出社×在宅併用に向けオフィスを5割削減。アフターコロナの最適な働き方を目指しアイリッジがやったこと

アイリッジでは、アフターコロナにおいては出社勤務と在宅勤務を併用するハイブリッド型の働き方へ移行することを決定し、先日、2021年2月を目処としたオフィスの約5割削減・再編について発表しました。

▶アフターコロナのハイブリッド型ワークスタイルと新オフィス
 「iRidge Hybrid Working Style」を構築

コミュニケーションを大切にする会社方針もあり、コロナ禍前のアイリッジにはリモートワーク制度はありませんでした。
しかし感染が拡大し始めた2月下旬には速やかにリモートワークに対応し、緊急事態宣言前には原則リモートワークへ移行。そこから半年と少し経ちましたが、コロナ禍が落ち着くまでは原則リモートワークを継続予定です。
この間に整備したことやアフターコロナにおいても週5日出社には戻さないと決断するまでの検討のステップなど、主担当として推進した総務労務部長にお話を聞きました。


アイリッジ 経営管理本部 総務労務部 部長 杉浦さやか

 

コロナ禍への対応としてのリモートワーク導入と、アフターコロナの働き方を決めるまで

──まずはいまも諸々のご対応でお忙しい中、今日はお時間をいただきありがとうございます。新型コロナウイルス感染拡大を受けたリモートワーク導入の判断は早い方だったと思いますし、それまで実績がなかったにも関わらずルールも即日全社周知され、一社員として「うちの会社ってちゃんとしているな」と改めて思った記憶があります。いつから準備されたんですか?

実はコロナ禍とは関係なく、昨年末頃から限定的導入の検討が始まっていました。
昨年夏にフレックス制度も導入し、会社としてより良い働き方を少しずつ模索していたタイミングで、育児中・介護中やインフルエンザ回復後の自宅待機期間中の人など一部の人を対象としたイレギュラー対応として、事前申請をしてもらって許可制で導入する想定でした。

当時産休直前、現在は育休に入っているメンバーが主導して進めてくれていたのですが、まさに最終検討真っ最中にコロナの感染拡大が始まったので、イレギュラー対応用に考えていた運用ルールをそのまま全社適用することにして周知したという状況です。
その後は世の中の動きに合わせて、リモートワーク推奨から原則出社禁止に切り替えたり、細かい運用の改善などを行ってきました。

──さらに、コロナ禍が収まってもリモートワークを取り入れたハイブリッド型の働き方にすると決まったのはどんな流れだったのでしょうか。

リモートワークが長期化する中で見えてきたメリットや課題を経営陣で総合的に判断いただいた結果、出社勤務と在宅勤務を併用するハイブリッド型の方針が決まりました。
オフィスの契約が来年2月までとなっていて今年8月までに更新有無を決める必要があったので、今後のオフィスのあり方の具体的な検討が始まったのは6月頃からですね。

(代表取締役社長の)小田さんから部長陣に、各部で何に困っていてどういうふうに解決しているか、もしもリモートワークを併用する場合どれくらいの頻度で出社すると業務が回りそうかなど、ヒアリングが行われました。
それをベースに、現状と今後のやりたいこと、考えていかなくてはいけない施策を経営陣で話し合っていただき、出社は週2日程度を想定しオフィスを半減するという決定に至っています。

 

リモートワークの課題となる「環境整備」の工夫で社員のモチベーションもアップ

──調整で苦労した点や工夫した点はありますか?

新しい働き方に先駆けて「リモートワーク手当」と「リモートワーク環境整備補助金」を支給し始めていますが、この金額設定や原資をどうするかは他社事例も参考にしつついろいろ考え提案しました。
リモートワークの環境整備についてすべてを負担することは難しいですが、原資を確保しながら手当・補助金として低すぎずの着地を目指し、割と充実させられたと思っています。

・リモートワーク手当:月額5,000円(通信費・光熱費増額分を想定)
・リモートワーク環境整備補助金:2万円(デスク環境等の整備を想定)
※手当・補助金は先行して2020年11月より支給開始

あとはオフィス減床に伴い余るモニタとオフィスチェアを希望者全員に配布したのは好評でしたね。「意外といい会社じゃん」という声も聞けました(笑)。
今後も、家族との共存、ネットワーク環境、設備面など、在宅勤務の課題に対しては定期的なヒアリングを行い、継続してサポートしていきたいです。


配布されたモニタとオフィスチェア

 

また、現状でも問題なく回っている中で出社日をなぜ週2日程度にするのか、フルリモートワークでもいいのではという声もあるため、対面コミュニケーションの重要性などの意識合わせは引き続き必要だと考えています。

 

紙・判子・コミュニケーション・・スムーズなリモートワークのために変えたこと

──リモートワークの障壁となりやすい、紙や判子、電話などの問題はどう解決されていますか。

紙については取引先からの請求書はPDFでのメール受領を可とし、経費精算の領収書はひとまずPDFで提出、出社時に原本を提出するフローに変更しました。
契約書等の押印も週1日決められた押印日に集約して、それぞれ担当部門の出社頻度を週1~2日程度に抑えています。
電話は受電代行の導入を部長陣から提案いただいて、slackと連携できる代行サービスを利用するようになりました。
slackの通知が来るchannelに必要な人を追加することで総務の手間も減りましたし、お取引先とのやり取りが必要なメンバーには社用携帯を貸与しているため、アフターコロナも受電代行は継続して、オフィスの固定電話は10台くらいに減らそうと思っています。

とは言え、以前は各担当でやってもらうこともあった押印後の契約書発送をすべて経営管理本部に集約していたり、郵便物や荷物の仕分けも少ない人数で回している上、今後フリーアドレス化に伴いさらに連携が難しくなるため、こういった事務方の負荷の分散方法は考えていくつもりです。

──コミュニケーションの質・量低下についてはいかがですか?

全社的なところでは人事企画部が中心となって工夫してきました。毎週初めに対面で実施していた全社朝礼を、オンライン化に伴いニュース番組風に演出したり取り上げるネタの種類や質を上げたりしていますね。
緊急事態宣言が決まり世の中全体が不安になっていた頃に大きく動けたことで、一体感も出たしみんな心強かったんじゃないかと思っています。

▶四半期MVPを受賞したリモートでの全社コミュニケーションへの取り組み。
 その裏側と試行錯誤の歴史とは

あとは社内コミュニケーション活性化を目的とした社内飲み会・アイリッジバーも、オンライン版のあり方を模索しているところだと思います。

▶個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される
 ~しくじり先生たちとの夜を終えて~

各部でも朝ミーティングや雑談タイムを設けたり、定例会議のやり方や頻度を変えるなどの工夫をしているようです。
ただ、それでもやはり対面ならではの密な意思疎通や偶然の何気ない会話、そこから生まれるアイデアやイノベーションというものはやっぱりあるだろうという判断から、アフターコロナでは出社勤務と在宅勤務併用ということになりました。

 

新しい働き方の狙いとオフィスリファインプロジェクトのポイント

──新しい働き方の狙いや実現しようとしていることを教えてください。

リモートワークのメリットを活かしつつ、チームワーク醸成やディスカッションを促進する対面コミュニケーションも再開して、生産性を高めたりイノベーションの創出に繋げたいという意図があります。
昨年導入したフレックス制度に加え、リモートワークの導入でワークライフバランスも実現しやすくなったので、採用競争力も上げられるのではと期待しています。

一方で長時間労働の制御をしにくくなるという課題はあるので、残業時間や有給休暇取得状況の管理をきちんとして、社員のみなさんが健康に過ごせる、より健全な会社にしたいと思っています。
お陰様で引き合いが増えている分、社員のみなさんに負荷が掛かりがちなので、そこをサポートしていけるよう環境を整えることで、会社全体の生産性に貢献していきたいですね。

──新オフィスのポイントもお聞きしたいです。


新オフィスのMAPとパース図

 

オフィス構築専門の株式会社ヒトカラメディアさんにPMとして入っていただき、総務労務部メンバーとデザインスタジオの部長を中心にオフィスリファインプロジェクトを進めてきました。
フリーアドレス化やミーティングのオンライン化を考え、執務スペースと来客スペース、打合せスペースの割合を最適化しました。大人数向け会議室を削減し、小ブース(MAP紫)を新設したりしています。
また、フリーアドレス化に伴い社内用のキャリーバッグと部署別ロッカーを用意し、個人の荷物を最小限にしてオフィス空間を効率的に利用してもらえるよう呼びかけていく予定です。置き場所があることで荷物が増えるので、倉庫やキャビネット・袖机類も減らす予定です。

壁一面やランダムにホワイトボードが配置された「HUDDLE」(MAP壁際点線部分)は、立ったままでもスピーディーなブレストやディスカッションができる場として現行オフィスにもありますが、より数を増やし機能を充実させました。

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HUDDLEとは:
元々はアメリカンフットボールの試合中に行われる、フィールド上で選手たちが円陣を組んで行う作戦会議のこと。
そこから転じて、必要な時に短時間(10分〜30分)だけ集まって行う会議をハドルミーティングと呼ぶようになりました。
従来のカンファレンス型の会議とは異なり、事前に会議室を予約して日程を調整をするなどの工程を踏まえずに、必要なメンバーだけがパッと集まって、終了したら即座に仕事に戻るというジャストインタイム形式を取るのが特徴です。
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個別デスクの設けられた執務スペース・「FORMAL WORK」(MAPピンク)には昇降テーブル・ダブルモニタ席等を充実させた集中スペース・「FOCUS」(MAP黄)も用意し、じっくり腰を据えて業務に従事できるようにしています。

各エリアはアイリッジの3つのバリューを意識した設計になっていて、「FORMAL WORK」が「iRidge pride」、社員同士のカジュアルなコミュニケーションを促進するスペース・「LOUNGE」が「One team」、職種を超えたメンバーでのディスカッションの場となる「INFORMAL WORK & HUDDLE」が「EXE future」というように、それぞれの場所でバリューを体現できるようにという想いも込められています。

何より、「来たくなるような快適なオフィス」に出来るようにプロジェクトメンバー一同で内装やファシリティを工夫したので、社員のみなさんが喜んでくれたらと思っていますね。

──いよいよ工事も始まっていますが、新しいオフィスのオープンがとても楽しみになりました。今日はありがとうございました。

新オフィス用フロアはただいま絶賛工事中
 
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