「~NTTデータ × へきしん デジタル戦略担当が語る~ 銀行アプリで成果を上げるポイント」ウェビナーレポートを公開!

非対面化の推進やデジタルチャネルでの顧客接点の拡大が大きな課題となる昨今、金融機関においても存在感を見せるのがスマートフォンアプリです。銀行をはじめ多くの金融機関でアプリ導入が始まるなか、

 

「運用や運営がうまくいかない」

「なかなかダウンロード数が伸びない」

「そもそもどうやってはじめたらいいのかわからない」

 

などの悩みを抱える人も決して少なくはありません。

 

そこで今回、実際に銀行アプリで成果をあげている碧海信用金庫と、アプリ開発・マーケティングのプロであるNTTデータ、アイリッジの3社が、アプリによる収益改善・コスト削減の事例・今後のトレンドなどについて、パネルディスカッションを実施しました。

 

本記事は、そのディスカッションの一部を再編集したものです。ぜひ、本記事を通じて、銀行アプリの導入方法や活用方法について、検討してみてくださいね!

 

■登壇者&ファシリテーター紹介

碧海信用金庫 デジタル戦略部部長 
水野 嘉大氏

株式会社NTTデータ 第二金融事業本部 しんきん事業部 事業推進担当 課長 
村本 晋一氏

株式会社アイリッジ ビジネスパートナー部 アライアンス戦略 グループ長 
内田 智英

株式会社アイリッジ 経営企画室 
下坂 乃奈子 ※ファシリテーター

 

接点拡大、生産性向上、地域プレゼンス向上。へきしんアプリ導入で得られた3つの効果

――まずは、碧海信用金庫様が「へきしんアプリ」を導入した背景を教えてください。

水野氏:信用金庫の強みである「店頭窓口」におけるお客さまとの接点が縮小している点に危機意識を持ったことがきっかけです。

一方で非対面チャネルであるホームページのアクティブ数は増加を続けていたことから、お客様との接点拡大を狙ってアプリ運営をスタートしました。

 

――アプリを導入して得られた効果にはどんなものがありますか?

水野氏:主な効果は3つあります。

1つ目はお客様との接点拡大です。現在、アプリダウンロード件数は12万5000件、アプリへの口座登録は5万7000件と、一定の規模まで到達しました。

 

2つ目は、営業店事務の軽減をはじめとする業務効率化および生産性の向上です。

現在では、アプリから毎月だいたい900件の各種手続きの申し込みがあります。

また、アプリ導入前と現在と比べると、インターネットバンキングの新規申し込み自体も2倍近く増えています。

そのうち約80%はアプリからなので、インターバンクの推進と営業店事務の負担軽減という両方に繋がっていると評価しています。

 

3つ目は、地域のプレゼンス向上です。

愛知県刈谷市に私達が企業協賛しているシーホース三河というプロバスケットボールチームがあり、アプリから優待チケットが購入できるなど、同チームとアプリの色々なタイアップ施策を展開しています。

お客さまからも評価いただいています。

 

運用前に知っておきたい! 銀行アプリ開発・運営の失敗談・成功談とは?

――では、ここからはパネルディスカッションに入っていきます。まず、1つ目のテーマとして、みなさんにアプリの成功談、失敗談を伺えればと思います。

水野氏:成功談はさきほどご紹介したので、苦労談としてキャンペーンについてお話します。

我々もアプリのダウンロード促進のために、特典を用意したさまざまなキャンペーンを行ったのですが、ダウンロードが伸びるときと伸びないときがありました。

その理由を振り返ったときに、キャンペーンだけではなく、アプリ内のコンテンツが重要だと気が付いた形です。

 

村本氏 :アプリは導入した後、しっかり成長させていくことが重要です。

そのためには、お客様の声を拾い、お客様にとって、また金融機関様にとって必要な機能をブラッシュアップしていく必要があります。

逆に失敗してしまうのは、アプリを導入したものの、何もせずに終わりとなっているケースです。

お客様の利用状況を分析するなどしながら、アプリを成長させていただければなと思っております。

 

内田:ユーザーにとってメリットがあるアプリが、使われるアプリだと思います。

たとえば、近年、流通業界ではアプリが会員証代わりになったり、アプリ会員になると割引価格で商品を購入できるなど、非常にメリットがわかりやすいです。

 

金融機関様の場合は、ユーザーにとってメリットのある情報提供も大事です。

たとえば、某金融機関さんでは災害で停電があったときに、お客様に「この日にこの公民館に行くと充電ができます」などという通知を配信されていました。

 

逆に失敗談としては、最新技術を取り入れた難しい機能を追加しても、さほど利用に結び付かないことです。

それより、ボタンを1個タップすると次のステップに進めるような、ユーザーにとってわかりやすい機能がある方が使われやすいですね。

ギミックに頼るよりは、インフラとしての価値やわかりやすさを大事にすることが重要だと感じます。

 

銀行アプリを運営する際、目標値はどのように設定するべき?

――では、2つ目のテーマは銀行アプリのKGI(重要目標達成指標)・KPI((重要業績評価指標)についてです。

村本氏:銀行アプリのKPI・KGIは、アプリのダウンロード数や実際に口座とアプリを紐付けているユーザー数など、アプリの目的に応じた定量的な目標値を設定した方がいいと感じています。

例えば、事務の削減を目的とするアプリなら、アプリからの手続き受け付け件数と、それによって削減できた時間を数値化して目標にするといいでしょう。

 

内田:KGI・KPIは、何を目的としたアプリなのかによって変わってきます。

例えば、アプリを通じて金融取引を増やすことが目的なら、アプリの保有率がKPIでもいいと思います。

とはいえ、最初からはっきりと目的を定められるケースばかりでもないので、アプリの成長のステージごとに最適なKPIを設定して、しっかりと振り返る活動が大事です。

――では、水野さんはへきしんアプリのこれまでを振り返っていかがでしょうか?

水野氏:いま、私たちは非対面での接点拡大を目標にしています。

それを評価するため、アプリ内でのお客様のアクションを計測する取り組みを始めたところです。

具体的にはGoogleアナリティクスやアイリッジ様のFANSHIPを活用した計測を行い、月次でお客様の行動がどう違うのかを分析しています

 

アプリ運用は、複数の部署での運営の方がうまくいく理由

――続いてのテーマは、運用体制についてですが、へきしんアプリはどんな形で運用体制を組まれていますか。

水野氏:企画担当、システム担当、顧客対応担当という三つの役割を三つの部署がそれぞれ担当している体制です。

企画担当が「やりたい」と言ってもシステム担当をOKしないとか、逆にシステム担当が「絶対やりたくない」と言っても企画担当の方が「やらなくちゃ」と主張するなど、お互い牽制しあえることろが利点だと思っています。

 

内田:アプリ運用を推進していくには、役員層の方に旗振り役として立っていただくことは大事ですね。

アプリの運用には多岐に渡る部署の関与が必要なので、リーダーシップが非常に大事です。

あと、時には外部の知見を持った会社とも連携すると、オープンイノベーションという観点でもよいと思っています。

 

村本氏:十分な体制を構築できているケースは少ないのが実情ですが、うまく進められている金融機関様は、複数の部署が連携してタスクフォースの形をとっているところが多いです。

 

成果向上には「使い勝手の良いアプリ」にするためのブラッシュアップが必須

――では、最後のテーマとして、今後の銀行アプリについてですが、「成果を上げるために」という視点でいかがですか。

水野氏:今後は、金融サービスを提供することを突き詰めていき、アプリで何でもできるという姿になるのが理想かなと思います。

ただ、ユーザーの視点では金融サービスのアプリは面白くないんですね(笑)。

少しでも面白みを持たせたり、地域と繋がるようなコンテンツも作っていけるといいなと感じます。

 

村本氏:一番重要なのは、お客様にとっては使い勝手の良いアプリにしていくことですね。

「実際、アプリの機能の充足度や使い勝手の良さが金融機関を選ぶポイントのひとつだと、当社のアンケート結果からもわかっています。

生活に溶け込む便利なアプリをご提供していくことで、アプリ活用が進むはずです。

 

内田:地域金融機関様に関しては、必ずしも全てアプリで完結させるのではなく、必要に応じて店舗で相談ができるなどのサービスも必要です。

そんな中で、アプリがコミュニケーションのハブとなることで、金融機関とお客様が長くお付き合いできるようになっていけるのではないかと考えています。

 

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