iOSアプリの開発に必要なものから手順まで徹底解説!開発の失敗要因も紹介
iOSアプリ開発は、スマートフォンで高品質なサービスを提供するために欠かせないスキルです。しかし、実際に開発するには専門的な知識やツールが必要で、準備が不十分だと失敗しやすいのも事実です。「何から始めればいいかわからない…」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、iOSアプリ開発を考えている方に向けて、必要な準備や具体的な手順をわかりやすく解説します。また、開発で陥りやすい失敗例もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
iOSアプリとは?
iOSアプリは、iPhone、iPad、iPod touchなど、AppleのiOSデバイス向けに作られたアプリです。まず、「iOS」とはAppleが開発した独自のオペレーティングシステムのことで、スマートフォンやコンピュータの“脳”ともいえる重要な部分です。このシステムは、タッチスクリーンやデバイスの機能を活用し、ユーザーの操作を理解して実行します。
一般的に「iPhoneアプリ」とも呼ばれるiOSアプリは、iOSに最適化されており、ゲーム、ビジネス、教育、ライフスタイルなど幅広い種類が存在します。iOSの強固なセキュリティや、直感的で使いやすい操作性を活かしたデザインにより、Apple製品との相性が良いのが特徴です。
iOSアプリとAndroidアプリとの違いは?
アプリは、App StoreやGoogle Playなどのストアからインストールする形式が一般的です。これらはいわゆる「ネイティブアプリ」と呼ばれ、代表的なのがiOSやAndroidの2種類になっています。続いてはiOSとAndroidの違いについて見ていきましょう。
開発数の違い
2018年時点で、iOSアプリは約160万、Androidアプリは約320万と、その数に大きな違いがあります。どちらも年々増加していますが、iOSアプリの数が少ないのは、Appleが「数」よりも「品質」を重視しているためです。Appleは厳しい審査基準を設けているため、iOSアプリの開発には高いハードルがあるのです。
一方、Androidアプリが多い理由には、Androidが多くのメーカーのデバイスに搭載され、さまざまな国や地域で広く利用されていることが挙げられます。Androidユーザーが多いため、開発者も複数の市場に向けてAndroidアプリを展開しやすくなっているのです。
シェア率の違い
iOSとAndroidのシェア率は、世界全体と日本国内で異なります。世界的には、Androidが約71%、iOSが約28%のシェアを占めていますが、日本国内ではiOSが約66%、Androidが約34%と、iOSのシェアが高くなっています。そのため、日本国内向けのアプリ開発を考えるなら、iOSアプリの方が多くのユーザーに利用してもらいやすいです。
Androidはカスタマイズ性が高いため、ガジェットに詳しい人には人気がありますが、iOSアプリは誰でも使いやすい操作性が特徴で、幅広い層に好まれる傾向があります。
難易度の違い
初心者にはiOSアプリの方が開発しやすいとされています。iOSアプリの開発にはAppleの専用ツールであるXcodeや、Swiftといった統一された開発環境があり、対象デバイスも限られています。この統一性により、動作確認や最適化が比較的スムーズに行えます。
一方、Androidアプリ開発では、JavaやKotlinといったプログラミング言語に加え、開発ツール「Android Studio」の使い方も習得する必要があります。また、さまざまなデバイスへの対応を考慮するために、デザインやデータベース操作、ネットワーク通信などの知識も重要です。
Androidアプリの開発については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
プラットフォームの違い
iOSアプリとAndroidアプリには、それぞれ異なるプラットフォームが使われており、設定や設計思想にも違いがあります。
iOSはAppleが提供する環境で、iPhoneやiPadなどApple製デバイス専用に設計されています。OSとハードウェアが統一されているため、動作の安定性が高く、セキュリティも強固なのが特徴です。
一方、AndroidはGoogleが提供するプラットフォームで、複数のメーカーが採用しているため、対応デバイスの種類や機能が豊富です。iOSは「統一性とセキュリティ」を重視し、Androidは「多様性と自由度」を重視するという違いが、それぞれのプラットフォームに表れています。
iOSアプリの開発に適しているプログラミング言語
iOSアプリの開発に欠かせないのが、プログラミング言語です。その中でもAppleが推奨するプログラミング言語が複数あります。続いてはiOSアプリの開発に適したプログラミング言語と、それぞれの特徴を見ていきましょう。
Swift
Swiftは、iOSアプリ開発に最適なプログラミング言語としてAppleが提供しているもので、シンプルで読みやすいコードが書けるのが特徴です。スクリプト言語の要素を持っているため、直感的で、複雑な処理も少ないコードで表現できます。そのため、エラーの発生が減るだけでなく、エラーが起きた場合も発見しやすくなっています。
また、Swiftは従来のObjective-Cとも互換性があり、既存のObjective-Cコードと組み合わせて使用できるため、古いiOSアプリにも徐々にSwiftを取り入れられます。さらに、Swiftは軽量でパフォーマンスも高いため、動作がスムーズなアプリ開発が可能です。
JavaScript
JavaScriptは、画像の拡大や検索機能など、スマホ操作に欠かせない機能を実現するためのプログラミング言語です。React NativeやVue Nativeといった豊富なライブラリやフレームワークがあり、iOSアプリ開発でも柔軟に活用できます。
さらに、JavaScriptは非同期処理に優れており、データ通信やリクエストをバックグラウンドで行いながら、スムーズな動作を維持できます。また、Web開発でも広く使われるため、JavaScriptを習得しておけば、アプリ開発以外にも活用できるのが大きなメリットです。
C#
C#はMicrosoftが開発したオブジェクト指向プログラミング言語で、もともとはWindows専用として設計されましたが、現在ではiOS、Android、Windows、Macなど、さまざまな環境で利用されています。この汎用性の高さにより、iOS以外のデバイス向けにも効率よくアプリを展開できるのが大きなメリットです。
また、Windows環境での開発がスムーズなため、Windowsユーザーにとって扱いやすい言語でもあります。他のプログラミング言語と比べて難易度はやや高めですが、C#を習得することで幅広い場面で応用できるスキルを身につけられるでしょう。
Python
Pythonはデータ分析や統計処理に優れ、AI開発でよく使われるプログラミング言語ですが、iOSアプリの開発にも適しています。シンプルでわかりやすい構文が特徴で、初心者にも習得しやすいのが魅力です。また、Pythonは多くのプラットフォームに対応するため、クロスプラットフォームでのアプリ開発が可能です。
特に「Kivy」というオープンソースライブラリを使えば、iOSとAndroidの両方で動作するアプリを一度の開発で作成できます。また、Pythonには機械学習やウェブ開発を支える豊富なライブラリやフレームワークが揃っているため、さまざまな機能を活用して柔軟なアプリ開発が可能です。
Dart
Dartは、かつてマイナーな存在でしたが、モバイルアプリ開発ツール「Flutter」の登場により注目されるようになりました。Flutterを活用すると、一度の開発でiOSとAndroidの両方で動作するアプリを作成できるため、プラットフォームの違いを意識することなく、高品質なアプリを効率よく開発できます。
さらに、Dartはシンプルで扱いやすく、コードの変更も簡単に行えます。現時点ではDartの需要はそれほど高くありませんが、アプリ開発の分野において、将来的に大きな可能性を持つプログラミング言語といえるでしょう。
iOSアプリの開発に適している開発環境
ここまでiOSアプリの開発に適しているプログラミング言語を紹介しました。iOSアプリ開発を成功させるためには、その環境も重要です。ここからは、iOSアプリの開発に適している開発環境とそれぞれの特徴を解説します。
Xcode
XcodeはAppleが提供するMac専用の統合開発環境で、Swiftを使ったiOSアプリの開発に最適です。特に「SwiftUI」というUIフレームワークを利用すると、少ないコードでアプリ開発ができるため、初心者にも扱いやすいのが特徴です。XcodeはSwift以外にも、C、C++、Objective-Cなど複数のプログラミング言語をサポートしています。
また、Xcodeには充実したテキストエディターやデバッグ機能が備わっており、エラーの発見や修正が簡単に行えるのも大きなメリットです。Xcodeは無料で利用できるため、まずはインストールして試してみることをおすすめします。
Xamarin
XamarinはC#を使ってiOSとAndroidの両方のアプリを開発できるオープンソースの開発環境で、その高い汎用性が特徴です。通常、iOSとAndroidではそれぞれ異なる言語や開発環境が必要ですが、Xamarinを使えば一括で開発でき、両プラットフォームへのアプリ展開がスムーズです。特に、iOSとAndroidの両方でアプリをリリースしたい場合に便利です。
Windowsで使用する場合は、「Visual Studio」にXamarinを追加インストールすれば、開発環境が整います。また、XamarinはiOSとAndroidのネイティブ機能にもアクセスできるため、一貫性のあるアプリを構築しやすいのも大きなメリットです。
Flutter
FlutterはGoogleが開発したアプリ開発環境で、Dart言語を使用し、iOSやAndroidで共通のコードを活用してアプリを作成できます。Flutterは独自のマテリアルデザインを採用しており、OSごとの見た目や操作感を統一することで、どのデバイスでも一貫性のある使いやすいアプリを提供します。
また、Flutterはクロスプラットフォーム対応で、iOSとAndroidのアプリを同時に構築できるため、開発効率が高まるのが特徴です。デザインやレイアウトの制約が少ないため、柔軟にカスタマイズでき、独自性の高いアプリも作成しやすいです。ただし、Dart言語の普及率は低いため、初心者にとってはiOSアプリ開発のハードルが少し高く感じられることもあります。
Appcode
AppCodeはJetBrainsが提供するiOSアプリ開発向けの環境で、柔軟なプラグイン対応やハンドコーディングによって、機能を簡単に追加・カスタマイズできます。実行やテスト、バグ修正のためのツールが統合されているため、効率的な開発が可能です。特に、初期段階でのコーディングエラー検出に優れており、バグ修正が迅速に行えるため、開発時間と労力を抑えられるのが大きな特徴といえます。
AppCodeはObjective-CやSwiftだけでなく、C++、JavaScript、XML、HTMLなどさまざまなプログラミング言語に対応しています。ただし、AppCodeはバージョン2022.3のリリースをもってサポートが終了しました。
React Native
React Nativeは、Meta(旧Facebook)が提供するJavaScriptを使ったクロスプラットフォーム開発環境で、iOSとAndroidの両方のアプリを開発できます。コードの大部分を共通化できるため、準備から構築、公開までの時間を大幅に短縮し、開発コストの削減とスピード向上が可能です。そのため、InstagramやShopify、UberEATSといった人気アプリでも採用されています。
また、React Nativeは豊富なプラグインが利用でき、多様な機能を簡単に追加できます。ただし、新機能の導入にはタイムラグが生じることがあり、特にOSのアップデート時には対応に時間がかかる場合があります。
iOSアプリを開発する際の手順
iOSアプリの開発に適したプログラミング言語と開発環境を把握したところで、続いては開発手順を見ていきましょう。iOSアプリを開発する際は主に、開発環境の構築→企画→設計→動作テスト→リリースの順で行います。
開発環境を構築する
アプリ開発の準備としてまず必要なのが、開発環境の構築です。iOSアプリを開発する際には、Appleが提供する「Xcode」の最新バージョンをMacにインストールするのが一般的です。他の開発環境を使う場合も、それぞれのメリットや特徴を踏まえて適切なものを選びましょう。
環境が整ったら、Apple IDを使って「Apple Developer Program」に登録し、アプリの実機テストの準備も進めます。App Storeでアプリを配信するには、「Apple Developer Program」への登録が必要です。
iOSアプリ開発の企画を練る
開発環境が整ったら、どのようなiOSアプリを開発するか企画を立てましょう。特に開発初心者にとって、この企画段階は難しい部分でもあります。アイデアを出す際には、日常生活で「便利にしたい」「面白くしたい」と感じることに注目し、それをアプリでどう実現できるかを考えるのがポイントです。
まず、アプリの目的やゴールを具体的に定め、誰が使用するのかターゲットを予測します。その上で、使いやすさ、デザイン、性能などの観点から、ユーザーに満足してもらえるか検討しましょう。しっかりと練られた企画は、クオリティの高いアプリ開発につながり、開発後の修正も減らせます。
iOSアプリを設計する
iOSアプリ開発における設計段階は、その後の作業に大きく影響するため、しっかりと画面設計図を作成することが重要です。わかりやすい設計図があれば情報共有がスムーズになり、開発も効率的に進みます。画面設計図の作成には、「Prott」や「Cacoo」といったツールが便利です。これらのツールを使うと、アプリの画面遷移や操作フローを視覚的に表現でき、デザインの修正も簡単に行えます。
ツールが使えない場合でも、手書きの設計図で対応可能です。手書きの場合も、画面配置やボタン位置が一目でわかるよう工夫することで、設計情報の共有がスムーズに行え、後の作業に支障をきたしません。
開発に着手する
設計が完了したら、画面設計図に沿ってソースコードを書き始めましょう。画面設計図は全体の流れを把握するための重要な資料ですが、不明確な部分や具体的な指示が不足している箇所が見つかることもあります。そのような場合は、自己判断で進めず、関係者に確認を取りながら作業を進めることが大切です。
動作テストを行う
開発がある程度進んだら、実際のiPhone上で動作テストを行い、アプリが正常に機能するか確認しましょう。テスト中にエラーやバグが発生することもあるため、その際は不具合箇所を特定して迅速に修正します。不具合を放置すると、完成後にさらに調整が必要になり、他の機能にも影響を与えかねません。
また、問題を放置することで開発期間が延びたり、コストが増加したりするリスクもあります。スムーズにiOSアプリ開発を進めるためには、開発全体の一定の進捗を確認しながら、アプリ実装の完了前に頻繁にテストを挟み込みましょう。問題が発生したら都度修正し、アプリの精度を高めていくことが重要です。
テスト完了後リリースする
動作テストが完了したら、iOSアプリをリリースしましょう。まず、「iTunes Connect」のアカウントを作成し、正式リリースに必要な「Apple Developer Program」への登録を行います。これにより、ユーザー向けの更新やサポートも可能になります。
登録が完了したら、アプリがAppleの基準を満たしているかどうかの審査を受けます。審査に通過すると、iOSアプリがApp Storeに公開され、リリースが完了です。審査には時間がかかる場合もありますが、ユーザーに信頼性の高いアプリを提供するために必要な手順となります。
iOSアプリ開発で失敗してしまう要因
iOSアプリの開発において、適切なプログラミング言語や環境を用意していても、失敗してしまうということは珍しくありません。よくある失敗要因を事前に把握しておくことで、初めての開発でも失敗が少なくなります。
要件定義が定まっていない
iOSアプリ開発でよくある失敗の原因の一つに、「要件定義が定まっていない」ことが挙げられます。要件定義とは、アプリの機能や目的、ターゲットユーザー、デザインなどを具体的に決める作業です。これらが曖昧だったり、抜け漏れがあったりすると、後の開発段階で仕様変更や追加修正が多発し、作業効率が低下する可能性があります。
また、複数人で開発を行う場合、メンバー間で認識のずれが生じると、完成しても期待通りのアプリにならず、満足のいかない結果を招く可能性があります。iOSアプリの開発を始める前に要件をしっかり固め、関係者全員で同じ情報を共有して進めることが大切です。
運用コストとランニングコストの見積もりがあまい
質の高いiOSアプリを開発するには、開発費用がかさみます。まず、運用コストの一部である人件費は、人数、作業単価、作業時間によって決まり、エンジニアの作業単価はスキルや作業の難易度によって異なります。ランニングコストには、ホスティングサーバーの利用料や保守費用が含まれ、アプリの規模が大きくなるとともに増加します。これらを十分に計画せずに進めると、想定以上のコストがかかり、開発に支障をきたすでしょう。
また、品質を高めたいと多機能を搭載しすぎると、開発予算を大幅に超えてしまうこともあります。リリース後のサーバー維持やバグ修正、機能追加にかかるコストも見込んでおくことが重要です。
すべてを自社内で完結しようとしている
iOSアプリ開発において、すべてを自社内で完結しようとすることが、失敗の要因になる場合もあります。内製で開発を進めると、スケジュールが遅延したり、技術力が不足したりしてアプリの品質が低下する可能性があるためです。
一方で、開発の一部または全体を外部に依頼することで、専門的な技術を持つプロフェッショナルのサポートを受けられ、質の高いアプリが開発できます。特に複雑な機能や高度な技術が求められる場合、専門の開発チームと協力することでスムーズに進行し、結果としてコストを抑えられることもあります。また、外注により自社のリソースを他のプロジェクトに振り分けられるため、全体の業務効率も向上します。
審査が厳しく基準を通らない
iOSアプリ開発では、App Storeで公開するためにAppleの厳しい審査を通過する必要があり、この基準を満たせずにリリースが遅れることがあります。審査では、セキュリティ、プライバシー保護、ユーザー体験の質が細かくチェックされます。たとえば、操作中のクラッシュ、リンク切れ、画像が表示されないなどの不具合があると、リジェクトされる可能性が高くなります。
また、アダルト要素や反社会的な表現が含まれている場合は、Appleのガイドラインに違反し公開が認められません。さらに、アプリの説明が不十分だとユーザーに誤解を与える可能性があり、審査で問題視されることもあります。
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また、独自のアプリビジネスプラットフォーム「APPBOX」により、アプリの開発・機能拡張・マーケティングまで幅広く対応し、外部サービスとの連携も可能です。iOSアプリで安定した運用やビジネス拡大を目指す際は、ぜひアイリッジをご活用ください。
まとめ:環境を整えてiOSアプリを開発しよう
iOSアプリを開発するには、まず安定した開発環境を整えることが大切です。企画や設計、動作テストなどの各段階をきちんと踏むことで、完成度の高いアプリが作成できます。また、開発の失敗を防ぐためには、要件定義の明確化やコストの見積もり、厳しい審査基準をクリアするための対策も欠かせません。さらに、すべてを自社内で完結しようとせず、外部の専門チームに依頼することも、効率的で効果的な選択肢です。
しっかりと環境を整え、適切な手順を踏むことで、質の高いiOSアプリをリリースしましょう。