UIデザインとは?基本原則から作成手順、作成時のポイントまで解説

UIデザインとは?基本原則から作成手順、作成時のポイントまで解説

Webサイトやアプリを制作するうえで、UIデザインの良し悪しはユーザー体験を大きく左右します。ユーザーにとって使いやすく魅力的なデザインを実現するためには、基本原則や作成手順、意識すべきポイントを理解することが大切です。

そこで今回は、初心者にもわかりやすく、UIデザインの基礎知識から実践的な作成方法、学習手段や参考になるツールなどを詳しく解説します。UIデザインに興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

UIデザインとは

UIデザインとは

UI(ユーザーインターフェース)デザインとは、Webサイトやアプリの見た目や操作画面を設計することを指します。ユーザーが迷わず直感的に操作できることが重要であり、使いやすさの指標としては、ユーザビリティの権威ヤコブ・ニールセン氏が提唱した「ユーザビリティ10原則」が広く活用されています。

UIデザインとUXデザインの違い

UIデザインとUXデザインは混同されやすい言葉ですが、それぞれ異なる役割を担っています。

UIデザインは、ユーザーが目にするボタンやメニュー、配色などの視覚的な要素の設計に関わります。一方でUXデザインは、ユーザーがサービスを通じて感じる体験全体を設計するもので、操作のしやすさや快適さ、満足感を含みます。

たとえば、あるアプリのデザインが美しくても操作がわかりづらければUXは低下してしまいます。つまり、UIはUXを構成する一部であり、ユーザー体験をより良いものにするためには、両者を一体として考えることが重要だと言えるでしょう。

プロジェクトにおいては、UI担当とUX担当が連携することで、真に使いやすいサービスが実現されます。

UIデザインとグラフィックデザインの違い

UIデザインとグラフィックデザインはどちらも視覚に訴えるデザイン分野ですが、目的やアプローチに大きな違いがあります。

グラフィックデザインは、広告やポスターなどの静的なビジュアルを通じて、情報や感情を美しく伝えることを重視します。一方、UIデザインはユーザーが実際に操作する画面を設計するため、視覚的な美しさに加えて「使いやすさ」や「操作性」も重要な要素です。

また、UIデザインはユーザーの行動を予測し、スムーズな導線を設計する必要があるため、機能性や論理性にも重きを置く点が特徴と言えるでしょう。さらに、ユーザーとの継続的な接点を意識した、インタラクティブな設計が求められるのもUIならではの特徴です。

UIデザインが重要視される理由

UIデザインが重要視される理由

UIデザインは、ユーザーの満足度や操作性に直結するため、Webサイトやアプリの成功に欠かせません。適切なUI設計は、ユーザーの離脱を防ぎ、ブランドイメージの向上や開発コストの削減、さらには売上や成果の向上にもつながります。ここからは、UIデザインが重要視される理由について解説します。

ユーザー満足度を高めるため

ユーザーにとって使いやすく、直感的に操作できるUIは、サービス全体への満足度を大きく高める要因となります。
たとえば、情報が整理されており、必要な操作がすぐに見つかる設計は、ユーザーのストレスを軽減し、「また使いたい」と感じさせる動機になります。

さらに、視覚的に心地よいデザインや動きのある演出は、使用中の印象をよりポジティブなものに変え、ユーザーのロイヤルティ向上にもつながります。満足度の高いUIは、企業やサービスへの信頼感にも直結するでしょう。

ユーザーの離脱を防ぐため

ユーザーがWebサイトやアプリから離脱する主な理由の1つが、操作に対する不満や迷いです。たとえば、ボタンの位置がわかりづらい、情報が過剰で見にくい、ページの遷移が遅いといった問題は、ユーザーのストレスを高め、途中で利用をやめてしまう原因になります。

UIデザインによって情報の優先順位を整理し、誰でも迷わず操作できる導線を設計することで、離脱率を下げることが可能です。直感的でスムーズな操作体験を提供できれば、滞在時間やコンバージョン率の向上も期待できるでしょう。

ブランドイメージの向上のため

UIデザインは、企業やサービスの第一印象を決定づける重要な要素の1つです。たとえば、洗練された配色や整ったレイアウト、統一感のあるフォントやアイコンなどは、ユーザーにプロフェッショナルで信頼できる印象を与えます。

ブランドカラーやデザインコンセプトがUI全体に反映されていると、企業の世界観や価値観が自然と伝わり、ブランドイメージの向上につながります。視覚的な美しさだけでなく、一貫性のあるUIは、記憶に残りやすく、他社との差別化にも効果的です。

開発コストを削減するため

UIデザインを初期段階からしっかりと設計しておくことは、後工程での手戻りを防ぎ、結果的に開発コストの削減につながります。

ユーザー目線で使いやすいインターフェースを構築しておけば、不具合や操作ミスによる修正も減少し、追加対応の工数が抑えられます。また、ユーザビリティの高いUIは、サポート対応の負担軽減にもつながり、運用コストの最適化も実現されるでしょう。

品質の高いUI設計は、開発現場における効率化のカギとも言えます。

売上や成果の向上のため

優れたUIデザインは、ユーザーの行動を自然に導き、購入や申込といった成果に直結する重要な要素です。たとえば、視認性の高いボタン配置やスムーズな導線設計は、ユーザーが迷わずに行動できる環境を作り出します。

結果として、コンバージョン率の向上や、カゴ落ちの防止、リピート購入の促進などに効果を発揮します。見やすく操作しやすいUIは、顧客体験をより良いものにし、サービスの収益性を高めるためにも欠かせない存在です。

UIデザインにおける4つの基本原則

UIデザインにおける4つの基本原則

UIデザインを意識した設計を行うには、「近接」「整列」「コントラスト」「反復」の4つの基本原則を理解し、適切に活用することが重要です。ここでは、それぞれの原則について解説します。

①近接

「近接」は、関連する要素同士を視覚的に近づけて配置することで、情報のグループ化や構造を明確にする原則です。

たとえば、見出しとその説明文、アイコンとラベルが離れて配置されていると、ユーザーはそれらが関連していることに気づきにくくなります。逆に、関連情報をまとまりとして視認できるようにすると、画面が整理されて見え、情報がすぐに理解できるようになります。

視線の移動量を最小限に抑え、ユーザーの負担を軽減するためにも、近接の考え方は非常に重要です。

②整列

「整列」は、テキストや画像などの要素を視覚的な基準に沿って揃えることで、画面全体に統一感や秩序を与える原則です。

たとえば、ボタンや見出し、本文がバラバラに配置されていると、ユーザーはどこから読めばよいのか迷ってしまい、情報の理解が遅れてしまいます。左揃えや中央揃えなど、配置に一貫性を持たせることで、視線の流れがスムーズになり、可読性が向上します。

細かな位置調整を丁寧に行うことで、プロフェッショナルな印象を与えるUIに仕上がります。

③コントラスト

「コントラスト」は、色や大きさ、太さ、形などの差をつけることで、情報の優先度や違いを明確にするデザイン原則です。

たとえば、見出しの文字が本文と同じサイズ・色だと、ユーザーは重要な情報を瞬時に見分けることができません。背景と文字の色に十分な差をつけたり、重要なボタンを目立つ色にすることで、視認性や注目度が高まり、操作の誘導がしやすくなります。

強弱のメリハリを意識することで、ユーザーが自然と視線を移動できる、ストレスのないデザインを実現できます。

④反復

「反復」は、色やフォント、アイコン、レイアウトなどの要素を一貫して繰り返し使用することで、統一感のあるUIを実現するための原則です。

たとえば、ページごとにボタンの形状や見出しのデザインが異なっていると、ユーザーは混乱しやすく、操作ミスにもつながります。視覚的なパターンを繰り返すことで、ユーザーは自然にルールを理解し、快適に操作することができます。

反復は、見た目の美しさだけでなく、使いやすさや信頼感を高めるためにも非常に効果的な手法です。

UIデザインで意識すべき5つのポイント

UIデザインで意識すべき5つのポイント

UIデザインをより効果的にするには、「シンプルさ」「操作のしやすさ」「視線誘導」「フィードバック」「デバイス対応」の5つのポイントを意識することが大切です。それぞれのポイントを解説します。

①シンプルでわかりやすいデザインにする

UIデザインにおいて最も基本かつ重要なのが「シンプルさ」です。情報や機能を詰め込みすぎると、ユーザーは何をすればよいのかわからなくなり、操作を途中で諦めてしまうこともあります。

必要な情報や機能に優先順位をつけて整理し、最小限の要素で構成することで、画面がスッキリと見え、操作が直感的になります。また、余白を活かしたレイアウトや明確な視覚的階層を作ることで、ユーザーは迷うことなく目的の操作にたどり着けるようになります。

②迷わず操作できるメニューやボタン配置にする

ユーザーが目的の操作を迷わず行えるようにするには、メニューやボタンの配置が直感的であることが不可欠です。

たとえば、よく使われる機能は画面の目立つ場所に配置し、アイコンや文言もわかりやすく統一することで、ユーザーが瞬時に判断できるようになります。誤操作を防ぐためにも、タップ可能な領域のサイズや余白、色の使い方などにも工夫が必要です。

ユーザーの行動を予測し、スムーズな導線を設計することが、快適な操作体験につながります。

③ユーザーの視線を考えたレイアウトにする

ユーザーが情報をどの順番で読むかを意識したレイアウト設計は、UIデザインにおいて非常に重要です。

たとえば、人の視線は自然と左上から右下に流れるため、重要な要素は視線のスタート地点に配置するのが効果的です。また、視認性の高い見出しや画像、余白の使い方によって、ユーザーの視線を自然に誘導することができます。

意図した導線で情報を伝えることで、理解度が高まり、ユーザーのストレスも軽減されます。視線の流れをデザインに反映させることが、使いやすさの向上につながるでしょう。

④操作のフィードバックを明確にする

ユーザーが操作した際に、きちんと反応があったと感じられるようなフィードバックを設けることは、安心感と信頼性を高めるために欠かせません。

たとえば、ボタンを押した際に色が変わる、ローディング中の表示がある、エラー時にはメッセージが表示されるといった工夫が有効です。これらのフィードバックがあることで、ユーザーは操作が正しく認識されたことを確認でき、次の行動へとスムーズに移れます。

視覚的・音声的な反応を適切に取り入れることが重要です。

⑤どのデバイスでも見やすいデザインにする

現代のユーザーは、スマートフォン、タブレット、PCなど複数のデバイスからWebサイトやアプリを利用します。そのため、UIデザインにはデバイスごとの画面サイズや操作特性に配慮した設計が求められます。

レスポンシブデザインやフレックスレイアウトを活用し、どの画面でも文字が読みにくくならない、ボタンが押しづらくならないといった配慮が重要です。デバイスを問わず快適な閲覧・操作環境を提供することで、幅広いユーザー層への対応が可能になります。

UIデザインの作成手順

UIデザインの作成手順

UIデザインは、ユーザーのニーズを理解し、情報を整理・設計し、プロトタイプを作成・検証・改善する一連のプロセスを通じて、最適なユーザー体験を提供することを目指します。
それぞれの手順を詳しく解説します。

1.ターゲットユーザーと目的を明確にする

UIデザインの第一歩は、誰のために、何を実現するのかを明確にすることです。ターゲットユーザーの年齢、性別、職業、ライフスタイルなどを具体的に設定し、ユーザーが抱える課題やニーズを洗い出します。

次に、プロダクトの目的や提供する価値を定義し、ユーザーと目的が一致するように設計の方向性を定めます。この段階での明確な定義が、後のデザインプロセス全体の指針となり、ユーザーにとって使いやすいUIを実現する基盤となります。

2.情報の収集・分析をする

ターゲットや目的が明確になったら、次に行うのが情報の収集と分析です。競合サービスのUI事例やユーザーの行動データ、市場トレンドなどを調査し、ユーザーがどのような情報を求めているのか、どこで操作につまずいているのかを把握します。加えて、既存サイトやアプリの改善点を洗い出すことで、新しいUI設計に活かすことができます。

定量的データと定性的なインサイトの両方をバランス良く取り入れることで、ユーザー中心のデザインが可能になります。

3.ワイヤーフレームを作成する

情報の整理ができたら、次はUIの構造を可視化するためのワイヤーフレームを作成します。
ワイヤーフレームとは、ボタンやメニュー、テキスト、画像などの配置をシンプルな図で示した設計図のようなものです。

色や装飾は最小限にとどめ、画面構成や情報の優先順位、操作の流れを確認することが目的です。この段階で全体の設計意図を共有することで、チーム内の認識ズレを防ぎ、後のプロトタイピングや実装作業がスムーズになります。

4.プロトタイプを作成する

ワイヤーフレームが完成したら、次はユーザー操作を再現できるプロトタイプを作成します。プロトタイプとは、実際のUIに近い形で動作を模擬できる試作版のことで、リンクやボタンの挙動、ページ遷移などが体験可能になります。

これにより、実際の使用感や導線のわかりやすさを事前に検証でき、設計段階での問題点を早期に発見することができます。ツールとしてはFigmaやAdobe XDなどが活用され、関係者間の認識共有やユーザーテストにも非常に役立ちます。

5.ユーザーテストを行う

プロトタイプが完成したら、実際のユーザーに操作してもらう「ユーザーテスト」を実施します。これは、デザインが意図通りに機能しているか、ユーザーが迷わずに操作できているかを確認するための重要な工程です。

観察やヒアリングを通じて、ユーザーがどこでつまずいたのか、どの機能が使いやすいと感じたのかを把握できます。主観だけで判断せず、実際の反応をもとに改善点を見つけることで、より実用的で完成度の高いUIへと近づけることができます。

6.デザインを改善する

ユーザーテストの結果をもとに、実際の利用シーンに即した形でデザインをブラッシュアップしていきます。使いにくいと感じられた導線の見直しや、見落とされやすい情報の強調など、具体的な課題に対して一つひとつ改善を行うことが重要です。

また、改善内容が新たな課題を生まないよう、テストと改善を繰り返すプロセスも大切にしましょう。この継続的な改善によって、ユーザー満足度が高く、目的を達成しやすいUIを実現できます。

完成後も改善の視点を忘れずに運用することが求められます。

UIデザインを学ぶ方法は?

UIデザインを学ぶ方法は?

UIデザインを学ぶには、書籍やオンライン学習サイトで基礎を固め、実務経験を積みながらスキルを磨くことが効果的です。さらに、コミュニティに参加してフィードバックを受けることで、実践力を高めることができます。ここからは、UIデザインを学ぶ方法を紹介します。

学習サイトや書籍から学ぶ

UIデザインの基礎を学ぶには、体系的な知識を提供する書籍や、実践的なスキルを習得できるオンライン学習サイトの活用が効果的です。

たとえば、『UIデザインの教科書[新版]』は、マルチデバイス時代のインターフェース設計について詳しく解説しており、初心者にも理解しやすい内容となっています。また、オンライン学習サイト「chot.design」は、短時間で学べるレッスンが豊富で、忙しい方にも適しています。

これらのリソースを活用することで、基礎から応用まで幅広く学ぶことができます。

実務経験を積む

UIデザインを本格的に身につけるには、学習だけでなく実務を通じた経験が不可欠です。実際のプロジェクトでは、限られた時間や仕様の中で成果を求められるため、現場ならではの判断力や柔軟な対応力が身につきます。

未経験者でも、副業案件やコンペ、インターンなどに参加することで、実務に近い環境で経験を積むことが可能です。また、ポートフォリオを充実させることで、次のチャンスにもつながります。継続的にアウトプットし、フィードバックを受ける姿勢が重要です。

UIデザインのコミュニティに参加する

UIデザインを効率的に学ぶには、コミュニティへの参加も非常に有効です。現役のデザイナーや開発者との交流を通じて、最新のトレンドや実務での工夫を知ることができ、自分の視野を広げられます。

SNSやSlackグループ、イベント、勉強会など、参加の方法も多様です。また、自作のデザインに対してフィードバックをもらえる機会もあり、独学では得にくい学びを深めることができます。

コミュニティを活用することで、実践的なスキルを継続的に成長させることができるでしょう。

まとめ:ユーザーを惹きつけるUIデザインを目指そう

まとめ:ユーザーを惹きつけるUIデザインを目指そう

UIデザインは、ユーザーの使いやすさや満足度を高め、サービスの成果を左右する重要な要素です。ユーザーを惹きつけるUIを目指すには、視覚的な美しさだけでなく、直感的な操作性や戦略的な設計力が求められます。

実務でUIデザインを成功させるには、設計前の構想段階がカギとなります。アイリッジでは、UX戦略やコンセプト設計を含む「アプリ企画/RFP作成支援」を通じて、開発前の要件整理からプロトタイプ構築まで一貫してサポートしています。実績豊富な支援体制を活用し、理想のUI実現に向けた第一歩を踏み出しましょう。

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