リピーターを獲得するメリット・方法・ポイント等を解説
飲食店や美容院などの実店舗から、オンラインで購入できる商品やサービスまで、売上アップの鍵を握る施策の1つが、「リピート客の獲得」です。
実際に、リピート客が新規の顧客を連れてきてくれたり、リピート客ほど1回あたりに使う金額が高かったりするなどの経験をしたことのあるオーナー様も多いのではないでしょうか。
実店舗・WEBサービスに関わらず、マーケティングの成功のためにはリピーターをどのように獲得し、どのように増やしていくかが重要なのです。
本記事では、リピート客の重要性やメリットを解説するとともに、リピート客を獲得する方法やコツ・ポイント、実際にリピート客の獲得に成功した事例をご紹介します。
リピート客に対する施策を打ち、売上拡大を目指しましょう。
リピーターが重要な理由
飲食店や美容院、アパレルショップなどの実店舗から通販サイトやWEBサービスの販売まで、一般消費者を相手にしている事業形態では、リピート客をどのように確保していくかが重要だといわれています。
ではなぜ、店舗やWEBサイトの運営ではリピート客の獲得が重要視されているのでしょうか。
その答えは、マーケティングの世界でよく唱えられている「パレートの法則(2:8の法則)」にあります。
パレートの法則とはイギリスの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した考え方で、売上に当てはめると「売上の80%は、20%のリピーターによって作られている」という意味になります。
実際は業種や店舗によってこの割合には差があるものの、リピート客によって大きな利益が生み出されていることは間違いないでしょう。
また、新規顧客の獲得には膨大なコストがかかるという点も、リピート客が重要視されている理由の1つです。
一般的に、リピート客獲得にかかるコストは、新規顧客の獲得に比べ5分の1程度といわれています。
新規顧客の獲得よりもリピート客の獲得に注力したほうが、効率的に売上を得ることができるのです。
リピーターを獲得するメリット
リピーター客を獲得することには、以下のようなメリットがあります。
- 集客のためのコストを削減できる
- 安定した売上を得られる
- 新規顧客の獲得につながる
- LTV(顧客生涯価値)が向上する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1 集客のためのコストを削減できる
前述したとおり、リピート客は新規顧客と比べ、低コストで集客することが可能です。
例えば新規顧客の場合、売上を上げるためにはまず店舗や商品、サービスについて知ってもらうための施策が必要です。
しかしリピート客であれば、すでに認知はされているため、集客コストも少なく済みます。
新商品やリニューアルをした際でも、リピート客であればすでに住所やメールアドレスなどの顧客情報を入手していたり、自店舗のアプリを利用してもらっていたりすることも多いため、DMやメルマガ・アプリのプッシュ通知などでダイレクトにお知らせを届けることができます。
そのため、新規顧客と比較して集客にかかるコストの差は一目瞭然です。
メリット2 安定した売上を得られる
店舗や事業の運営のためには、売上拡大を目指す前に安定した売上を確保することが重要です。
安定的に確保できる売上がなければ、新商品の開発はもちろん、新規顧客開拓の施策も打てないでしょう。
リピート客は、店舗や企業に対して好印象を抱いていることが多く、市場状況や店舗・企業の成長に関わらず、定期的に商品を購入してくれる可能性が高いです。
購入頻度や一度の購入額が高いのもリピート客のメリットです。
メリット3 新規顧客の獲得につながる
リピート客と新規顧客は一見切り離されたものに見えますが、実はそうでもありません。
リピート客は、店舗や企業にとっていわゆる「ファン」であるため、店舗や企業の広告塔になってくれる可能性があるためです。
ファン化したリピート客が店舗や商品を宣伝し、新たな新規顧客を連れてくる。
そしてその顧客がリピート客になり、さらに新規顧客を連れてくる。そんな好循環も起こり得るのです。
特に最近はSNSの普及によって、口コミの重要性が注目されています。
リピート客の口コミは、高い宣伝効果が期待できます。
メリット4 LTV(顧客生涯価値)が向上する
リピート客の獲得は、LTVの向上にも大きく影響します。
LTVとはLife Time Value(ライフ タイム バリュー)の頭文字をとったもので、顧客生涯価値と訳されます。
顧客1人あたりが生涯でその店舗や企業に与える利益を表す指標のことを指します。
LTVの向上は、店舗や企業の売上増加はもちろん、営業コストの削減、利益の安定化などさまざまなメリットをもたらします。
効率的で安定的な運営のためには、LTVの向上が欠かせません。
リピーターをうまく獲得できない理由
リピート客の獲得は難しいとされていますが、顧客が店舗や商品をリピートしないのにははっきりとした理由があります。
リピート客に対する施策を説明する前に、顧客がリピーターにならない理由を確認しておきましょう。
まずは、「商品やサービスに不満がある」場合です。
例えば自分が食べたいと思っていたメニューが用意されていなかったり、購入した商品が壊れていたりした場合、「もう一度利用したい」とは思いません。
商品のクオリティだけでなく、「接客態度が失礼だった」「サポート体制に問題がある」など、サービスに問題がある場合も顧客離れにつながります。
さらに、「リピーター施策がない」というのも、リピーター客が増えない理由の1つです。
新規顧客向けにクーポンの発行や割引を実施している店舗やサービスは多く、そちらに流れてしまう可能性があるためです。
顧客がリピーターになる理由
では反対に、一度店舗を訪れたり、商品を購入したりした顧客がリピート客になる理由にはどんなものがあるのでしょうか。
まずは、「リピートするメリットがある」ということです。
当然といえば当然ですが、顧客がもう一度利用したいと思えば、自然とリピート客になります。
顧客の期待を上回る商品やサービスを提供することや、顧客に感動や喜びを提供することが大切です。
また、「接触する回数が多い」というのも顧客が店舗や商品をリピートする理由になるでしょう。
実際、街中で広告をよく見かける・メールやアプリで定期的にお知らせが届くなど、タッチポイントの多い店舗に安心感を覚えてリピートした経験がある方も多いのではないでしょうか。
心理学でいう「単純接触効果」は、マーケティングの世界でも通用するのです。
リピーターの獲得方法
リピーターを獲得するための具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 初回の来店時・購入時に「共感」を得る
- リピーター客ならではの特別な体験を提供する
- 顧客の意見を反映させる
- 顧客同士に接点を持たせる
それぞれ詳しく解説していきます。
方法1 初回の来店時・購入時に「共感」を得る
まずは、初回の来店時・購入時に、顧客の共感を得ることが重要です。
例えば化粧品の通販サイトの場合、何のコンセプトがない化粧品よりも、「肌が弱い人でも使える無添加の化粧品」と記載されていたほうが、肌に悩みがある人の共感を得やすいでしょう。
コンセプトや開発ストーリーに共感して商品を購入する人も多いはずです。
リピート客獲得には商品やサービスのクオリティも重要ですが、同じくらい「共感できるかどうか」も大切になります。
方法2 リピーターならではの特別な体験を提供する
リピート客になってもらうには、特別な体験の提供も欠かせません。
特別な体験とは、例えば2回目の来店時のみ使える割引券や誕生月に発行されるクーポン、会員限定の割引セールなどです。
何度も利用するメリットが顧客に伝われば、自然とリピート客になってくれるでしょう。
反対に、初回しか使えないクーポンや割引ばかり用意されていると、顧客はメリットを感じられず、一度きりで離れてしまいます。
新規顧客ばかり重要視する店舗・企業だと思われ、イメージダウンにもつながりかねません。
方法3 顧客の意見を反映させる
店舗や事業を運営していると、顧客からのクレームや意見が届くことも多々あります。
良くない意見に気が滅入ることもあるかもしれませんが、顧客からのクレームや意見こそリピート客を増やすための機会と捉えましょう。
ほとんどの顧客の場合、商品やサービスに不満を感じた場合は何もいわずに離れてしまいます。
一方クレームや意見は、反映できればリピートしてくれる可能性があるのです。
中にはいたずら目的のクレーマーもいますが、そうでない場合はできる限り丁寧に対応し、今後に反映させることこそ、リピート客の獲得につながります。
また、直接店舗や企業に届く意見だけでなく、SNSやWEBサイトに寄せられた口コミが参考になることも大いにあります。
運営担当者は定期的にチェックしておくと良いでしょう。
方法4 顧客同士に接点を持たせる
店舗や企業のリピート客を増やすためには、顧客同士に接点を持たせることも効果的です。
顧客同士が交流して情報を交換することで、店舗や商品の良さを再確認したり新たな使い方を発見するなどの効果を生むことができます。
その結果、店舗や商品に対する愛情が深まり、さらなるリピートにつながります。
例えば、コミュニティサイトを作ったり、会員限定のイベントを開いたりすることなどの方法が挙げられるでしょう。
SNSで特定のハッシュタグを流行らせたり、商品の感想を顧客から集めて公開したりするのも、顧客同士の交流の一例です。
リピーターを増やすためのポイント
リピート客を増やすためには、一度来店したり商品を購入したりした顧客をリスト化し、セグメント分けした上で適切なアプローチを行うことが重要です。
顧客は日々さまざまな店舗や商品に触れているため、一度接点を持った店舗や企業でも、ほとんどの場合は忘れてしまいます。
しかしそんなときにアプリのプッシュ通知やメルマガで新着情報やクーポンが届いたら、思い出すきっかけになるでしょう。
単純接触効果について前述しましたが、接触回数を増やすためにも重要な施策です。
特にアプリのプッシュ通知はメルマガより開封率が高いとされており、接触回数を増やすには有効です。
プッシュ通知は顧客のスマートフォンのロック画面に通知を表示できるため、自店舗のアプリを利用していないタイミングでも通知を見て、自店舗を思い出してもらうことができます。
一方で、顧客が望まない頻度や時間帯・内容で通知を送ってしまうと逆効果にもなりかねません。
そこで行ってほしいのが、顧客管理とセグメント分けです。
例えば先月実店舗に来店した顧客と、半年前にオンラインで商品を購入した顧客では、状況やニーズが異なります。
的はずれなアプローチをしても、リピートにつながらないどころか不信感を抱いてしまう可能性もあるでしょう。
それぞれの顧客に合わせたアプローチが大切です。
顧客情報を管理する際には、初回来店日時や来店回数、頻度、購入単価、購入した商品を記録しておくようにしましょう。
顧客管理ツールなどを導入するのもおすすめです。
また、どんな施策を打つ際にも、パレートの法則(2:8の法則)を意識しましょう。
リピーター客は店舗にとって重要な存在であることを忘れず、施策を考えることが大切です。
リピーターの獲得に成功した事例
最後に、実際にリピート客の獲得に成功した事例を紹介します。
【事例①】居酒屋チェーン「塚田農場」の例
大手居酒屋チェーンの「塚田農場」では、ポイントカードを導入することで多くの顧客をリピート客にしています。
そのリピート率は、驚異の約60%。飲食店の中でもトップレベルといえるでしょう。
ポイントカードと聞くとありきたりな施策のように思えますが、内容はよくあるものとは一味違います。
塚田農場のポイントカードは名刺形式をとっており、来店する度に「主任」「課長」「部長」とランクアップしている仕組みになっていて、昇進するごとにお祝いのサービスが提供されます。
最近はアプリでもポイントカード機能が導入されましたが、そこでも名刺形式は継続しているそうです。
このように、オリジナリティあるポイント制度で、多くの顧客のファン化に成功しているのです。
【事例②】Tシャツ制作会社「プラスワンインターナショナル」の例
「プラスワンインターナショナル」は、オリジナルのTシャツを作れるサービスを提供している会社です。
プラスワンインターナショナルの主な顧客は、高校生や大学生です。
そのことを活かし、運動会や文化祭のシーズンに集中的にメールを配信しています
学生がメールを確認しやすいお昼の12時に配信しているのもポイントです。
1年中需要がある商品ではないのにも関わらず、効果的なタイミングでメールを配信することでリピート利用につなげている事例です。
【事例③】アメリカのホテルの例
店舗や企業において、リピーター獲得よりも大切なことはないと考えられているアメリカ。
そんなアメリカのとあるホテルは、顧客の80%以上がリピート客で、売上の大部分を占めています。
そこで実践されているのは、会計伝票と一緒に案内を渡す施策です。
新しいメニューやイベントの情報を案内する旨を伝え、会計時にメールアドレスを取得します。
定期的に案内を送り、リピートにつながったそうです。
さらにそのホテルでは、ロビーグリーター(ロビーでゲストに話しかけ、名刺を渡して挨拶する人のこと)を導入しています
。顧客に細やかな配慮ができるようになることに加え、顧客の意見を聞き出しやすくなります。
実際に一度宿泊した顧客がロビーグリーターに連絡してリピートにつながることも多いそうです。
いずれも「顧客との信頼を築く」といった点で参考になる事例です。
まとめ
本記事では、店舗や企業がリピート客を獲得する重要性やメリット、獲得する方法、ポイントなどを紹介しました。
マーケティングの世界では、「売上の80%は、20%のリピーター客によって作られている」というパレートの法則があります。
店舗や事業を運営する上で、リピーター獲得の施策は欠かせないということです。
実際にリピーターを獲得することは、コストの削減や安定的な利益の確保、新規顧客の獲得、LTVの向上などさまざまなメリットがあります。
リピート客を獲得するには、初回の来店時・購入時に「共感」を得る、リピート客ならではの特別な体験を提供する、顧客の意見を反映させる、顧客同士に接点を持たせる、などを意識した施策が効果的です。
顧客をセグメントした上で、それぞれの顧客に適切なアプローチを行うことも忘れてはいけません。
自社の店舗や商品の売上に悩んでいる場合は、まずはリピート客が増えない理由を分析し、自社に合った施策を始めてみましょう。