米国ではラウンドワンさんは展開していますが、いわゆるゲームセンターはあまりないです。
─海外ではエンターテイメントを楽しめるレストランも多くあるのに日本にはあまりない、ということで、銀座に食と遊を融合した“イータテイメント施設”「EXBAR TOKYO」をオープンされました。楽しみ方と詳しい決済方法を教えていただけますか。
児玉様:楽しみ方としては、セルフビアサーバーから18種類のクラフトビールが量り売りで飲めますので、少しずつ利き酒をしていろんな種類を試してから、好きな味のものを好きなだけ注いで飲んでいただくのがおすすめです。
腕のリストバンドをピッとサーバーに当てると注げるようになって、注いでいる間はガソリンスタンドのようにメーターが回ってリアルタイムで価格がわかるようになっています。
食事はお肉がやわらかくて人気なのと、ブルックリンリボンフライというリボン状にカットしたポテトなども楽しむことが出来ます。
会計は普通のレストランと同様、最後にまとめてのお支払いです。
エリアが2つに分かれていて、レストランエリアは基本コースメニュー、ガストロパブエリアはアラカルトメニューを気軽に楽しんでいただけるようになっています。
※後日、実際にご訪問してみました
日常的に使う管理画面だから使いやすさやサポートはとても重要
─またアプリにお話を戻します。アイリッジを選定いただいた理由や、現状どのようなサポートをさせていただいているかをお聞かせいただけますか。また、サポート内容への満足度やFANSHIPへの印象(使い勝手やこんな機能があったらいいのに等)、ご要望などもお聞かせください。
児玉様:選んだ決め手としては、これからデジタルマーケティング施策を強化したいので、まずポイントサービスがある点、あと現在やっていただいているGPSを使った分析が出来る点があります。
現状については・・平松さん何かある?ここたぶん褒めなきゃいけないところなんだけど(笑)
(一同笑い)
平松様:普段触れてるのは下崎さんのほうが多いでしょ。
下崎様:平松さんまだしゃべってないから。ここでしゃべっておかないと記事に出られないですよ。
平松様:出られなくてもいいんだけどなあ。
そうですね、FANSHIPについてはまだ使いこなせていない部分もありますが、データの分析などを深堀していけるツールなので、これからもっと活用していきたいと思っています。
あとは先日、こういう機能があったらいいのにという相談をさせていただいたら程なくして反映いただけたことがあって、サポートへの安心感もありますね。
─具体的にどんな対応をさせていただいたんですか?
平松様:管理画面のレポートでフィルタをかけてほしいところがあって、細かいところなんですが日常的に使う重要なところだったので、非常に助かりました。
佐藤様:導入時に管理画面の使い方レクチャーとかもしていただきましたよね。
平松様:クーポンの発行、ポイントの付与など、想定する使い方のマニュアルを作成して講習会を実施していただきました。
社内で作ったツールだとこうはいかないですが、専門の会社さんにお願いするとこういうサポートまでしていただけるのだなと勉強になりました。
アプリでも店舗でも「お客さまの夢中」を提供して“愛される”
─アプリの最終ゴールと、お客さまに愛されるために必要だと思うことや大切にしていること、今後の展望について教えてください。
児玉様:会社のミッションとして、笑顔や人とのつながり、驚きをお客様に提供していきたいというのがあります。アプリの情報から店舗で楽しんでいただいて、笑顔で帰っていただくという体験を提供したいですね。
小坂様:オペレーションのテーマが「お客様の夢中に私たちが夢中」なので、お客様に楽しくなっていただくことで、働く私たちも楽しくなるというのをモットーに運営しています。
─いつ訪れても楽しそうな人しかいないタイトーステーションの秘密がちょっとわかった気がしました。今日はありがとうございました。
(取材・文:下坂乃奈子/写真:松岡知美)