アプリ運用が上手くいっていないなら見直してほしい「ユーザーステージ定義」の作り方
いま運用中のアプリの利用が伸びない、利用はされているけれど期待する効果につながっていない、そんな悩みをお持ちではないでしょうか。
そんな方向けに、ぜひ見直してほしい「ユーザー定義」の作り方をご紹介したいと思います。
「うまくいってないからすぐ改善したい」「業界で流行している施策やキャンペーンに早く取り組まなければ」と焦る前に、やったほうがいいのが「ユーザーステージ定義」です。
回り道のように思えるかもしれませんが、急がば回れの言葉通り、着実に一歩一歩改善を進めていきましょう。
上図がベーシックなユーザーステージ定義の一例です。
このように、アプリ未インストールのユーザーから最もロイヤリティの高いファンユーザーまで、定着度合いによって任意のステージ数に分け、課題や対策を整理するためのベースを作っていく作業です。
この中でも特に「定着ユーザー」の定義(上図のオレンジ枠の部分)がきちんと出来ていると、その後の改善への流れを理論立てて組み立てていけるようになります。
もちろん、上の例がそのまま当てはまる企業ばかりではありません。
ですので、自社のアプリに適切なステージをゼロから作っていく手順を知りたいという方は、ぜひご一読ください。
1. (事前準備)カスタマージャーニーマップ作成
ユーザーステージを定義するにあたっては、カスタマージャーニーマップを活用します。
まだカスタマージャーニーマップを作成していない方や見直したい方向けに、簡単に作成方法をご説明していきます。
もし既にカスタマージャーニーマップがお手元にあるという方は、「2. ユーザーステージ定義」から読み始めていただいて大丈夫です。
ここでは、冒頭のステージ例が当てはまりやすい商業施設アプリを想定して、「ペルソナ」「顧客行動」「メインシナリオ」の3つの項目から成るシンプルなカスタマージャーニーマップを作成します。
まず紙やパワポなどにざっと次の図のような枠を作り、「ペルソナ」にターゲットユーザーの情報を記入したら準備完了です。
- ペルソナ:事前に設定してあるペルソナ(顧客像)
- 顧客行動:ペルソナの行動を時間軸などで分けたもの
- メインシナリオ:ペルソナがアプリを活用していく大まかなストーリー
▼カスタマージャーニーについてはこちらもご参照ください
1-1. ユーザーの行動を整理する
それでは、「顧客行動」から埋めていきましょう。
初めに濃いグレーの部分で、時間軸を分けます。
商業施設アプリを例にとっていますので、ここでは「来館前」「来館中」「来館後」に分割しました。
次に、その下にオンライン・オフラインに関わらず、想定する顧客行動を記載していきます。
※この時、行動をなるべく詳細にイメージしておくと、のちのち施策や機能改修などを考える際に役立ちます。(上図ではシンプルにするため割愛しています)
例:プッシュ通知を受け取る時間帯
予約から来店までの日数
写真をシェアするタイミングはご飯を食べる前なのか後なのか など
1-2. メインシナリオを作成する
続いて「メインシナリオ」を作成します。
メインシナリオでは、先ほどの顧客行動に連動し、顧客がアプリを活用していく大まかなストーリーを組み立てます。
シナリオについては、ここではざっくりした粒度で構いません。実際のシーンを想像しながら埋めていきましょう。
2.ユーザーステージ定義
カスタマージャーニーがここまで完成したら、これを活用して本題のユーザーステージを定義していきます。
2-1. ユーザーの「定着ポイント」を設定する
ここが今回の記事で一番お伝えしたいところです。
「定着ポイント」は「定着ユーザー」の詳細ステージ(上図の「???」部分)を考えるために整理するべき、ユーザーの態度変容ポイントです(上図の「★」部分)。
これを見つけるためには、先ほどのメインシナリオを見ながら、何をしたら「リピーター」と言えるか、何をしたら「顧客」と言えるかを整理します。
具体的には、ユーザーの心境が「面倒だな」から、メリットを感じて「やってみよう」に変わるポイントがどこかを探します。
今回は、定着ポイントとして以下の3つのシーンを設定しました。
1.会員登録をして予約する時
2.アプリの決済機能を使用するために、クレジットカード連携を行う時
3.(店頭で確認し、ECで)商品購入をしたあとに、他の人に商品をおすすめする時
定着ポイントは、サービスやアプリ機能に合わせていくつ設定しても大丈夫です。
例えば、さらに機能の多い商業施設アプリでは「買い回りクーポンを利用した」タイミングや、「チャットで店員とやりとりした」タイミングなどが想定できます。