小売店の集客アイデア12選:オフラインとオンラインに分けて紹介
スーパーやドラッグストア、雑貨店などの小売店を経営する皆さんにとって、集客はビジネスで成功するための重要な要素です。
特に現代の競争が激化した市場においては、効果的な集客戦略が不可欠となっています。
しかし、集客戦略とひとことにいっても、オフラインで完結するものからオンラインを活用するものまでアイデアはさまざまで、それぞれ特徴やアプローチできる層が異なります。
本記事では、小売店の集客方法のアイデアを、オフラインとオンラインの両方に分けてご紹介します。
従来からある方法や最新のデジタルマーケティング手法などさまざまなアプローチ方法をお伝えしますので、ご自身の小売店の集客に役立つヒントを見つけてみてください。
小売店の集客効果をアップさせるターゲットの設定方法
小売店の集客効果をアップさせるには、ターゲットの設定が欠かせません。
「できる限りいろいろな層を取り込みたい」とターゲットを絞らずに経営していると、かえってどの層にも届かない上、無駄なコストが発生するためです。
具体的な集客アイデアを試す前に、まずは以下の手順に沿って自店舗のターゲットを明確化しましょう。
1.商圏分析を行う
2.ターゲットを絞り込む
それぞれ詳しく解説します。
1 商圏分析を行う
「商圏分析」とは、小売店や事業の周辺地域において、潜在的な顧客層や市場の特性を理解するために市場調査を行うことです。
特定の店舗周辺の人口や競合状況、需要の傾向などを調査・分析することで、適切な戦略を立てることができるようになります。
来店する頻度、つまり小売店の業種によって商圏となる範囲は異なり、例えばコンビニであれば半径500m以内、スーパーの場合は半径0.5〜2km以内を分析することが多いです。
2 ターゲットを絞り込む
集客を成功させるためには、商圏分析を踏まえた上で、ターゲットを絞り込むことが重要です。
具体的なターゲット設定には、以下のような要素を考慮します。
- デモグラフィック要素:年齢、性別、所得レベル、家族構成など
- 心理的要素:ターゲットの関心事、ライフスタイル、嗜好、ニーズなど
- 顧客行動:顧客の行動パターンや購買行動
これらをもとに、「自分の店舗にはどのような人が来るのか」を想像し、絞り込みましょう。
具体的なターゲット層を設定しておくことで、顧客がどのような商品やサービスに興味を持つのかを理解でき、集客戦略やプロモーションの内容を調整することができます。
ターゲットを絞り込んだら、具体的な集客アイデアを検討しましょう。
今回は、小売店の集客アイデアをオフライン編・オンライン編に分けてそれぞれ詳しく紹介します。
オフラインでできる小売店の集客アイデア8選
オフラインでできる小売店の集客アイデアとしては、以下のような方法が挙げられます。
- イベント・セールの開催
- 陳列方法の変更
- 看板の設置
- POPを利用した売り場の整理
- チラシ・パンフレットの配布
- DMの配布
- 買い物かご・カートの用意
- ポイントカード・会員カードの活用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1 イベント・セールの開催
定期的なイベントやセールの開催は、顧客の関心を引きつけ、集客を促進するのに効果的です。
特に開店したばかりの店舗であれば、周辺での認知度を向上させるのにも役立つでしょう。
実際、4月に行われることの多い「新生活応援セール」や、その店舗にしかない「創業記念セール」などの文言に惹かれ、思わず入店してしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
主婦層をターゲットにした日中のタイムセールや、遅くまで働くビジネスパーソンを対象にした夜間セールなど、ターゲット別に内容を変えて実施するのも集客効果が期待できます。
ただし、セールのしすぎには注意が必要です。
「いつも安売りをしているお店」というイメージが広がると通常時に来店してもらえなくなる可能性があるため、特別感を忘れないようにしましょう。
2 陳列方法の変更
商品の陳列方法を変えてみるのも、集客力や売上をアップするのに役立ちます。
商品の配置を変えたり、特定の商品を目立たせたりすることで、顧客の目を惹き、興味を持たせることができるためです。
陳列方法には以下のような複数の種類があるため、店内をガラッと変えてみるのも良いでしょう。
- ゴンドラ陳列:棚に並べて陳列する方法。コンビニやスーパーで採用されることが多い。
- 平台陳列:テーブルやワゴンを用いて陳列する方法。セール商品に向いている。
- ボリューム陳列:商品を山積みに陳列する方法。広いフロアを要する。
- ショーケース陳列:ショーケース内に陳列する方法。冷蔵商品や高級品に採用することが多い。
- 展示陳列:商品を展示するように陳列する方法。アパレル店舗などで用いられる。
また、目玉商品を店頭に置いて入店を促したり、新商品をレジ横において最後の「ついで買い」を促進したりする方法もおすすめです。
季節やイベントに応じてテーマを変えたりディスプレイ設置したりする方法も効果的です。
3 看板の設置
店舗の外や周辺に鮮明で魅力的な看板を設置することで、通行人の目を惹き、集客効果を高めることができます。
認知度アップにも役立つため、特に地域密着型の小売店におすすめの方法です。
看板には店舗名やロゴ、特別なセールやキャンペーンの情報を明確に表示しましょう。
また、看板のデザインや色使いにも工夫を凝らし、視覚的にインパクトを与えることが重要です。
4 POPを利用した売り場の整理
POP(Point of Purchase)は、商品や特典の情報を提供するためのポスターや表示物のことです。
単純に低価格を押し出したものから、「有名人の〇〇さんが愛用中!」など、多くの小売店では思わず目を惹くPOPがたくさん設置されています。
商品棚だけでなく、入り口や階段、床などにPOPを設置している店舗も少なくありません。
POPを売り場内に設置する目的は、商品の特長や魅力を来店客に伝えることです。
セールや割引情報、目を惹く文言などもPOPで記載することで、購買意欲を刺激する役割もあります。
5 チラシ・パンフレットの配布
チラシやパンフレットの配布は、周辺地域やターゲット顧客に対して直接的に情報を提供する手段です。
特に地域密着型の小売店では、近隣の住民に対してチラシやパンフレットをポストに投函したり、店頭で配布したりすることで集客効果を高めることができます。
チラシやパンフレットには、特典や割引、限定商品などの情報を明示し、興味を惹くようなデザインやコピーを活用しましょう。
ただし、むやみに配布するのは避けるべきです。
コストや工数を無駄にしないためにも、きちんとターゲットを絞った上で配布エリアを決めましょう。
中高年層やファミリー層をターゲットにしている場合は、新聞折込チラシもおすすめです。
6 DMの配布
DM(ダイレクトメール)は、郵送などで顧客にハガキやカタログなどを直接送付する手法です。
顧客情報を必要とするため、新規顧客の獲得よりも、リピーターの獲得や休眠顧客(※)の掘り起こし効果が期待できます。
DMを配布する際は、顧客に合わせたメッセージを作成したり、「以前ご来店いただいたあなたへ」「今回だけの特別セール実施中」などの特典を提供したりするのがおすすめです。
特別感を与えることで顧客の興味を引きつけ、来店を促すことができます。
※「休眠顧客」
過去に小売店から商品やサービスを購入していたが、一定期間以上にわたって購買活動を行っていない顧客のこと。一度は関心を持ち、購買行動を起こしているため、なんらかのきっかけによって再来店する可能性が高い。
7 買い物かご・カートの用意
店内に買い物かごやカートを十分に用意することは、顧客のストレスを取り除き、利便性を向上させる効果に期待できます。
買い物かごやカートを使用することによってスムーズに買い物できるようになり、無意識的に購入する商品数が増える顧客も少なくありません。
買い物かごやカートを店内の複数カ所に置き、利用を促しましょう。
アパレルショップなど、一般的にあまりかごが利用されない小売店では、商品を持っている顧客に対してスタッフから「よろしければかごをお使いください」と声をかけるのもおすすめです。
8 ポイントカード・会員カードの活用
店舗限定のポイントカード・会員カードを作成することで、2回目以降の集客につなげる効果が期待できます。例えばポイントカードによって会計時にポイントが貯まるようになると、「ポイントを使わないともったいない」と思うようになり、2回目以降の来店につながります。割引以外にも魅力的な特典を設定しておけば、その特典をゲットするために利用する人も増えるはずです。
ポイントカードと会員カードを両方作成するなら、1つにまとめたアプリの開発・導入がおすすめです。会員証とクーポンの利用状況に関する調査では、「会員証・ポイントカードの利用頻度について、物理カードかアプリかなど、その形態によって変わりますか?」という質問に対し、「形態で利用頻度は変わらない」と答えた人が40%と最も多く、次に「アプリの方が利用頻度が高い」と答えた人が29%、「カードの方が利用頻度が高い」と答えた人が15%を占めていました。
全体で見ると物理カードでもアプリでも利用頻度は変わらないという結果になりましたが、年代別に見ると20代は「アプリの方が利用頻度が高い」と回答した人が最多という結果となっています。そのため、若者向けの商品を取り扱う小売店であれば、ポイントカード・会員カードのアプリ化を検討してみるのも良いでしょう。
ポイントカードや会員証のアプリ化に関心がある方は、アイリッジの調査レポート『会員証およびクーポンの利用実態レポート』もぜひご覧ください。年代別の利用傾向やアプリ派の割合、クーポン活用の実態などを詳しくまとめています。
オンラインでできる小売店の集客アイデア7選
オンラインでできる小売店の集客アイデアとしては、以下のような方法が挙げられます。
- ホームページの運用
- SNSの運用
- Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)に登録
- 地域ポータルサイトに店舗情報を掲載
- アプリの活用
- Web広告への出稿
- メールマガジンの配信
- アプリの活用
それぞれ詳しく解説していきます。
1 ホームページの運用
ホームページの運用は、オンライン集客における基本ともいえる方法です。
魅力的なホームページを作成して、商品の詳細やセール情報など顧客にとってメリットのある情報を掲載することで、集客につなげることができます。
ホームページがあることで、店舗の信頼性を高めることもできるでしょう。
ただし、ホームページで本格的に集客するためにはデザインやSEO(※2)の知識・ノウハウ、そしてリソースが必要になります。
はじめのうちは制作会社に依頼して、慣れてきたら自社運用に切り替える方法もおすすめです。
※2「SEO」
「Search Engine Optimization」の略称。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで特定のキーワードで検索した際、自分のサイトが上位に表示されるようにコンテンツを作り込むこと。上位表示されればされるほどアクセス数が多く、集客効果も高いといわれている。
2 SNSの運用
スマホの利用が一般的になった現代、SNSの活用も高い効果が期待できます。
特に若い世代では、SNSを通して行きたい店舗を探し、事前に情報を集めてから来店するという人も少なくありません。
実際に来店した顧客が自身のSNSを通じて拡散してくれ、来店客数が一気に増えた、という事例も多くあります。
ただし、SNSとひとことにいってもFacebook、Instagram、Twitter、TikTokなどその種類はさまざまです。
それぞれ特徴が異なるため、店舗の性質に合ったものを選ぶことが重要です。
例えば、「映え」料理を提供する飲食店ならビジュアル要素の高いInstagramが良いでしょう。
SNSマーケティングの効果や戦略についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
3 Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)への登録
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)は、Googleマップ上で店舗情報を表示するためのツールのことです。
店舗情報(営業時間、住所、連絡先、外観写真など)を掲載することで、「〇〇(地名) ▢▢(業種名)」と検索した際に店舗が表示されます。
Googleアカウントを持っていれば無料で利用できるため、小売店を経営している場合は必ず登録しておきましょう。
4 地域ポータルサイトに店舗情報を掲載
地域や自治体によっては、役所や商工会などが運営する地域ポータルサイトがあることがあります。
そこに店舗の情報を掲載しておくことで、地域の顧客に対して露出を高めることができ、一定の集客効果が見込めるでしょう。
地域密着型の小売店におすすめの方法です。
5 アプリの活用
小売店が効率的に集客を行う方法として、Web広告の活用も効果的です。
Google広告やSNS広告(InstagramやFacebook、Xなど)を利用すれば、地域や年齢、興味関心といったターゲットを絞ったプロモーションが可能になります。
例えば「近隣の地域に住む20~40代女性」に向けて新作商品の紹介広告を配信することで、来店意欲を高めることができます。
また、Web広告はクリック数や閲覧数といったデータが蓄積されるため、広告効果を数値で把握でき、改善につなげやすい点もメリットです。
短期間でのキャンペーン告知やセール情報の拡散にも向いており、限られた広告費でも高いリターンが期待できます。
まずは少額からテスト運用し、自店舗に合った広告媒体や訴求方法を見極めていくのがポイントです。
6 メールマガジンの配信
メールマガジンは、既存の顧客や会員に対して定期的に情報を届けられる、費用対効果の高い集客手段です。
セールやイベント情報、新商品の案内などをタイムリーに発信することで、リピーターの来店を促進できます。
また、限定クーポンや誕生日特典などの特別オファーを盛り込むことで、開封率や反応率を高めることも可能です。
配信にあたっては、内容のわかりやすさや読みやすさを意識するとともに、配信頻度にも注意が必要です。
過度な配信は購読を解除される可能性があるため、週1回~月2回程度を目安に設定すると良いでしょう。
加えて、件名の工夫や名前の挿入などを行うことで、さらに開封率を向上させることが可能です。
7 アプリの活用
小売店独自のアプリを開発することで、顧客との関係性を強化でき、集客効果を高めることも可能です。
「店舗アプリのDX実態調査レポート」では、アプリから配信するクーポンやポイントをきっかけに、来店・購入をする人の割合を調査したところ、アプリ利用者の68.2%もの人が「店舗に来店または商品を購入したことがある」と回答しています。
また、来店時にクーポンやポイントの存在を知った場合に、購入の動機になると回答した人は19.3%にも上りました。
この調査から、アプリからお得なクーポン・ポイントなどを配信することで、高い集客効果が表れていることがわかります。
アプリの導入によって、単に集客効果をもたらすだけでなく、お得な制度や会員限定の特典を用意することで、顧客のロイヤルティ(店舗に対する愛着・信頼感)向上も期待できます。
また、アプリからプッシュ通知や個別にメッセージを配信することで、継続的に顧客と関係を構築していくことも可能です。
小売店独自のアプリを開発する以外に、チラシアプリに掲載するのもおすすめです。
チラシアプリは新聞を購読していなくても、アプリから小売店のチラシを閲覧できるサービスのことをいいます。
自店舗を知ってもらうきっかけになるため、まずは認知度を高めたい方はチラシアプリを活用してみましょう。
アプリ施策の効果を高めたい方は、店舗アプリの最新動向をまとめたホワイトペーパーもぜひご覧ください。「アプリで変わる購買体験|店舗アプリのDX実態調査レポート」では、クーポン・ポイント施策による来店促進効果や業態別の利用実態をデータで解説しています。
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まとめ
小売店の集客を成功させるためには、セールの開催や看板・POPの設置、DMの配布などの「オフライン集客」とSNSやホームページ、アプリなどを活用した「オンライン集客」を同時に行うことが重要です。
さまざまな施策を組み合わせて実施することで、新規顧客と既存顧客の両方に効果的にアプローチすることができます。
本記事で紹介したアイデアを参考に、自店舗に合った集客施策をぜひ試してみてください。
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