UXリサーチってどうやるの? ゼロから始める手順をご紹介 〜UXリサーチのススメ(後編)

より多くの人に使ってもらえるアプリにすべく、UI/UXを改善したい。

そんなとき近道となるのは、「UXリサーチ」を通じて、ユーザーがアプリを使う目的やその背景にあるニーズや悩みを掘り下げることです。

 

ユーザーのインサイトや行動の理由を知り、理解を深めることで、より『使われるアプリ』を作り出すことができます。

 

前編では「UXリサーチとはどんなものなのか」をご紹介しましたが、後編は、企業が自社アプリの価値を高めるためにUXリサーチを実践するための具体的な手法やリサーチの進め方をご紹介していきます! 

UXリサーチはどんなステップで設計するの?

UXリサーチを行う際は、どのようなステップで設計すればいいのでしょうか。

1)リサーチの目的や課題、調査対象者の選定などを設計

まずは、「リサーチの目的」「課題」「調査対象者が誰か」「アウトプットはどんなものが必要か」などの与件整理を行いましょう。

これらの整理をきちんと行い、リサーチの目的や目指す具体的なゴールを、社内で共通認識をもつことが重要なポイントです。

2)リサーチ方法の選定とリサーチの種類

リサーチの目的や課題に合わせて、リサーチ方法の選定を行います。

タイミングや目的、課題や仮説によってリサーチ方法や検証の方法が異なるため、与件整理をきちんと行った上で下記のUXリサーチの種類からどれを選択するべきか検討してください。

3)UXリサーチの実施

仮説をもとに調査を実施していきましょう。

大まかに分けると、リサーチには「アプリ内でどのような行動をしているのか」といったアプリ内の行動ログなど、数値や量で可視化される定量調査と、「なぜその行動を行ったのか」あるいは「なぜその行動を行わなかったのか」といった、行動理由や行動の背景にある感情、思考を調査する定性調査の2つがあります。

どのフェーズで利用するかにもよりますが、どちらかひとつではなく、両者を適宜使い分けることも重要です。

4)データの収集と分析

調査データからユーザーのニーズや思考を分析し、自分たちが立てた仮説通りなのか、違う場合はどのようなギャップがあるのか、なぜそのような差異が生まれているのかといったことの要因を検証しましょう。

5)課題の洗い出しととユーザー体験の設計

ユーザー調査によりアプリのUI/UX上での動線や操作性、デザインにおけるボトルネックや阻害要因から、課題を洗い出しましょう。

可視化された課題に対して、ユーザー視点で「課題を解決してユーザーのニーズを満たすにはどうしたらいいのか」という改善策を考え、実施しましょう。

6)評価

UXリサーチの結果からアプリの改善施策を実施後、アプリの使いやすさ、ユーザーの満足度の評価のために、できれば再度調査を実施しましょう。

UXリサーチは「一度やって終わり」ではなく、得た知見を利用して実施した改善案により、実際にユーザー体験が改善されたのかを繰り返し検証し、改善を重ねていくことが重要です。

 

UXリサーチには、どんなリサーチ手法があるの?

いざ自社アプリの開発や改善に向けて「UXリサーチをやってみよう!」と思った場合、どんな方法を取ることが望ましいのでしょうか。

リサーチの目的、調査対象者や欲しいアウトプットによって調査手法が異なります。

 

アウトプットの方向性によって、複数の調査方法を組み合わせて使用するのもいいでしょう。

ここでは代表的な手法を一部ご紹介していきます。

ユーザーインタビュー

実際にアプリを利用しているユーザーにインタビューをするというリサーチ手法です。

1人のユーザーにインタビューを行う「デプスインタビュー」と、特定の条件で集めて複数名に対してインタビューを行う「グループインタビュー」あります。

アンケートでは深掘りすることが難しい「感情」や「行動した理由」を可視化することで、ユーザーが抱えている悩みや行動を阻害する要因、ユーザーのニーズを発見し、課題を抽出したり可視化するために利用されることが多いです。

ヒューリスティック調査

UXデザインに知見のある専門家が、自身の経験則からアプリのユーザビリティ(操作性やユーザー体験)を評価・分析、する手法です。

ユーザビリティテスト前の課題抽出や、仮説立案の効率化にオススメの分析手法です。

専門家の分析費用がかかる点と、分析者の経験則に基づいて評価するため、ので意見が偏る可能性があるため、できれば複数名で行うことが望ましいです。

ユーザーアンケート

アプリの利用ユーザーに共通の質問を投げかけて、おおまかなユーザーのニーズを察知する目的で行われます。

選択肢での回答を中心とした形式でオンライン上で実施されることが多いため、一人ひとりの行動理由や背景など、心情的な情報までは入手できません。

あくまでユーザーのニーズを俯瞰的に掘り起こしたり、定性的なデータ取得でユーザー傾向をつかんだりするために利用しましょう。

NPS(Net Promoter Score/ネットプロモータースコア)

「あなたはこのアプリを友人や知人に、どの程度すすめたいと思いますか?」という共通の質問を投げかけて、0~10の11段階で評価してもらい、てアプリに対する愛着度や推奨度を定量化する方法です。

その数値を知ることで、ユーザーがアプリに対して抱いている顧客ロイヤルティを可視化することができます。

継続的に利用してベンチマークを設定できれば、改善や新サービスの導入などがユーザーの心理にどう影響したかを分析する上での良い指標になります。

一方で「どうして顧客が愛着を示してくれるのか」「なぜロイヤルティが低いのか」などの原因の解明にはつながりづらいので、注意が必要です。

ユーザビリティテスト

ユーザーに実際にアプリを操作してもらい、ユーザーの行動を観察する調査方法です。

各機能がどのような画面遷移で使われているのか、であったり、何が操作上のボトルネックになっているのか、をユーザー操作から課題の洗い出しをしたり、仮説の検証を行うことができる調査手法です。

A/Bテスト

仮説を応用したAパターンと仮説を応用していないBパターンなど複数サンプルを用意し、ユーザーの反応によって「どれが一番使いやすいのか」を検証するテストです。

機能やコンテンツ、レイアウト変更などの大きな改善だけでなく、ボタンの位置や色、文言内容の検証など小さな改善を検証する方法としてもオススメな検証方法です。

 

 

UXリサーチのアウトプット参考例

アンケートやユーザビリティテストなどのリサーチをおこなった末に得られた様々な知見は、どのように活用していくべきでしょうか。

場当たり的にリサーチを行うのではなく、調査を行う前から具体的に「リサーチ結果からどのようなアウトプットが可能か」を検討しておきましょう。


【以下、アウトプット参考例】

  • ユーザーアンケートのテキスト分析レポート
  • 定性ユーザー傾向分析報告書
  • カスタマージャーニーマップの作成や更新
  • 課題の洗い出し、抽出リスト
  • デザインコンセプト方針
  • デザイン改善案(ワイヤーフレーム)、デザイン指示書、デザインサンプル
 

 

まとめ

  • UXリサーチはフェーズや調査目的や調査対象によって、リサーチ方法は異なる
  • アウトプットは何が必要なのか、そのアウトプットをするためにどのようなデータが必要なのかを整理してリサーチを進めよう
  • 調査によって上がってきたデータは、必ずアウトプットにつなげよう

 

なお、「自分でUXリサーチをゼロから始めるのは難しい!」という方は、アイリッジのUXリサーチメニューをぜひご検討ください。

UXリサーチを活用して、自社のアプリの改善に役立ててくださいね。

 

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