アプリ開発を外部に依頼する際のポイントや依頼する開発会社の選び方も解説
スマホとともに普及したアプリは、今や日常的に使用する便利なツールの一つです。オリジナルのアプリを作成・開発し、ビジネスに役立てたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、アプリ開発を検討している企業の担当者や経営者、個人事業主の方に向けて、アプリ開発を外部に依頼する際のポイントや開発会社の選び方を解説します。また、外部に依頼するメリットや依頼する前に自社内で確認しておくべきポイントもご紹介しますので、アプリ開発に関する疑問や悩みをお持ちの方はぜひ参考にしてください。
アプリは「自社開発」と「外注」どちらがいい？
アプリ開発をする場合の主な方法は、外注と自社開発の2つです。自社開発は、自社の社員がアプリ開発を行うため、気密情報を管理しやすい、自社のビジョンやニーズに沿った開発ができるといったメリットがあります。
ただし、エンジニアやデザイナーを自社で採用し育成したり、環境整備をしたりする必要があるため、初期費用がかかります。また、外注に比べると開発に時間がかかる、専門知識や最新技術の導入が思うように進まない可能性がある点もデメリットといえるでしょう。
一方、外注は知識やノウハウが社内に蓄積されにくく、コミュニケーションコストがかかる、長期になると高コストになる可能性がある点がデメリットではあるものの、社内リソースを他の業務に割り振れる、専門知識やスキルを活かしたアプリ開発ができるといったメリットがあります。
このように外注と自社開発はそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらが良いかは一概に言い切ることはできません。しかし、エンジニアやデザイナーを雇用し一から環境を整えるのは時間も費用もかかります。外注ならアプリ開発の一部だけ依頼することもできるため、軌道に乗るまでは外注を活用するのも選択肢の一つでしょう。
アプリ開発の依頼先の種類
一般的に、アプリ開発の外注先は「アプリ開発会社」「アプリ開発ベンダー」「フリーランス」の3つです。以下では、それぞれの特徴をご紹介します。
アプリ開発会社
アプリ開発会社は、システムやアプリなどの開発を行う会社です。専門的なスキルや知識を持つ人材が在籍していることから、カバー範囲が広く、大規模な開発にも対応しているのが特徴です。ただし、自社開発に比べると費用が高く、対応力や柔軟性は企業によって差がある可能性があります。
また、開発ベンダーやベンダーと混同されがちですが、基本的にベンダーとは製品やサービスをユーザーに届ける販売会社のことで、開発ベンダーはシステムやアプリの開発と販売のどちらも行う会社のことを指します。開発会社はアプリの開発までを担当し、リリースなどはベンダーに任せるのが一般的です。
アプリ開発ベンダー
開発ベンダーは、システムやアプリなどの開発と販売の両方を担う会社のことです。IT業界では、アプリ開発会社とアプリ開発ベンダーの境界が曖昧になっていることも多く、混同されることも少なくありません。
アプリ開発会社かアプリ開発ベンダーかによって販売後の運用保守や緊急時に関する対応が異なる可能性があるため、事前にしっかり確認することが大切です。
なお、アプリ開発ベンダーは、アプリ開発会社同様、人材が豊富で大規模な開発にも対応しています。また、運用保守にも十分な人材を保有しており、リリース後も一貫して任せることが可能です。
フリーランス
フリーランスとは、個人でアプリ開発を請け負っている人のことを指します。開発会社や開発ベンダーに比べて低コストで済むことが多く、対応の柔軟性が高い点が特徴です。人によっては土日祝日も対応しているため、緊急時にもすぐに対応してもらえる可能性があります。
ただし、個人ということもあり、技術レベルのばらつきが大きく、個々のスキルや経験によって価格は大きく異なります。また、運用保守の体制が整っていない、リソースが少ないため企業よりも遅延リスクが高くなる可能性があるでしょう。
開発会社と開発ベンダー、フリーランスはそれぞれ特徴が異なるため、アプリの規模や状況に合わせて依頼先を決めることが大切です。
アプリ開発を外部に依頼するメリットは？
アプリ開発を自社でするのではなく、外部に依頼するメリットはどこにあるのでしょうか。外部に依頼するメリットを5つご紹介します。
専門知識を活用できる
アプリ開発を外部に依頼するメリットとして、開発会社や開発ベンダーがこれまで積み重ねてきた専門知識や経験を活用できる点が挙げられます。アプリ開発を専門とする会社では、アプリの企画・設計から開発やテスト、リリースに関する膨大なリソースを持っており、これらを活かして効率的に開発を行います。
リリースまでの一連の流れをスムーズに進行できるため、アプリ開発が初めての企業でも、最新のテクノロジーや最先端の機能を取り入れたアプリ開発が可能です。
また、アプリ開発には専門的な知識を持つスタッフが携わるため、経験不足や人手不足から生じるリスクを大幅に軽減するとともに、何かしらトラブルが発生した場合も迅速に対応できる点も魅力です。
開発コストを最適化できる
外部に依頼すると、開発コストを最適化できる点もメリットの一つです。自社でアプリ開発を行う場合、人材の採用・育成をはじめ、必要な機材や設備を揃える必要があります。ゼロから始めるとなれば、環境が整うまでに相当のコストがかかるでしょう。
しかし、外部に依頼すればアプリ開発にかかる費用のみに抑えることができます。内部リソースを割くことなく、外注先の会社の持つ豊富な経験と専門知識を活かしたアプリ開発ができるため、人材採用や育成、設備投資にかかるコストを抑えつつ、効率的かつ迅速にアプリ開発を進めることが可能です。
開発期間を短縮できる
アプリ開発を外注すれば、時間を節約し効率的に開発することが可能です。自社開発をする場合、従業員は他の業務と並行して進める必要があります。負担が増えるため開発に時間がかかる可能性があるでしょう。しかし、外部に依頼すれば、従業員はコア業務に集中して取り組むことができます。
さらに、アプリ開発に関する知識や経験が豊富なスタッフが担当するため、開発にかかる期間を短縮できるでしょう。アプリ開発をするにあたり、「いつまでに開発したい」と期限がある場合、効率的かつスムーズに進められる外注がおすすめです。
高品質なアプリ開発が実現できる
アプリ開発会社や開発ベンダーなどに依頼すれば、高品質なアプリ開発を実現できる点もメリットです。例えば、複数のプラットフォームに対応できたり、大量のリクエストを処理できたりする大規模なアプリの開発には、高いスキルはもちろん、多くのリソースが求められます。アプリ開発に慣れていない自社の従業員がいきなり行うのは難しいでしょう。
しかし、アプリ開発を専門とする企業の場合、アプリ開発に慣れている経験豊富で技術力の高いスタッフが対応します。アプリ開発を専門としている外部リソースを活用できるため、社内のスキルやリソースに関係なく、高品質なアプリ開発が可能です。
社内リソースの柔軟な調整が可能になる
外部に依頼すれば、アプリ開発にかかる社内リソースを削減できるため、その分他の業務に回すなど柔軟に調整することが可能です。作ったアプリをどのように運用しユーザーを集めるのか、マーケティング戦略に社内リソースを割くのも良いでしょう。はたまた、アプリ開発には資金がかかるため、資金調達に専念するのも一つの方法です。
開発に関する業務のノウハウを持つ開発会社が行えば、自社の従業員はマーケティングや資金調達などその他の業務に専念することが可能です。アプリは作ったら終わりではありません。作ってからもしなければならないことは多いため、業務を円滑に進めたいなら、アプリ開発会社と自社で役割分担することが大切です。
アプリ開発を外部に依頼する前に自社内で確認しておくべきこと
ここまでアプリ開発の依頼について、内訳や費用を抑えるコツを解説しました。アプリ開発を成功させるためには、依頼前に自社内での準備が重要です。開発の目的やターゲット、必要な機能、予算など、事前に自社内で確認しておくべき点についても見ておきましょう。
開発するアプリの目的を明確にしておく
アプリを開発する際にまず大切なのが、「アプリによってどのような効果を期待するのか」「アプリによって何を改善するのか」などの目的を明確にすることです。
例えば、新規顧客の獲得を目指すのか、既存顧客との関係を強化するのかによって、アプリに必要な機能やデザイン、予算の優先順位が変わります。目的が不明確なまま依頼を進めると、開発中に作業が増えたり変更が発生したりして、スケジュールやコストが大幅に影響を受けてしまいます。結果的に失敗することも珍しくありません。開発チーム内でアプリ開発の目的を共有し、具体的な目標や想定する成果を話し合っておくことで、依頼先の開発会社との打ち合わせもスムーズに進みます。
目的に合わせてアプリの種類や機能を決める
アプリ開発の目的を明確にしたら、その目的に応じたアプリの種類や機能を決めます。例えば、情報発信を主な目的とするなら、コンテンツの更新が簡単なCMS機能が適しています。一方で、顧客との関係を強化したい場合は、会員機能やクーポン配信、プッシュ通知などが必要になるでしょう。
また、ターゲットとなるユーザーの使用端末に合わせて、iOSとAndroidのどちらか、あるいはどちらも対応するかを決めることも重要です。明確な目的をもとに具体的な機能を決めることで、開発の効率が上がり、不要な機能を省いてコストを抑えられます。これにより、依頼後の修正を減らし、スムーズなアプリ開発が期待できます。
開発スケジュールを事前に策定しておく
アプリ開発を依頼する際には、事前に自社内で開発スケジュールを策定することも欠かせません。スケジュールが曖昧なままだと、開発が長引いたりリリースが遅れたりする可能性があります。
まず、アプリをリリースしたい時期を明確にし、そこから逆算して企画、開発、テスト、修正の各ステップに必要な時間を割り当てましょう。また、素材の提供や仕様書の作成など、自社で準備が必要な作業がある場合は、その締め切りも明確にしておきます。開発会社とスケジュールを共有することで、双方の役割を明確にし、無駄なやり取りを減らすことができます。計画的なスケジュールを策定することは、スムーズなプロジェクト進行に役立ちます。
アプリ開発を依頼する開発会社の選び方
アプリ開発を成功させるには、依頼先となる開発会社の選び方が重要です。開発会社を選ぶ際は、技術力や実績だけでなく、コミュニケーション力やサポート体制、セキュリティのチェックも欠かせません。
アプリ開発の実績は豊富か
アプリの開発会社を選ぶ際は、まず実績を確認することが大切です。アプリには、ECアプリ・教育アプリ・ゲームアプリなどのジャンルがあります。過去にどのようなアプリを開発してきたかを調べることで、対応可能なジャンルや技術力が見えてきます。特に、自社と似た業種やニーズに合うアプリ開発の事例がある場合、その会社が自社に適した開発を行える可能性が高くなります。
また、実績を見る際は、単にアプリを開発した件数だけでなく、実際に利用したユーザーからの評価やアプリのデザイン性、使いやすさなども考慮することが重要です。このような情報は、公式サイトや過去のクライアントの声を参考にするのがおすすめです。
自社サービスに適したアプリ開発を行ってくれるか
アプリ開発を依頼する際、自社サービスの特性に合った開発を行ってもらえるかを確認することも非常に重要です。サービス内容や業界によって、必要とされる機能は大きく異なります。例えば、ECサイトであれば購入機能や商品のレビュー機能が求められる一方、教育関連アプリでは動画配信や進捗管理機能が必要になることがあります。開発会社がこのようなニーズをしっかり理解し、それに基づいた提案や設計を行えるかどうかが、プロジェクトの成功を左右します。
また、過去の開発実績を確認し、似たようなプロジェクトに携わった経験があるかを調べるのも効果的です。さらに、初期段階で十分に話し合い、要望を明確に伝えることにより、自社に最適なアプリ開発を実現する可能性が高まります。
開発費用と予算は見合っているか
アプリ開発を依頼する際、開発費用が予算と見合っているか確認することも欠かせません。予算に合わない開発費用でプロジェクトを進めた場合、開発後の運用が厳しくなってしまいます。見積もりを依頼する際には、単に安価な開発会社ではなく、提供される品質やサービス内容とのバランスを重視しましょう。
また、アプリの開発中に仕様変更や追加機能が必要になるケースも多いため、追加費用が発生する条件を事前に明確にしておくことが重要です。複数の開発会社で見積もりをしてから、それらを比較し、それぞれのコストパフォーマンスを見極めることも効果的になっています。
さらに、自社の予算内で優先的に実現すべき機能を整理することで、無駄を抑えた効率的な開発が可能になります。
開発会社との意思疎通は問題ないか
アプリ開発を成功させるには、開発会社との円滑な意思疎通が必要です。プロジェクトが進行する中で、要望の変更や課題の発生は避けられないため、その都度、迅速かつ正確に情報を共有できる体制を整えておきましょう。
まず、担当者のコミュニケーション能力や対応のスピードを確認しましょう。初期の打ち合わせ段階で、こちらの要望や意図をどれだけ正確に理解し、それに基づく提案を行ってくれるかが判断材料になります。
また、定期的なミーティングや進捗報告の仕組みが整っているかどうかも重要です。さらに、言葉だけでなく、仕様書などの具体的な資料を通じて共通認識を深めることが双方の誤解を防ぐポイントとなります。
開発力だけでなく、デザイン力も優れているか
アプリ開発の会社選びでは、優れた開発力だけでなく、魅力的なデザインを提供できるかどうかも重要なポイントです。ユーザーにとって使いやすく視覚的に魅力的なアプリは、利便性を高めるだけでなく、ブランドイメージの向上にもつながります。そのため、開発会社のデザイン力を把握するためには、過去に手がけたプロジェクトの実績やポートフォリオを確認しましょう。特に、自社の業界や目的に近いアプリのデザインをチェックすることで、センスや対応力を判断できます。
最新のUI/UXデザインのトレンドに精通しているかも見逃せないポイントです。開発段階で、機能とデザインのバランスが取れた提案を行える会社であれば、ユーザーの期待を超えるアプリの実現が期待できます。
セキュリティ対策は十分か
アプリ開発において、セキュリティ対策が十分かどうかもチェックすべきポイントです。特に、ユーザーの個人情報や機密データを扱うアプリでは、セキュリティの不備が大きなリスクとなり、企業の信頼を損なう可能性があります。開発会社を選ぶ際は、アプリ開発においてどのようなセキュリティ対策を講じているかを具体的に確認しましょう。例えば、データの暗号化や不正アクセス防止の仕組み、定期的なセキュリティ診断の実施などが挙げられます。
また、個人情報保護法などの法規制への対応経験があるかどうかも重要です。信頼性の高いセキュリティ対策を提供できる開発会社を選ぶことで、安全なアプリ運用を実現できます。
アフターサポートは充実しているか
アプリ開発が完了した後の運用も、開発と同様に重要です。リリース後に発生するバグの修正や、新たな機能の追加に対応できる体制が整っていることが、長期的なアプリ運用の安心感につながります。そのため、アフターサポートが充実している開発会社を選ぶことがポイントです。例えば、トラブルが起きた際に迅速な対応が可能かどうかや、サポート内容が具体的にどこまで含まれているのかを、事前に確認しましょう。
また、保証期間や追加の費用についても、明確な説明があるかをチェックすることが大切です。信頼できるアフターサポートが提供されれば、リリース後の課題にも柔軟に対応でき、アプリの成長と利用者の満足度向上が期待できます。
外部への依頼・外注によるアプリ開発を成功に導くためのポイント
外部に依頼・外注したアプリ開発を成功させるには、信頼できる外注先を選ぶこと、契約内容を明確にすること、そしてコストを無理に抑えないことが大切です。以下ではそれぞれの内容を具体的に解説します。
信頼できる外注先を選定する
アプリ開発を成功させたいなら、信頼できる外注先を選ぶことが大切です。そのためには、価格だけでなく、安さ以外にも強みがあるかを基準に判断しましょう。
低価格の場合、アプリ開発にかけられる時間や手間が少なく、アプリの品質が求めるレベルに達しない可能性があります。もちろん、安いからといって必ずしもダメなわけではなく、中には安くて高品質の企業もあるかもしれません。
しかし、そのような会社を選びたいなら、実績や提案力、デザイン力など価格以外の部分も考慮する必要があるのです。また、アプリ開発を成功させるには、担当者とのコミュニケーションが必要不可欠です。良好なコミュニケーションが取れるかどうかもチェックしておきたいポイントの一つです。
契約内容を明確にする
契約内容をしっかり確認し、納得した上で依頼しないと、後々トラブルに発展するケースも少なくありません。業務内容や報酬のほか、機密情報の管理などもチェックしておきましょう。もし、契約内容に疑問や不安な点がある場合は、契約前にしっかり確認することが大切です。
また、アプリを開発するには機能やデザインをはじめ、予算やターゲットユーザー、ニーズなど様々な要素が関わります。アプリ開発を成功させるには、これらを具体的に伝えることも重要です。なぜなら、何を作りたいかが明確でないと、どんなシステムが必要なのかがイメージできず、業務内容や予算の算出ができないからです。
コストを無理に抑えない
アプリ開発を外部へ依頼する際、相場よりも見積もりが安価な企業は、社内リソースが不足しており運用・保守の体制が不十分だったり、納期の遅延が発生したりする恐れがあります。
また、スタッフの経験が浅かったりスキルが低かったりといった問題からアプリの品質が低くなる可能性もあるでしょう。アプリ開発をする上でコストは重要ですが、だからといって必要以上に抑えようとすると、様々な問題を引き起こしかねません。
アプリ開発では機能が多く複雑になるほど費用は上がりやすいです。コストを抑えたいならアプリの機能や要件を最適化するなどすると良いでしょう。無理に抑えようと価格だけで判断するのは避けることをおすすめします。
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まとめ：アプリ開発を外注する際はポイントを押さえて依頼しよう
アプリ開発を依頼する際には、この記事で紹介したポイントを押さえることで、スムーズかつ効果的に進めることができます。アプリ開発費用の内訳を把握したうえで、できる限り費用を抑えてアプリ開発を行いましょう。また、自社が求めるアプリの目的や必要な機能を明確にし、それに対応できる実績のある開発会社を選ぶことも大切です。
信頼できる会社にアプリ開発を依頼して、より便利で使い勝手の良いアプリを実現しましょう。
