SKUとは?SKUを設定すべきケースや設定方法、設定時の注意点も解説
小売業や物流業などで耳にする「SKU」は、普段の生活では使用しない単語です。聞いたことがあり、業界に携わっている場合でも、「具体的に説明できない」「伝えにくい」と考える方もいます。
そこで今回は、SKUがどういった意味を持つ単語なのか解説すると共に、SKUを導入するメリットや必要性、設定方法などについて解説していきます。設定時の注意点についてもお伝えしていくので、SKUを理解したい方やSKU管理に課題を持っている方などは、ぜひ参考にしてみてください。
SKUとは?
SKUとは、「Stock keeping Unit」の略称で、日本語に直訳すると「在庫管理単位」といいます。具体的には、受発注や在庫管理を実施する際に「最小の品目数を数える単位」を表す単語です。わかりやすくいえば、「これ以上商品を同じ種類に分けることができない」という考え方です
アパレルなどの現場では取り扱っている商品をSKUで管理を行うことが一般的です。同じ商品でも、パッケージや入数、サイズや色などの違いで区別があり、SKUはアイテムよりも小さな単位として分類していきます。
例えば、同じ製造元から販売されている同じ銘柄の「料理酒」でも、容量が1Lと500mlの商品があれば、SKUは2つに区分される仕組みです。SKUを設定すれば、在庫状況をより正確に把握できるので、効率的な在庫管理が可能になるのです。
SKUの数え方は?
SKUの数え方を「靴下」を例に挙げて解説していきましょう。あるお店で靴下が赤・青・黄色の3色で3サイズ(S・M・L)展開されていたとします。その場合は、以下のように1色×1サイズごとに分けられます。
- 赤×S
- 赤×M
- 赤×L
- 青×S
- 青×M
- 青×L
- 黄色×S
- 黄色×M
- 黄色×L
そのため、このお店での靴下のSKUの数え方は「9SKU」となります。お店によっても異なりますが、取り扱っている商品が多いお店では100,000SKUまで細分化されているケースも多くあります。
SKUと商品アイテムの違いは?
アイテムとは、商品の種類を指す言葉です。品目を意味しており、サイズや色が異なる場合でも同じ素材やスタイルであれば同一として管理される仕組みです。例えば、文房具の中にある「えんぴつ」や「シャーペン」「ボールペン」などがアイテムとなり、在庫管理や物流では、集合単位として扱われています。
SKUは前述したように同じ商品特性であっても、さらに細分化して分類しています。そのため、シャーペンであればデザインや数の違いなどによって、分類できるので、アイテムより細かい商品単位での管理が可能となります。
SKUとカテゴリーの違いは?
カテゴリーとは、アイテムの集まりや同種のものが属している分類を指す言葉です。例えば、小売業では青果や精肉、魚や調味料、菓子や惣菜など、さまざまな商品をカテゴリーごとに分類して販売しています。青果のカテゴリーには、リンゴやオレンジ、キャベツなどの果物や野菜が含まれ、精肉のカテゴリーでは鶏肉や豚肉などが含まれる仕組みです。そのため、SKUよりも大きく分類されたアイテムを指す言葉となるでしょう。
SKUによる管理が必要な理由・メリットとは?
在庫管理の現場において、SKUによる管理が必要な理由は以下の通りです。
- 在庫の正確な把握が可能
- 効率的な商品管理を実現
- 販売データの詳細な分析が可能
- 業務ミスの削減につながる
それぞれを詳しく解説していきます。
在庫の正確な把握が可能
SKUを設定すれば在庫状況をより細かく把握できる利点があります。例えば、缶チューハイは同じアイテムでも味や内容量などに違いがあります。SKUを設定していない場合は、どのアイテムが売れたのか細かい部分まで把握することができません。しかし、SKUを設定していればどのアイテムが多く売れたのかを細かい部分まで把握することが可能です。
缶チューハイであれば、レモンやグレープフルーツ、オレンジなど、味だけではなく、500mlや350mlなどのサイズごとに売れた商品がわかるので、どの商品が多く売れて在庫が少なくなっているのか、どの商品の在庫が多く残っているのかを正確に把握することが可能です。在庫切れによる販売機会の損失や消費者のニーズに沿わない商品の販売などを避けることにもつながります。
効率的な商品管理を実現
SKUを活用すればリアルタイムで色やサイズといった分類によって在庫を細かく把握できるので、商品管理の効率化を図れます。例えば、同じTシャツでも色やサイズごとにSKUを設定すれば、どのアイテムが販売されたのかを把握するために役立ちます。在庫を追加する際、細かな部分まで在庫を把握できなければ余計なものを発注する可能性もあり、在庫過多を招く恐れもあります。
しかし、SKUを設定していれば多く販売されたものが明確化されているため、不要なアイテムの発注を防げるのです。機械的に商品を管理できるので、豊富な品揃えも実現しやすくなります。中でもECサイトは商品の品揃えの多さやスピーディな発送が求められるので、SKUでの効率的な商品管理によるメリットを受けやすいといえます。
販売データの詳細な分析が可能
SKUは、商品に関するさまざまなデータと紐づけることが可能です。売上データや在庫データとSKUを紐づければ、商品別・属性別の売上分析や在庫分析、需要予測といった分析ができます。データ分析によって得た情報は、商品の企画やマーケティング戦略を練る際に役立ちます。
例えば、人気のアイテムがわかれば商品展開を多くすることで売上アップを狙えます。不人気商品があれば廃止することで新たなアイテム導入による売上アップや在庫リスクを減らせるといった商品戦略を立てることが可能です。結果として利益率向上につながり、ビジネスを成長させることにも役立つはずです。
業務ミスの削減につながる
SKUによって商品が管理できれば、業務ミスの削減にもつながります。商品の種類が増えると、管理が複雑化してしまいます。しかし、SKUを設定すれば商品を明確に特定できるため、発注でのミスを防ぐことに役立ちます。
例えば、アパレル業界であれば商品ごとにルールを設ければ発注作業の効率化を目指せる仕組みです。例えば、「赤色のSサイズのTシャツ」を発注したい場合、SKUを設定していなければすべて入力する必要があり、文字の入力ミスによって誤発注をしてしまう可能性もあります。
しかし、「TシャツはT」「赤はレッドのR」「サイズはアルファベット表記」として、SKUを「T-R-S」とルール付けすれば簡単に区別ができるようになります。さらに、SKUをデータ化すれば機械的な発注ができるようになるため、ミスの削減にもつながる仕組みです。作業の効率化にもなるため、時間をかけずに発注作業を終わらせることができます。
SKUを設定すべきケースと設定方法
消費者のニーズが多様化していることで、少量多品種での在庫確保を目指す企業も増えてきています。そのため、在庫管理を正確にするためにもSKUの設定が重要です。基本的には、商品に付いているバーコードを基準にSKUを設定しますが、以下のようなケースでは商品ごとにSKUの設定を個別に検討しなければいけません。
- 商品名単位が異なる場合
- 特性が同じでも内容が異なる場合
- 正味量や内容量の単位が異なる場合
- パッケージ内容が異なる場合
- 販売単位が異なる場合
- セット内容が異なる場合
それぞれを詳しく解説していきます。
商品名やブランド名の単位が異なる場合
同じ農場から出荷された収穫物でも、ブランド規格に該当する商品もあれば該当しない商品もあります。その場合、該当する場合と該当しない場合でSKUを区別する必要があります。
そもそも違う商品であればSKUも区別しなければいけません。商品名やブランド名の単位が異なるのであれば、SKUも異なる設定をしなければ大きな発注ミスを招く要因です。ユーザーからの信頼を失う恐れもあるので注意してください。
商品特性は同じで内容が異なる場合
商品特性は同一でも、内容が異なる場合もSKUを個別に設定する必要があります。例えば、色やサイズなどです。同じ商品でも色やサイズが違う商品を同一のSKUで管理してしまうと、誤入荷や誤出荷につながります。
例えば、ボールペンでも黒・赤・青・緑・黄色など、色違いのものは多いと予想できます。これを1つのSKUにすれば、売れている色がわからず在庫過多を招く要因となってしまいます。それぞれ別のバーコードを設定して別のSKUとして取り扱えば、在庫不足や在庫過多を防ぐことにつながります。
サイズに関しても、Tシャツやズボンといったアイテムは、同じ商品でもサイズ違いのアイテムは多いはずです。この場合も、別々のSKUを設定すれば管理がしやすくなります。
商品の正味量・内容量の単位が異なる場合
同じ種類のアイテムでも、内容量に違いがあれば基本的に別のSKUとして取り扱うケースが多いです。例えば、ジュースです。同じ商品でも500ml入りのものもあれば、2L入りの商品もあるはずです。もしECサイトを運営していて内容量の異なる商品を誤発送した場合は、クレームにつながってしまいます。マイナスなイメージを植え付けてしまえば売上にも影響を与えるため注意しましょう。内容量が違う場合、SKUを別々で設定すれば別商品と認識されます。その結果、誤った商品を発送するリスクも減るはずです。
ただし、メーカーによっては増量キャンペーンで一時的に内容量が異なる商品を販売するケースもあります。販売価格を変えない場合は、同一のSKUとして取り扱うケースもあり得ます。内容量が異なるものが混在する場合、ECサイトであれば複数の注文によって内容量が異なる商品が発送される可能性もあります。この場合、「内容量が違う」「同じ量のアイテムが欲しい」といったクレームにつながる可能性もあるため、できる限り同ロットでの組み合わせになるように出荷シーンで気を付けなければいけません。違うSKUで管理するといった工夫も必要です。
パッケージの内容が異なる場合
メーカーによっては一定の期間で商品のパッケージを変更するケースもあります。商品の内容量や価格が同一であれば同じSKUとして扱うケースが多いです。先入れ先出しでの出荷をしていれば、SKUを分けなくても旧デザインの商品が先に出荷されていくはずなので問題もないはずです。
しかし、アニメや映画、キャラクターなどとの限定コラボ企画によってパッケージが変更されるケースもあります。この場合は、パッケージを目当てにして商品を購入するユーザーも多いので、SKUを別に設定した方が得策です。SKUを別で管理すれば、コラボ企画での売上アップといった効果検証もしやすくなります。通常の商品よりもコストが多くかかっているケースもあるため、利益を正確に算出するためにも管理を区別した方が分析もしやすくなります。
販売単位が異なる場合
同一の商品でも販売単位が複数ある商品もあるので、その場合もSKUを分けた方が管理がしやすくなります。特に食品や飲料品などのアイテムで多く発生します。例えば缶ビールは1本売りしている商品もあれば、6缶がセットになった商品もあるはずです。この場合は、商品は2パターンで販売されるので、同じSKUにしてしまえば注文内容と異なる単位での発送をしてしまうリスクがあります。
また、ケース売り用として販売を想定していた商品をピッキング作業者がバラ売り用の在庫と勘違いをして開封してしまう可能性もあります。この場合、バラ売り用のアイテムの在庫が多くなり、セット売り用の在庫が少なくなってしまうため、販売機会の損失につながる恐れがあります。バラ売りとセット売りがある場合は、個数がわかるようにSKUを設定すれば、在庫管理が円滑になります。
セット商品の内容が異なる場合
メーカーによっては、複数の商品を組み合わせてセットアイテムを作っているケースがあります。この場合もセット内容が異なれば異なるSKUを設定する必要があります。
例えば、「Aが1つ・Bが2つ」という商品と「Aが2つ・Bが1つ」「Aが1つ・Bが1つ・Cが1つ」といった商品があれば、それぞれ別種類としての取り扱いとなります。商品によって売上が異なるので、売れる商品が把握できれば売上アップにつながります。
SKUを設定する際の注意点
ここからは、SKUの設定時に注意すべき点を解説していきます。
他の商品と重複しないように一意性を確保する
SKUの基本は、1つの商品に対して1つのSKUです。異なる商品であるにもかかわらず、同じSKUを設定してしまえば発注や出荷での混乱を招きかねません。万が一、ユーザーが求めている商品と異なる商品を届けてしまえばクレームにつながります。お店側としても、設定間違いによって違う商品が入荷してしまえば、保管スペースの圧迫や在庫ロスといったトラブルにつながります。重複させないよう注意してください。
ただし、SKUの先頭を「0」にすると認証システムで認識されなくなってしまいます。例えば、「012345ABC」と「12345 ABC」で分けた商品の場合、認証システムで同じ商品として取り扱われる可能性があります。誤入荷や誤発送につながるので注意しましょう。また、0からスタートしてしまうと、表計算上でも0が削除されるケースがあり、オペレーションミスを発生させてしまう要因になり得ます。リスクを防ぐためにも、「0」から始めないよう気を付けてください。
意味を持たせる命名規則を採用する
SKUを設定する際には、自社内で共有できるようにわかりやすい表記にする必要があります。例えば、文房具を販売しているお店であれば、「えんぴつ」や「シャーペン」「ボールペン」「消しゴム」などがわかるように商品の区分別に番号を決めておけば、在庫データや販売データもアイテム別に管理できます。
ECサイトを運営する場合、在庫を管理する場所と番号をリンクさせればSKUを確認しただけで在庫の場所がすぐに判明するため、出荷作業を迅速化する際に役立ちます。
コードを簡潔にする
設定する際にはコードを簡潔にする点にも注意してください。大前提として大文字と小文字をどちらか一定にします。大文字と小文字を混在させてしまうと認証システムで同一商品だと認識されない恐れがあります。
大文字と小文字を統一すれば、目視による作業での誤認を防止するためにも役立ちます。作業効率をアップさせるためにもアルファベットは大文字もしくは小文字に統一しましょう。どちらの文字を用いるかは、設定前に企業内でルールを定めてください。
特殊文字やスペースを避ける
SKUでは特殊文字やスペースは避けるようにしてください。ECプラットフォームや在庫管理システムでは、英数字での登録を前提としています。そのため、日本語や記号、特殊文字を使っての登録では不具合が生じる可能性があります。特に、ECサイトにおいては複数の販売チャネル間でSKUを統一するため、英数字のみの使用が必須となります。
記号や特殊文字が使えるケースでも、設定することで入力ミスを引き起こす要因となります。シンプルな英数字を用いた方が管理が容易になるため、コード設計時には注意してください。
将来的な拡張を見据え、汎用性を考慮する
SKUは商品が増え続けることを想定した上での設定が大切です。例えば、Tシャツでも翌年に違う色のアイテムが発売されるケースもあります。複数のカラーが販売されればそれぞれ別のSKUを設定する必要があるため、桁数は余裕を持って確保する必要があります。連番やアルファベットを併用するなど、商品数が増加しても対応できるよう工夫することがポイントです。
ただし、SKUの桁数は短縮版の8桁、もしくは通常判の13桁に合わせて設定するようにしてください。桁数が少ない場合は取り扱う商品が増えた時に細分化できなくなり商品の管理が難しくなってしまいます。
在庫管理システムとの互換性を確認する
前述したように、SKUは8桁もしくは13桁での設定が適切です。13桁を超えて設定をしてしまえば、システムに認識されないので注意が必要です。また、すべての商品の桁数を添え終えると、システム上でSKUをソートさせる場合にも扱いやすくなります。また、エクセルで管理する場合は12桁以上の数字は表示できないので、その対策としてアルファベットを混ぜれば問題を回避できます。アルファベットを1文字以上含めて設定するようにしましょう。
まとめ:SKUを正しく運用し、業務を効率化しよう
SKUは、商品管理や在庫管理を効率よく行うために欠かせない単位です。設定や運用の方法によって、業務全体の精度やスピードにも大きな違いが生まれます。SKUを正しく設定することで、在庫の過不足や販売機会の損失を防げるだけでなく、販売データの詳細な分析や業務ミスの削減にもつながります。
特に、商品数が多い小売業やECサイトでは、SKUを用いた適切な運用は重要です。本記事で紹介したルールや注意点を参考に、自社に合ったSKUの設計・運用を検討してみてください。
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