アプリ内行動データ×ユーザーリサーチから導き出す次の打ち手

「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」ことを使命とする名鉄グループは、愛知県・岐阜県を中心に、地域に根差したサービスを提供されてきました。

 

その中心を担う名古屋鉄道様が、地域の方々に活用されるエリア広域のデジタルプラットフォームとすべくリリースされたのが、アイリッジも開発支援を行ったアプリ「CentX」です。

名古屋鉄道様では、「CentX」を通じて地域の方々の「おでかけ」に役立つ利便性の高い情報を提供すべく、日々アプリを運営されています。

 

その一つとして行っているのが、アプリの利用データを活用した定量分析です。

分析結果からアプリ内施策や企画の立案、機能改善などを実施してきました。

 

しかし、利用データの分析だけでは把握しきれない部分があり、その解決のために名古屋鉄道様が選択されたのが「UXリサーチ」でした。

 

本記事では、UXリサーチの提案から実施のご支援までを担当したアイリッジ・グロースマーケティング部の清田ゆかりに、名古屋鉄道様との取り組みについて話を聞いてみました。

 

「ユーザーをもっと理解したい」UXリサーチ実施を決めた裏にある想いとは

—まず、名古屋鉄道様とアイリッジのお付き合いについて教えてください。

CentXアプリの開発支援をさせていただいたところからがスタートです。

CentXにはアイリッジのアプリマーケティングツールである「FANSHIP」が搭載されていることもあり、2022年3月のリリース後もさまざまな支援を行っています。

私が所属するグロースマーケティング部でも、オンボーディングやアプリ成長支援といったお手伝いをしてきました。

 

—今回名古屋鉄道様がUXリサーチの実施を決められた背景は何でしょう。

アイリッジでは、CentXアプリのリリース当初より、伴走支援を通して名古屋鉄道様とともにアプリ運用体制の確立を目指してきました。

その結果、アプリデータを利用して定量分析を行い、その結果を次の施策に活かすというフローを作り上げることができました。

具体的には、分析を行ってユーザーの利用傾向を割り出し、それに対してどうしてそのような傾向が出るのかという仮説を導き出すという流れです

 

—データを利用して、よりよいアプリ施策を実行するためのPDCAサイクルができていたんですね。

そうですね。アプリリリース1年目から、データ分析やデータ活用しながらPDCAに対しても取り組まれている姿勢には、ご支援する立場の私の方が学びをいただいているなと感じています。

とはいえ、数値データだけではどうしても仮説の域を出ないこともあり、確実な裏付けがとれないかという話になったんです。

そこで、ユーザー体験や本音を知ることができる「UXリサーチ」を提案しました。

 

—今回UXリサーチで調査したかったユーザーの体験や本音とは、何に対してですか?

アプリに限らずよくあることだと思うのですが、CentXでも機能によって利用率にばらつきが出ていたんです。

すべての機能は、名古屋鉄道様がユーザーの利便性向上を考えて設計されたものです。

なので、利用頻度が想定より低い機能について、その理由を把握したいということになりました。

 

—普段実施されている定量分析だけだと、理由の把握が難しかったということですね。

そうですね。数値データだと、どうしても仮説を導き出すところまでになってしまうので、仮説の裏付けを得るにはユーザーの本音に迫る必要があります。

CentXが提供するサービスの質を高めていくためにも、実際のアプリユーザーの利用目的や利用状況を理解し、解像度を上げていくことが重要だと考えました。

 

ユーザーの本音を引き出すUXリサーチは調査設計から

—では、今回のUXリサーチでは実際にどのように行われましたか?

調査の設計から始めました。

設計のための準備として、担当者の思い込みを排除するため、改めて私がアプリ内行動データの定量分析を行いました。

分析結果から今回の調査対象とする機能を絞り、その機能の利用率が低くなる要因について仮説を立て、それを実証するための調査設計を行ったという手順です。

 

—名古屋鉄道様が導き出された仮説を、あらためて清田さんでも検証して調査設計を行ったということですね。調査は何から始めましたか?

まずは課題の可視化を目的に、アプリ利用者にユーザーアンケートを行いました。

並行してヒューリスティック分析も行いました。

 

—ユーザーアンケートというのはイメージがつくのですが、ヒューリスティック分析という言葉は初めて聞いたので、簡単に教えてください。

ヒューリスティック分析というのは、ユーザビリティの評価手法の1つで、改善提案を目的に、あらかじめ決められたヒューリスティック(評価基準)を用いてウェブサイトやアプリなどのインターフェースの問題点を洗い出す手法です。

ヒューリスティックの例として、コンテンツの配置が適切かどうかやナビゲーションがわかりやすいか、操作が難しくないかなどがあります。

 

—なるほど、専門家の目線でアプリの使いやすさを分析するということですね。他にはどんな調査をしましたか?

ここまでの調査で重要課題を抽出し、それに対する仮説を立てることができました。

なので、次はその仮説検証のために、課題項目ごとにいくつかのセグメントグループをつくり、ユーザービリティテスト、デプスインタビューなど複数の調査を行いました。

 

—特に印象に残った調査はありますか?

ユーザビリティ調査では、アプリ利用ユーザーに実際にアプリを操作してもらい、感想や意見を聞きました。

実際のユーザーからインサイトを直接聞けたこと自体がすごく刺激になりましたし、今後に活かせるたくさんの気付きを得ることができたと思っています。

 

—なかなかそういう機会はないですよね。調査期間はどのくらい掛かったんですか?

調査の要件定義や設計から実施、分析完了まで含めると、だいたい3ヶ月半から4ヶ月ぐらいかかりましたね。

 

—想像よりもずっと長い期間、支援をされてきたんですね。

そうですね。この期間、全力投球で対応してきたので、終わったことに対する寂しさもありつつ、充実感が非常に大きいです。

 

UXリサーチを実施して気付いたことは、ユーザーとの絆

—UXリサーチを実施してみて、どうでしたか?

今後に活かせる大事なデータを得ることができたと思います。

今回のテーマとなった機能ごとの利用率に差が出る理由という点ももちろんですが、実際のアプリ利用ユーザーがCentXにどんな要望をもっているのかを知ることができました。

それだけでなく、アンケートやデプスインタビューを通してユーザーのCentXに対する期待や信頼の大きさを実感しました。

私も改めて、気を引き締めてご支援に当たらなければと思いましたね。

 

—名古屋鉄道様がいかに地域に根差しているかがよくわかりますね。今回のUXリサーチによる結果は、今後どのように使われるんですか?

今回の調査で課題の可視化やユーザーニーズの把握ができたことで、CentXアプリの成長に向けて何を優先するべきかどのようなステップで改善していくかなどの方向性の一つが導けたと思います。

これからのさらなるCentXでのユーザー体験価値の向上のために、今回の調査で得られたユーザーの声を取り入れ、アプリのUI/UXに反映していければと思っています。

 

—ありがとうございます。実際にアプリに調査結果からの示唆が反映されるのはもう少し先ということですね。

はい。今後のCentXアプリがどう進化していくのかが楽しみですし、これからも全力でそのお手伝いをさせていただきたいです。

 

—では、最後に清田さんから一言、締めの言葉をお願いします!

今後も名古屋鉄道様と共に、『CentX』アプリで沿線・地域に根差した交通や、生活・観光サービスを繋ぎ、地域の「おでかけ」に役立つさまざまな利便性の高い情報を提供して参りたいと思います。

 

—ありがとうございました。

 

グロースマーケティング部のアプリ成長支援の紹介

アイリッジ・グロースマーケティング部では、ユーザーを知り、理解を深めることでアプリ課題を可視化し、「良質なサービス体験」を目指した改善方針を探る『UXリサーチ』や、ユーザーの声からUI/UX改善サポートを行う『アプリ成長支援  UI/UX改善支援』をご提供しています。

 

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