顧客VOICE:“どローカルで良質な情報”を届けることを大切にしている、沖縄情報メディア『OKITIVE(オキティブ)』の運営とは
2024年11月に放送開始から65年の記念を迎えた沖縄テレビ放送株式会社様。
同社が運営する沖縄情報メディア『OKITIVE(オキティブ)』が2024年10月に月間300万PVを達成し、その勢いは止まりません。そんなメディアの運営はどのように行われているのでしょうか。
前回はOKITIVE立ち上げ編インタビューをお届けしましたが、今回は運用編としてOKITIVEの運用に携わる皆さまにお話しを伺いました。
▼OKITIVEの立ち上げ編インタビューはこちら
・社員のマインドまでをも変えてしまった、沖縄情報メディア『OKITIVE(オキティブ)』がもたらした効果とは #1
・社員のマインドまでをも変えてしまった、沖縄情報メディア『OKITIVE(オキティブ)』がもたらした効果とは #2
写真左から、沖縄テレビ放送株式会社 編成局 編成運行部 部長 野波様、仲嶺様、アイリッジ 小野、沖縄テレビ放送株式会社 営業局 メディア企画部 上原様、当真様、(写真撮影:アイリッジ 今江)
<OKITIVEご担当業務>
野波様:OKITIVE編集長
仲嶺様:制作管理、広報、社内推進チームの調整
当真様:セールス企画、収入管理、運営管理サポート
上原様:収入管理、技術部門の調整
今江(アイリッジからの常駐):編集・運営サポート、セールス企画サポート
次第に変化する社内の意識と行動
──OKITIVE立ち上げの背景について教えてください。
野波さん:
テレビ視聴率が減少傾向である一方で、インターネットの視聴時間は年々増加しており、広告売上もネット広告の方が大きくなりました。沖縄テレビとして何か新規事業を立ち上げなくては、という中でオウンドメディアという案があがったということが背景です。
Webを通してテレビへの関心度を高めたいという意図もありました。
<OKITIVEについて>
「OKITIVE」は沖縄に関するヒト・モノ・コトを軸に、あらゆる切り口で情報をお届けする沖縄エリア特化型メディアです。沖縄テレビが開局60周年を迎えた2019年末頃から、テレビ局の新たなあり方を模索する取り組みとして構想が始まり、能動的・活発に沖縄の情報を探している人と沖縄をつなぐという想いを込めたWebメディア「”OKI”NAWA+AC”TIVE”=OKITIVE」として、2021年12月にスタートし、2024年10月には月間300万PVを達成しました。
詳細はプレスリリースをご覧ください。(https://iridge.jp/news/202411/37098/)
──OKITIVEがスタートした当初、社内の雰囲気はいかがでしたか?
上原さん:
当時は番組以外で何かを新しく始めることが少なかったため、「何をやったらいいんだろう?」という雰囲気はありました。デジタルを推進していかなければならないという思いはありつつ、専門的な部分には少し抵抗があったように感じます。
なので、まず初めに、わかりやすいロゴ制作やテーマ決めを社内アンケートで募集したことは、進め方としてとてもよかったと思います。
その後はプロジェクトチームに自ら手を挙げる人がいたり、上長からの推薦で参加する人が出てきました。
──苦労された点があれば教えてください。
当真さん:
新しいこと、さらにデジタル領域に足を踏み入れることの理解を得るのに、かなり苦労をしました。
何もない状態からスタートするまで、すべてのフェーズで苦労しましたが、スタートした後は社内がとても前向きな姿勢に変わりました。面白そうなこと、何ができるかを考えて関わってくれるようになった現在は、本当に頑張ってよかったと思います。
“どローカルで良質な情報” が届けられるメディアを目指す
──OKITIVEが目指しているのはどんなメディアでしょうか?
仲嶺さん:
県内の方はもちろん、県外の沖縄ファンの方の可能性を非常に大きく感じていますね。沖縄ファンの方が見て、タメになるような存在のメディアにしていきたいと思っています。
当真さん:
大前提として、沖縄テレビは沖縄県域の約145万人にしか情報を発信していませんでしたが、県内外問わず、海外にも情報発信ができることに魅力を感じてOKITIVEを立ち上げています。
その中でも、ローカルテレビ局だからこそ可能な “どローカルで良質な情報” が届けられるメディアを目指していきたいと思っています。
小野:東京や大阪など、県外からのアクセス数が多いのもOKITIVEの特徴ですよね。
今江:
そうですね。現在、沖縄県内のアクセスが全体アクセスの約20%、関東からのアクセスが20〜30%、あとは大都市というような割合ですかね。
今後、さらに沖縄ファンの方全員に見ていただけるようなメディアに成長して欲しいですね。そこがテレビ視聴者とは違う層にリーチできる、Webメディアの利点だと思いますので。
小野:
OKITIVEが成長していく中で、様々な『ヒト・モノ・コト』のハブになってきていると感じています。OKITIVEを中心として、今後はイベントなどのオフラインも絡めた施策をやっていくのも面白そうですよね。
今江:オフラインも絡めていけたらよいですよね。まずは、県内外の沖縄ファンにとにかくOKITIVEをみてもらう!というのが目標です。
(写真撮影を担当していたアイリッジ今江)
──良質なコンテンツをたくさんアップされていますが、その運用体制について教えていただけますか。
今江:
OKITIVE推進チームとしては、部署を横断した12名程度のメンバーが参加し、毎週議論をしていますね。その中で、運用については編成運行部の4、5名で行っている形です。あとは外部のライターさんにもご協力いただき、テレビとは別のコンテンツを作成しています。
たくさんのコンテンツが安定して供給できるのは、テレビコンテンツの切り出しが可能な点です。人気番組や社会性の担保されたニュースがWebコンテンツ化できるので、大量のコンテンツが毎月毎週供給できているのかなと思います。
──コンテンツ制作時に意識していることはありますか?
今江:
鮮度の高い情報を届けることと、ローカルテレビ局だからこそキャッチアップできる地元情報を届けるということを大切にしています。
また、テレビ局の運営するメディアだからこそ、情報の正確性には非常に気を遣っています。例えば、お店まで徒歩何分で着くのかという一見細かいようなところでも、間違った情報は届けられませんので。
野波さん:
個人的には、社員が取材をして作成している『給料日めし』というシリーズが、最近更新されないのが残念です。仲嶺さん、理由はなんですか?
仲嶺さん:グルメ取材は太るのでお休みしてます(笑)
OKITIVEは沖縄テレビのイメージも変えた
──ブランディングやリクルート面でもOKITIVEの効果があると伺いました。皆さんは感じていらっしゃいますか?
仲嶺さん:
インターン生からも、よくOKITIVEの話を聞きます。
意識して言ってくれているのもあるとは思いますが、グルメ情報を探すとなった時、今まではInstagramを見ていたけど、OKITIVEを見るようになりましたと言われたり、こういう機能があったらもっといい!などの改善要望をもらうこともあります。若い人たちも意識して見てくれていると思うと、とても嬉しいですね。
小野:OKITIVEをきっかけに営業機会が生まれることもありますか?
当真さん:
そうですね。テレビ局には売り物がCMしかないと思われがちですが、沖縄テレビにはOKITIVEがあるから、Webメディアを含めたトータル提案ができそうだと広告代理店さんから共同企画のお声掛けをいただくことが増えたように思います。特にメディア予算が細かく分かれていないクライアント様を抱えている代理店さんは「沖縄テレビさんだったらテレビもWebもお願いできる」と相談をいただいている流れかと思っています。
OKITIVEがあることで、Web領域への知見がありそうという印象が付いてきたのか、Web単体のご相談も増えてきています。
新しいことに取り組んでくれそうという期待値も高くなっているように感じているので、OKITIVEは沖縄テレビの広告の幅を広げてくれたと思っています。
やりたいことをスピーディーに実現するためには外部の力も必要
──現状感じている課題があれば教えてください。
仲嶺さん:
社内の推進チームがありますが、次のステージに行くためには、やるべきことはしっかり見据えた上で、予算も人もパワーも欲しいなとは率直に思っています。
野波さん:
限られた予算の範囲内で予算を配分していくのが悩ましいところです。やりたいことのアイディアは出てくるが、誰がやるのか、いくら使うのかの調整が難しいと感じています。
上原さん:
これまでテレビ局にいなかった、アナリストやエンジニアなどの人材を今後どう確保し、育てていくのかは、長く続ける上で考えなければならないポイントだなと思っています。
当真さん:
運営的には、領域が増えた分やりたいことが多くなったという感じです。まだ体制が作れないという点は課題として認識していますが、やりたいことが増えたというのは、とてもいいことだと思っています。
──アイリッジに対して感じていることがあれば教えてください。
上原さん:
本来、サポートをしてもらっている中でノウハウを吸収しなければならないと思いますが、今は運用第一になってしまっているので、ノウハウの蓄積をもっとしていかなければならないと感じています。
仲嶺さん:
SNSの専門の方を配置して運用してもらったり、今まで分からなかったことをOKITIVEを通して学ばせてもらっています。OKITIVEで得た知見は、他の場面でも生きてくると思うので、非常にありがたいと思います。
当真さん:
当初は社内で内製化することを目標にしていましたが、スピード感も求めなければならないなかで、自分たちだけで推進するよりアイリッジさんと組んで進めていくことがベストだなと、会社としても思っています。
チームの中にアイリッジさんがいることでOKITIVEが成り立っていると言ってもよいです。
小野:
ありがたいお言葉です。
アライアンスという観点からいうと、デジタルマーケの領域でもっとアイリッジの知見を組み込みたいなと感じています。東京支社との連携も、よりPVやマネタイズに寄与する形で加速させていきたいですね。
今後、新規事業を進めていくにあたっては、さらに密なコミュニケーションが必要だと思っていますので、そのあたりも宜しくお願いいたします!
沖縄県に関わる全ての人の課題解決ができるようなOKITIVEの未来
──最後に、OKITIVEの今後の展望を教えてください。
当真さん:
県外に情報を届けられるメディアとしてOKITIVEがパワーを持ってきましたが、まだまだ途中段階だと思っています。
ゆくゆくは沖縄県に関わる人の課題解決ができるようなものにしていけたら良いなと思います。例えばOKITIVEとアプリを連携させて、旅の前から旅の後まで全てをOKITIVEで完結できるようなものにしていきたいですね。アプリとの連携部分などは本当にこれから考えていくのですが。
野波さん:
2024年7月に月間100万PVを達成したので、今年度は月間200万PVを目指すのが当面の目標です。
(※インタビュー後、2024年10月に月間300万PVを達成!)
仲嶺さん:沖縄ファンは日本だけではないので、いずれは海外の方に向けた発信もしていきたいです!
当真さん:じゃあ、来年度の目標は1,000万PVでいいですか?
仲嶺さん:わ…わかりました。カッコ笑いって付けておいてください!(一同笑い)
──これからのOKITIVEの発展も楽しみです!本日はありがとうございました。
(取材・文:松岡知美/榎本蒼、写真:今江誠治)