カスタマーサクセスとは?役割や導入メリット、成功のポイントも解説

カスタマーサクセスとは?役割や導入メリット、成功のポイントも解説

マーケティングでは新規顧客の獲得だけではなく、既存顧客の満足度を高めることも大切です。その手段として注目されているのが、カスタマーサクセスです。カスタマーサポートと混同されがちのカスタマーサクセスですが、目的・役割やKPIなどに違いがあります。

今回はカスタマーサクセスの役割や業務内容、カスタマーサポートとの違い、導入するメリット、成功のポイントなどについて解説します。カスタマーサクセスの基礎知識を知り、取り入れたい方はぜひ参考にしてください。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスは、商品・サービスを利用する顧客と能動的に関わり、顧客の成功体験を実現するための支援活動のことです。商品・サービス提供後も継続的に情報提供やサポートを行い成長や成功につなげ、自社と顧客の両方が利益を獲得することを目指します。

カスタマーサクセスは、セールスフォース・ドットコムの創業者であるマーク・ベニオフ氏が、サービスの解約率上昇を防止するために提唱しました。利益率を上げるためには、顧客から商品・サービスを継続して使ってもらうことが求められます。そのためには、既存顧客の満足度を高める必要となるため、その手段としてカスタマーサクセスが意識されるようになりました。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサポートはカスタマーサクセスと混同されがちですが、実際にはさまざまな違いがあります。主な違いは以下のとおりです。

目的と役割の違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの共通点は、目的が顧客満足度を向上させることです。この点が両者を混同させる要素となっています。しかし、具体的な目的・役割には違いがあります。

カスタマーサポートの目的・役目は、顧客の疑問点や一時的な問題・課題、不満を解決することです。それに対してカスタマーサクセスの目的・役割は、先回りして顧客課題に対する解決策を提供することで顧客の成功体験の実現を支援し、商品・サービスの価値を感じてもらうことです。顧客体験を充実させることによって、最終的に商品・サービスを購入した顧客の利益最大化を目指します。

顧客との関わり方の違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートでは、顧客の関わり方にも違いがあります。カスタマーサポートの業務には、問い合わせやクレームの対応などが挙げられます。これらの業務は顧客の問い合わせがあることで機能し、その内容に適した解決策を提案しなければなりません。つまり、カスタマーサポートは、顧客に対して受動的にアクションを取る特徴があります。

一方カスタマサーサクセスは、顧客が不満や疑問から解約するリスクを防ぐために、商品・サービスを利用しはじめた段階から、先駆けて支援します。受動的なカスタマーサポートに反して、企業側から能動的に顧客へアクションを取ることがカスタマーサクセスの大きな特徴です。

評価指標(KPI)の違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートでは、目標の評価指標であるKPI(重要業績評価指標)にも違いがあります。カスタマーサポートの場合、顧客のトラブルや不満をどれだけ迅速に解決できたかという点を指標とします。具体的にKPIに設定されるのは、問い合わせ数・解決までの対応回数・応答時間・処理時間・顧客満足度などです。

カスタマーサクセスは、顧客の成功体験からLTV(顧客生涯価値)を向上できているかという点が指標になります。KPIとなるものは、解約率・アップセルの獲得数・クロスセルの獲得数・顧客ロイヤルティ(NPS)などです。

LTVについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

カスタマーサクセスの主な役割と業務内容

カスタマーサクセスの主な役割と業務内容

カスタマーサクセスは、具体的にどのような業務を行うのでしょうか?ここで、カスタマーサクセスの主な役割と業務内容について解説します。

オンボーディング支援

カスタマーサクセスにおけるオンボーディング支援とは、商品・サービスの導入後、顧客が使い方に早く慣れてもらうために支援する取り組みのことです。オンボーディング支援の手法には、以下のものが挙げられます。

  • ウェルカムメールの送信
  • マニュアルの配布
  • ガイダンス機能
  • FAQやチャットボット
  • セミナーの開催
  • 伴走型サポートなど

商品・サービスを導入しても使いこなせないという理由で、使用をやめたり、解約してしまったりするケースは少なくありません。しかし、導入した時点から企業側からサポートを提供することで、商品・サービスの使い方をいち早く理解でき、継続利用してもらいやすくなります。その結果、継続的な売上の獲得やLTVの最大化につなげることが可能です。

顧客の利用状況のモニタリング

カスタマーサクセスでは、継続的に顧客をサポートしていくことが求められます。そこで必要となる業務が利用状況のモニタリングです。顧客が製品・サービスを使うなかで不満を感じていたり、利用頻度が低下していたりする状況があれば、それをいち早く察知して解決策を提案します。能動的なアプローチによってエンゲージメント率が保たれ、解約リスクを減らすことが可能です。

例えば、利用頻度が低くなっているのであれば、担当者を通じてヒアリングを行い、利用頻度が減っている理由を特定し、それに対するアドバイスを行います。他にも活用方法や疑問を解消するコンテンツを提供することで、継続利用を促すことが可能です。

また、利用状況のモニタリングやヒアリングなどで収集したデータを分析すれば、頻繁に利用している機能や潜在ニーズを把握できます。それらの情報は後述するアップセルやクロスセルの機会を増やすことにつながるでしょう。

アップセル・クロスセルの提案

アップセルとは、既存顧客に現状の商品・サービスよりも上位のモデルやプランを提案することです。顧客ニーズに応えた商品・サービスを提案することで顧客満足度を高められるので、長期的に関係性を築くことができます。また、上位モデル・プランの契約が成立すれば1回の取引あたりの売上がアップするため、企業の収益性も向上させることが可能です。

クロスセルは、既存顧客が購入検討している商品・サービスに加えて、関連商品・サービスを提案することを指します。うまくいけば顧客は一度の取引で複数のアイテムを購入してくれるので、企業の収益を高められます。複数のカテゴリーの売上をアップできるため、単一の商品ラインに依存するリスクが減り、ビジネスの安定性を向上できることもメリットです。

カスタマーサクセスが注目される背景

カスタマーサクセスが注目される背景

カスタマーサクセスの重要性が高まっている理由は何なのでしょうか?ここで、カスタマーサクセスが注目される2つの背景を紹介します。

サブスクリプション型ビジネスの普及

カスタマーサクセスが注目される理由の1つは、サブスクリプション型ビジネスが普及したためです。従来のビジネスモデルは、売り切りでの販売が主流でした。売り切りの場合、顧客に対して最低限のサポートを行えば、受注時に大きな利益を得ることができます。

しかし、現在は利用料を対価に継続的にサービスが提供されるサブスクリプション型ビジネスが増加しています。音楽や動画配信サービスをはじめ、自動車や家具・家電、食材など多岐にわたるジャンルで展開されており、主流のビジネスモデルとなりつつあるのです。

サブスクリプション型ビジネスを成功させるためには、顧客に継続利用してもらうことが重要です。基本的にサブスクリプション型ビジネスは利用しやすい月額料金が設定されており、解約のハードルも低い特徴があります。そのため、何か不満があれば簡単に解約されるリスクがあるため、それを回避するためには先回りで顧客に対して支援を行うカスタマーサクセスが必要です。

顧客ニーズの多様化

顧客ニーズが多様化したこともカスタマーサクセスが注目される理由の一つです。現在はデジタルの発展によって、オンラインから情報収集や購入することが一般的になりました。そういった背景からパーソナライズされた商品・サービスを求める顧客が増え、サービスも多様化しました。

今では顧客ニーズが細分化されており、そのニーズを汲み取って満足させる必要があります。それを実現させるためには、商品・サービスの満足度向上につなげるカスタマーサクセスが必要不可欠です。

カスタマーサクセスを導入するメリット

カスタマーサクセスを導入するメリット

カスタマーサクセスを導入することには、さまざまなメリットがあります。具体的なメリットは以下の3つです。

解約率(チャーンレート)の低減

カスタマーサクセスの導入は、解約率(チャーンレート)の低減につながります。サブスクリプション型ビジネスでは、継続利用が収益に直結します。つまり解約率が高まれば安定した収益を得られないため、いかに解約率を低減できるかが重要です。

顧客から商品・サービスを継続利用してもらうためには、顧客からの不満・要望に対する改善に取り組んでいく必要があります。ただ改善するのではなく、顧客と接点を持ち続けることも重要なポイントです。

実際、接点不足が続いたことで顧客ロイヤリティが下がり、解約率が増えたという事例があります。したがって、解約率の低減には継続的に顧客と接点を持って支援を提供することも大切です。

顧客満足度とロイヤルティの向上

顧客満足度とロイヤリティを向上できることもカスタマーサクセスのメリットです。SaaS企業のなかにはカスタマーサクセス導入後に顧客満足度のスコアが15%に向上し、さらに解約率が12%改善されたという事例があります。

サブスクリプションサービスを継続利用してもらうためには、商品・サービスに対する信頼や愛着を高める必要があります。そこで重要となるのが、顧客に良質な体験を届けることです。

良質な体験は顧客の視点に基づいて提供しなければなりません。例えば、顧客ニーズや抱えている課題・不満などを把握し、その上で顧客が求める心情品のお知らせや適切なアドバイスなどを継続的に提供することで、顧客満足度やロイヤリティを向上できます。

収益の最大化

カスタマーサクセスの導入は収益の最大化に期待できます。サブスクリプションやサービスの利用量に応じて料金が発生するコンサンプションモデルは、顧客からの継続利用によって収益を得られるビジネスモデルです。

カスタマーサクセスによって顧客満足度やロイヤリティが向上すると解約率を低減できるので、安定した収益を得られるようになります。顧客とのやり取りから得た情報に基づいて商品・サービスの改善や顧客ニーズを満たしたマーケティング戦略の設計、営業プロセスの効率化ができるので、成約率の向上にも期待できるでしょう。また、アップセルやクロスセルの実施を促せるので、客単価の向上によって企業の収益性を高められます。

カスタマーサクセスを成功させるためのポイント

カスタマーサクセスを成功させるためのポイント

カスタマーサクセスを成功させるためには、どんなことを意識すればいいのでしょうか?カスタマーサクセスを成功させるポイントを紹介します。

顧客データの収集と分析

カスタマーサクセスでは、顧客データの収集と分析が重要です。集めた顧客データを分析することで、顧客の行動や満足度、ニーズなどを把握できます。そのデータに基づいて意思決定や適切な対応を取ることがカスタマーサクセスの成功につながるのです。

顧客心理を理解するために参考になるデータは、顧客の声やサービスの利用状況、マーケティング・商談・契約に関するデータ、問い合わせ内容・対応履歴などです。これらのデータは一箇所に集約して分析しやすいように整理します。そうすることで顧客の全体像を把握しながら、目的に合わせてデータを組み合わせて分析し、施策に活用できるようになります。

顧客データの収集・管理には、営業やマーケティングなどの各部門に散在する顧客データを一元管理できるCRMシステムや、大量のデータの蓄積・処理に役立つデータウェアハウスの活用がおすすめです。

社内の各部門との連携

カスタマーサクセスを成功させるためには、社内の各部門と連携させることも必要不可欠です。各部門と連携できていれば、顧客ごとに適切な対応をスムーズに行えるようになります。

例えば、カスタマーサクセス部門と営業部門が連携すれば、カスタマーサクセス部門がどのようなサポートができるのかを伝えた上で営業担当は受注を確保できます。導入時点から顧客からの期待値のズレをなくせるので、ギャップによる不満を与えるリスクが低減するでしょう。

開発部門と連携した場合、カスタマーサクセス部門が収集・分析した情報に基づいて商品・サービスの開発や改善に取り組むことができます。顧客から寄せられた不満や要望に応えられるように改善や新製品を開発していくことは、継続利用してもらうためには大切です。

このようにカスタマーサクセスは各部門が連携することで、効率よくサポートができるようになり、顧客満足度やロイヤリティの強化につながります。

適切なKPIの設定とモニタリング

カスタマーサクセスに取り組むにあたって、適切なKPIを設定してモニタリングしていくことが求められます。KPIの設定は、カスタマーサクセスが適切に実施されているか評価したり、継続的に見直し・改善したりするために欠かせません。しかし、KPIの設定が合っていないと、最終的に達成したい目標(KGI)の達成が難しくなります。

カスタマーサクセスの場合、解約率(チャーンレート)や顧客維持率(リテンションレート)、オンボーディング完了率などさまざまなKPIがあります。これらのKPIは、商材の種類や支援段階などに応じて適切なものを設定してください。KGIから逆算してKPIを決めていくと、KGIからブレることなく設定できます。KPIを設定したらモニタリングを行って評価を行い、必要に応じて改善していきましょう。

KGIについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

まとめ:カスタマーサクセスを導入し、顧客との関係を強化しよう

まとめ:カスタマーサクセスを導入し、顧客との関係を強化しよう

商品・サービスを継続利用してもらうためには、カスタマーサクセスによって顧客との関係を強化することが大切です。顧客に寄り添った支援によって解約率が下がれば、自社の収益向上にも期待できます。

アイリッジでは、カスタマーサクセスを含めて、さまざまな事業領域でビジネスをサポートしています。ブランディングや認知向上、新規顧客の獲得など企業が抱える課題の抽出からKPI設計、解決手段までトータルで支援可能です。自社の課題解決に向けた支援を受けたい時は、ぜひご気軽にご相談ください。

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