会員証をアプリ化するメリット・デメリットとは?注意点・導入方法も解説

スマートフォンの普及に伴い、これまで紙ベースで提供されていたサービスなどがデジタル化に移行しています。例えば飲食店や小売店、美容院などで発行されている「会員証」も、現在はアプリ化が進んでいます。会員証をアプリ化することで、店舗やアプリ会員になった顧客にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

 

そこで今回は、企業・店舗側と顧客側、それぞれの視点から会員証をアプリ化するメリット・デメリットを解説します。また、会員証アプリを導入する際のポイントや導入方法も解説しているので、導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。

 

会員証アプリとは

会員証アプリとは

会員証アプリとは、従来の紙やプラスチック製の会員証をデジタル化し、スマホやタブレットなどのデバイス上から利用できるようにしたアプリケーションです。これまでの会員証とは異なり、スマホでアプリを事前にダウンロードしておけば、各店舗の会員証を管理できるようになるため、わざわざ持ち運んだりたくさんの会員証を保管したりする手間も省けます。会員証アプリは店舗とアプリ会員になった顧客にさまざまなメリットをもたらしており、実際にスマホの普及に伴って多くの企業・店舗が導入を進めています。

 

従来の紙やプラスチック製の会員証をデジタル化するにあたって、利用状況に差異はないか気になる方も多いでしょう。15歳~64歳の男女1,089人を対象に行ったアンケート調査では、「会員証の形態は利用状況に影響を与えるか」という質問に対し、「形態で利用頻度は変わらない」と回答したのが40%、「両方使うが、アプリの方が利用頻度が高い」と回答したのが29%であることがわかっています。この結果から、利用状況に差異は見られないこと、むしろ会員証アプリの利用頻度が高い傾向にあるといえます。

 

アンケート結果の詳細が気になる方は、以下からご確認ください。

 

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会員証アプリの主な機能

会員証アプリの主な機能

会員証アプリはただ会員証を提示できるだけでなく、さまざまな機能が備わっています。ここで、会員証アプリの主な機能について解説しましょう。

 

ポイント・スタンプ管理機能

アプリの主な機能に、ポイント・スタンプ管理機能があります。会員証アプリは顧客の利用状況と紐づいていることから、購入金額などに応じてポイントを付与する機能が備わっている場合も多いです。顧客のポイント利用数や累計ポイント数を管理でき、顧客もアプリからいつでもポイントがどれくらい貯まっているか確認できます。

 

また、ポイントだけでなくスタンプカードのように来店回数や利用金額によってスタンプを付与する機能もあります。紙を使ったスタンプカードとは異なり、印刷代や運用コストなども掛かりません。さらに、スタンプ機能を活用する顧客や利用するタイミングなどをデータ化し、分析することでマーケティング効果を高めることも可能です。

 

プッシュ通知機能

会員証アプリには、お得なセール情報やクーポン、最新のお知らせなどを通知する機能も備わっています。プッシュ通知はメールで配信するよりも開封率が高く、ユーザーがアプリを開いている状態でなくても情報をお知らせすることができます。

 

プッシュ通知機能をうまく活用すれば、ユーザーと良好な関係を構築でき、購買・来店などのアクションを促進できる可能性が高いです。そのためには、ユーザーに寄り添った配信企画を実施することが重要となります。目的やターゲット、配信のタイミング、コンテンツの内容などにも考慮しながら、プッシュ通知機能を活用してみましょう。

 

プッシュ通知を効果的に活用したい方は、以下の資料を参考にしてみてください。

 

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メッセージの自動配信機能

会員証アプリにはメッセージの自動配信機能も備わっています。プッシュ通知機能は利用する顧客全員に届けたいお知らせが中心となりますが、メッセージの自動配信は顧客一人ひとりによって事前に設定しておいたメッセージを配信できるようになっています。例えば顧客の誕生月に合わせて特別なクーポンを配布したり、顧客情報から年齢や性別、地域などを絞り込んだ上でアンケートを配布したりするなどです。

 

このようなメッセージの自動配信機能を活用することによって、顧客は特別感を抱きやすくなり、顧客満足度の向上とファン化を促すことができます。また、クーポンを利用するために来店しようという気持ちにさせることも可能です。

 

POSシステムとの連携機能

POSシステムは、店舗の販売時における商品データを記録・管理するシステムを指します。

これまでは1日の最後にまとめて集計する作業が設けられていましたが、POSシステムの導入によってリアルタイムで集計できるようになり、業務時間の短縮や人的ミスの軽減などの効果が期待できます。会員証アプリとPOSシステムを連携させる機能が備わっていれば、購入履歴・顧客動向などをまとめて管理でき、さらにその情報を分析することでより効果的なマーケティング活動につなげることが可能です。

 

会員証のアプリ化で得られるメリット

会員証のアプリ化で得られるメリット

会員証をアプリ化することは、企業や店舗側にとってはもちろん、顧客側にもさまざまなメリットをもたらします。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

企業・店舗側

会員証のアプリ化で店舗側が得られるメリットは、以下の4点です。

 

  • コスト削減につながる
  • プロモーションの幅が広がる
  • 顧客情報を一元管理できるようになる
  • 顧客情報をマーケティングに活かせる

 

それぞれ詳しく解説していきます。

 

メリット1 コスト削減につながる

会員証をアプリ化することで、会員証の導入コストや運用コストの削減につながります。

 

紙やプラスチックで作られた従来の会員証の場合、紙代や印刷代など多くのコストがかかっていました。

また、配布のための人員やそれにかかる費用、保管のためのスペースの確保なども必要です。

 

一方、会員証アプリの中には完全無料で利用できるものもあり、従来の会員証にかかっていたコストを大幅に削減することが可能です。

また、会員情報の変更や更新もアプリ内で行えるため、印刷や再発行に伴うコストも削減できます。

 

メリット2 プロモーションの幅が広がる

会員証アプリは、プッシュ通知やアプリ内のお知らせ機能などを活用して、顧客へのプロモーションや特典の提供が容易に行えます。

顧客をセグメント分けしてそれぞれに独自の特典を提供するなど、従来の会員証ではできなかったプロモーションを行うことも可能です。

 

アプリでのプロモーションは、顧客とエンゲージメントを高めることができ、結果的に顧客満足度や顧客ロイヤルティ(企業や店舗に対する信頼や愛着のこと)の向上につながります。

 

メリット3 顧客情報を一元管理できるようになる

アプリを通じて収集される顧客情報は、一元管理することが可能です。

 

これまで、お客様が来店したらアンケート用紙を配布して記入してもらい、それをスタッフがパソコンに打ち込むという形で会員管理をしていた店舗も多いのではないでしょうか。

しかしこれでは膨大な手間が必要になるほか、万が一その用紙を紛失してしまったら情報漏洩トラブルにつながりかねません。

 

会員証アプリを利用することで、こういった手間やリスクを最小限に抑えて会員管理をできるようになります

 

メリット4 顧客情報をマーケティングに活かせる

アプリから収集した顧客情報を活用し、マーケティング戦略の立案に役立てることも可能です。例えば会員証アプリから曜日・時間帯別の利用傾向やクーポン利用状況を把握し、顧客が特にプッシュ通知を見たり、アプリを起動したりする曜日・時間帯に合わせてお得なクーポンを発行できます。

 

また、顧客の行動・嗜好に関するデータを分析し、一人ひとりに合ったおすすめ商品を紹介することも可能です。このように、顧客の嗜好や購買パターンに基づきマーケティング活動を行えば、顧客満足度の向上やロイヤルティの醸成にもつながるでしょう。

 

会員証アプリを導入する際は、全体のユーザー数やアクティブユーザー数、プッシュ通知や位置情報の許諾率を確認することで、アプリ運用における大まかな傾向がつかめてきます。
顧客情報と合わせて全体の数値も確認しましょう。

 

より効果的に顧客情報を活用し、アプリを成長させるためには、アプリ利用データの見方やKPI設計、施策の振り返り方などを体系的に理解しておくことが重要です。

 

アイリッジでは、アプリマーケティング初心者でも実践しやすい「アプリ活用における見るべき指標と分析方法」をまとめたホワイトペーパーを無料公開中です。アプリ運用の改善に役立つヒントが満載の資料となっておりますので、ぜひ以下よりダウンロードしてご活用ください。

 

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顧客側

会員証のアプリ化で顧客側が得られるメリットは、以下の3点です。

 

  • スムーズに提示できる
  • 紛失のリスクが少ない
  • 財布やバッグがかさばらない

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

メリット1 スムーズに提示できる

キャッシュレス化が進んでいる中で、電子マネー決済などを活用してスマホ1台で支払いを済ませる方も少なくありません。しかし、会員証が紙やプラスチック製だと、スマホで支払いたいのにわざわざカードも取り出さないといけなくなってしまいます。

 

一方、会員証アプリならスマホ決済と同時に会員証もスムーズに提示することができます。

 

「店舗DXにおけるアプリ利用実態調査」では、店舗での会計時に電子決済・アプリ決済を使って支払いをしたことがあると回答した人は、83.4%にも上っていることがわかっています。また、店舗アプリを活用している人の86.8%がデジタル会員証の提示も行っていました。特に混雑しているときや、急いで会計を済ませたい場合などは、スムーズに提示できる会員証アプリに高い利便性を感じられるでしょう。

 

なお、店舗アプリの活用実態や、デジタル会員証がレジ前の購買体験をどう変えているかについて、詳しい調査データをまとめたホワイトペーパー『【最新版】アプリで変わる購買体験 ~店舗アプリのDX実態調査レポート~』を無料でご覧いただけます。

 

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メリット2 紛失のリスクが少ない

紙の会員証は、紛失や破損のリスクが常について回ります。

会員証には名前や住所が記載されていることも多く、紛失リスクを懸念してあえて会員証を作らないという方もいるのではないでしょうか。

 

しかし、アプリ化された会員証はスマホやタブレット内で保管されているため、紛失や破損の心配がほとんどありません

万が一の場合でも、デバイスのバックアップ機能を使って会員証情報を復元できれば、「これまでのポイントが無駄になった」という事態も防げます。

 

メリット3 財布やバッグがかさばらない

さまざまな店舗の会員証を紙で持っていると、その分財布やバッグがかさばることがあります。

また、せっかく会員証を作っても持ち運ぶのを忘れてしまうと、その会員証を使うことはできません。

 

一方、会員証をアプリ化しておければ、物理的なカードの数を減らすことができ、財布やバッグの中でかさばることはありません

スマホ1つあればいつでも利用できるため、軽装で外出したいときや、最小限の荷物で過ごしたいときにも便利です。

 

会員証をアプリ化するデメリット

会員証をアプリ化するデメリット

会員証のアプリ化にはさまざまなメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

 

  • 既存の顧客データを移行する手間がかかる
  • すべての顧客にとって便利になるわけではない
  • 情報漏洩のリスクがある

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

デメリット1 既存の顧客データを移行する手間がかかる

すでに独自で顧客管理を行っている場合、会員証のアプリ化に伴い、既存の顧客データを新しいシステムに移行するのに時間や手間がかかる場合があります。

 

データの整理や変換、エラーの修正などの作業が必要となるため、それを面倒に感じることもあるでしょう。

特に大規模な顧客データベースを持つ場合、移行プロセスは複雑さを伴うことがあります。

 

とはいえ、会員情報の移行作業は最初だけ発生するものです。

会員証アプリの中にはエクセルやCSVデータを用いて簡単にデータを連携できるサービスもあるため、状況に応じて活用するのがおすすめです。

 

デメリット2 すべての顧客にとって便利になるわけではない

会員証アプリを利用するためにはスマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスが必要ですが、すべての顧客がこれらを持っているわけではありません。

 

特に高齢の顧客やデジタル技術に慣れていない顧客にとっては、アプリを利用するハードルが高い場合があります。

 

会員証のアプリ化は顧客にとってもメリットが多い一方、すべての顧客にとって便利になるわけではないということを理解しておきましょう。

デジタルデバイスに不慣れな顧客層が多い企業や店舗では、会員証のアプリ化は慎重に検討することが重要です。

 

デメリット3 情報漏洩のリスクがある

デジタル化された会員証は、オンラインの環境で管理されます。

そのため、セキュリティ対策が不十分な場合、情報漏洩のリスクは避けられません。

 

もしも顧客の個人情報が不正アクセスやハッキングの標的になり情報漏洩が発生すれば、信頼関係の損失や法的な問題を引き起こすことがあります。

会員証をアプリ化する際には、十分なセキュリティ対策が必要不可欠です。

 

会員証アプリを導入する際のポイント

会員証アプリを導入する際のポイント

会員証アプリを導入する際には、以下のポイントを意識するようにしましょう。

 

  • 費用面で無理をしない
  • 導入前に目的やゴールを明確に決める
  • ユーザーの利便性だけでなくスタッフの手間も考える

 

それぞれ詳しく解説していきます。

 

ポイント1 費用面で無理をしない

会員証アプリの導入には、開発・設計などの初期費用に加え、管理やセキュリティ対策などの運用コストがかかります。

 

費用はアプリの規模や機能によって異なりますが、無理なく予算内で導入できるように計画することが重要です。

コスト削減や収益向上といった効果があるかどうかを事前に検討し、費用対効果を確認してから導入しましょう。

 

会員証アプリの中には無料トライアル期間があるものや完全無料で利用できるものもあるため、まずはそういったものを利用し、使用感や収益性を確認した後に有料のものに移行する方法もおすすめです。

 

ポイント2 導入前に目的やゴールを明確に決める

会員証アプリは、ただ単に導入すれば良いというわけではありません。

効率的かつ効果的に運用していくためには、会員証アプリを導入する目的やゴールを事前に明確に定義しておくことが重要です。

 

会員証のアプリ化によって顧客にどのような価値を提供し、自社内のどのような課題を解決するのかなどを事前に明確にしておきましょう

具体的な目標を持つことで、アプリの設計や機能の決定がより具体的になり、効果的な導入計画を立てることができます。

 

ポイント3 ユーザーの利便性だけでなくスタッフの手間も考える

会員証アプリの利便性向上は重要ですが、同時に店舗スタッフの作業負担も考慮する必要があります。

せっかくユーザーの利便性が向上しても、スタッフも手間や負担が増え、不満が溜まってしまったらそれはスムーズな店舗運営とはいえません。

 

会員証アプリを導入する際には、事前に顧客対応やシステム運用にどのような影響があるかを検討し、シミュレーションしておきましょう。

社内体制を整え、スタッフがスムーズに運用できる仕組みを導入することで、業務効率の向上を図ることができます

 

会員証アプリの導入方法

会員証アプリの導入方法

会員証アプリを導入する方法としては、以下の3つがあります。

 

  • 自社で開発する
  • 開発会社に依頼する
  • LINE公式アカウントを利用する

 

以下の表にそれぞれの特徴やメリット・デメリットなどをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

 

開発方法

メリット

デメリット

自社で

開発する

デザインや機能に制限がなく自由度が高い

アプリ開発のためのノウハウ・人員・コスト・時間が必要

開発会社に

依頼する

パッケージを利用すれば自社開発よりもコストを抑えてクオリティの高いアプリを開発できる

認識にズレが生じないように密にコミュニケーションを取る必要がある

LINE公式アカウントを利用する

自由度が低くオリジナリティのあるアプリにはならない

既存のテンプレートや機能を利用することで、コストや時間を抑えて簡単にアプリを導入できる

 

まとめ

今回は、会員証をアプリ化するメリット・デメリットや導入する際のポイント、実際の導入方法などを解説してきました。デジタル技術の進化によって、会員証アプリを導入する企業・店舗が増えています。従来の会員証と比べてコスト削減やプロモーションの幅が広がる、顧客情報を一元管理してマーケティングに活かせるなど、さまざまなメリットがあります。

 

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