ユーザーテストとは?実施する目的やテストの種類、テストのやり方も解説

ユーザーテストとは?実施する目的やテストの種類、テストのやり方も解説

アプリやWebサイトなどでユーザーの満足度を向上させるには、UI/UXの改善が必要不可欠です。UI/UXをよりよいものにしていくためには、実際にユーザーが使ってみてどれくらい使いやすいと感じたかなどを調査することも重要となってきます。

そんなUI/UXの改善に役立つ調査として「ユーザーテスト」を実施するのがおすすめです。今回は、ユーザーテストの特徴や目的、種類などを解説していきます。実際のテストのやり方や成功させるためのポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

ユーザーテストとは?

ユーザーテストとは?

ユーザーテストとは、アプリやWebサイトなどをユーザーに使ってもらい、その様子を観察するテストです。商品・サービスに含まれる重大な欠陥のうち、約85%もの問題がユーザーテストによってわかるといわれています。ユーザーからのフィードバックに基づいて改善すれば、より使いやすい商品・サービスづくりが可能です。

ユーザーテストを実施する目的

ユーザーテストを実施する主な目的は、ユーザーのニーズを把握し、さらなる利便性向上を図ることです。ユーザーは商品・サービスをどのように活用するのかを観察することで、どんな機能を求めているのかを把握できます。もし使い勝手が悪いと感じているようなら改良を加え、発売日にはより使いやすい商品・サービスとして提供されます。

ユーザーテストは「UXリサーチ」と似ていますが、異なる部分もあります。UXリサーチもユーザー体験について調査する手法ではあるものの、UXデザインに特化している調査です。一方、ユーザーテストはデジタル・アナログを問わず、調査対象にあらゆるユーザー体験が含まれています。

ユーザビリティテストとの違い

ユーザーテストとユーザビリティテストについて混同している人もいますが、実際には異なります。例えばユーザーテストは商品やサービスを実際に使ってみた時の反応や意見を収集しますが、ユーザビリティテストではニーズや商品・サービスに対する期待、感情なども評価するのが特徴です。

また、ユーザビリティテストでは使いやすさや効果などを評価するためにも活用されており、カテゴリ的にユーザーテストに内包されます。

ユーザーテストを実施する目的やメリット

ユーザーテストを実施する目的やメリット

ユーザーテストを実施することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?続いては、主なメリットを4つ紹介します。

ユーザビリティの向上につながる

ユーザーテストを実施するメリットとして、ユーザビリティの向上につながる点が挙げられます。ユーザビリティは使いやすさや効果、ユーザーの満足度を示す言葉です。

テストを行ったらヒアリングを実施して、なぜそのように行動したのか、その時何を思っていたのかなどを直接聞けることから、その後の改善にも役立ちます。こうしてユーザー目線に立った商品・サービスが提供できるようになるのです。

ユーザー視点での課題を発見できる

開発者とユーザーは商品・サービスの知識や理解度、経験などに差があるため、開発者側が使って問題がなかったとしても、ユーザー側にも問題が発生しないとは限りません。開発者ではしないような行動をとってしまい、問題が生じてしまう可能性もあります。

こうした問題点の解消につなげるためにも、ユーザーテストを実施することが重要となってきます。テストを行うことでユーザー目線の知見が得られ、ユーザーにとって使いやすく満足度の高い商品・サービスをリリースできます。

早期の問題発見につながる

アプリやWebサイトなどを公開した際に、バグや不具合などに見舞われてしまうこともあるでしょう。例えばアプリをリリース後、バグや不具合などの影響で利用できない人が増えてしまえば、アプリに対する評価も下がってしまいます。

このような事態を回避するためにも、ユーザーテストを実施するのがおすすめです。テストを事前に行っておけばバグや不具合なども早期に発見でき、対策を講じてからリリースできます。

売上やコンバージョン率の向上につながる

ユーザーテストを行っておけば、実装直後に修正を行う手間も少なくなり、運用時のコストを大幅に抑えることも可能です。コストが抑えられればその分売上の増加にもつながるでしょう。

また、商品・サービスをより満足度の高いものに仕上げていくことから、最終的にコンバージョン率の向上にもつながります。さらに、ユーザーテストの結果などをもとにペルソナやカスタマージャーニーの解像度を高めたり、コンセプト自体のブラッシュアップを図ったりするのに役立ちます。

ユーザーテストの主な種類

ユーザーテストの主な種類

上記でも紹介したように、ユーザーテストにはユーザビリティテストも含めてさまざまな種類が存在します。それぞれの種類によって特徴も異なっているので、どのような種類があるのか解説していきましょう。

ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストは、実際に商品・サービスを使っている様子を観察し、実際に使ってみた感想に加え、ニーズや期待、感情なども含めてユーザーの気持ち・考えを知るためのテストです。

ユーザーがどんなことに関心・ニーズを持っており、どんなことに不安や疑問を感じているのか、Webサイトやアプリなどにおける機能の充足度や理解しやすさなどを調査します。ユーザビリティテストに加え、他の手法と組み合わせて活用できる点はメリットです。

モデレートテスト(対面・オンライン)

ユーザビリティテストには、モデレート(司会進行役または監督者)が同席するテストと、ユーザーが1人でテストを進めるアンモデレートテストがあります。モデレートテストでは、ユーザーと司会進行役または監督者が直接対話をしながらテストを実施するのが特徴です。対話をしながら進めるため、ユーザーの直接的な反応を見たり、実際の行動を観察したりできます。このような反応・発言をもとに詳細なフィードバックが得ることができ、商品・サービスの改善に役立ちます。

なお、モデレートテストは直接対面する方法以外に、オンライン環境を構築していれば遠方からでも直接反応を見ることも可能です。

アンモデレートテスト(リモート・セルフテスト)

アンモデレートテストとは、司会進行役や監督者がいない中、ユーザーが1人でテストを実施する方法です。モニターとなったユーザーは自分が使いたいと思った場所・時間に、指示されたタスクに対して自分で進めることが可能です。

テストをユーザー1人で進められることからスケジュールが組みやすく、調査対象の人数を増やせる点はメリットといえます。また、短時間で広範囲なユーザーの行動データを収集できるのもアンモデレートの強みです。

A/Bテスト

A/Bテストとは、2種類の案とグループを用意して、決められた目標をより効率良く達成できたのはどちらかを調べるためのテストです。ユーザーはランダムに選ばれ、2種類の案のいずれかでテストを行うことになります。2種類の案までは絞り込めたものの、どちらを選択すればよいか迷ってしまった場合には、A/Bテストを実行するのがおすすめです。

なお、A/Bテストを実施する際にはどちらも同じ時期に検証し、時期による変化かどうかが判断しづらい場合もあります。また、平日や休日などの影響で結果に偏りが生じる恐れもあることから、検証期間は2週間以上設けることも重要です。

ベータテスト

ベータテストとは、ほとんど完成している商品・サービスを実際に使ってもらい、フィードバックを提供してもらうためのテストです。いわば最終確認をするためのテストになりますが、これまで発見できなかったバグや不具合を報告してもらったり、操作性や使いやすさに問題がないかチェックしてもらったりすることで、より良い状態で商品・サービスを完成させることもできます。

ベータテストでは、クローズドベータとオープンベータに分けられます。クローズドベータは選ばれたユーザーのみが受けるテストで、オープンベータは誰でも機能を確認できるテストです。

ユーザーテストの流れ・やり方

ユーザーテストの流れ・やり方

実際にユーザーテストを実施する場合、どのような流れで取り組めばよいのでしょうか?テストの主な流れは以下のとおりです。

  • 目的と評価基準の設定
  • テスト対象の選定
  • テストのシナリオ(タスク)を作成
  • テスト参加者の募集
  • テスト実施
  • 分析・改善

目的と評価基準の設定

ユーザーテストを行う前に、まずは目的と評価基準を設定します。何を目的にテストを行うのかによって、目標なども異なってくるでしょう。例えば「新たな機能に対する評価」を目的とした場合、テストの目標や評価基準は新機能を中心としたものになります。

また、テストのシナリオ(タスク)を作成する際に役立つ仮説も設定しておくと、スムーズに準備を進められます。仮説は、ユーザーが求めているニーズや問題点の洗い出しなどを行うことで立てやすくなります。

テスト対象の選定

次に、どんなユーザーにテストを受けてもらうのか、対象範囲を決めておきます。対象範囲を決める際には、商品・サービスのペルソナなども考慮しつつ、年齢・性別・職業・年収などを決めておくとよいでしょう。

また、商品・サービスによっては住所・家族構成なども含めてテスト対象を選定します。もしテストを受けてもらう適切なユーザー属性を設定するのが難しい場合には、競合他社のユーザー属性を参考にしてみるのもおすすめです。

テストのシナリオ(タスク)を作成

テスト対象を選定したら、次はテストのシナリオ(タスク)を作成します。シナリオはユーザーの行動・期待を図示化し、テストの一連の流れを描いたものです。事前にシナリオを作成することで、ユーザー体験がスタートからゴールまでを可視化できるので、テスト時に抜け漏れがないかを確認できます。

また、シナリオを作成しておくとテストを実施する関係者で共通認識を持つことができ、一貫性のあるテストを実施できるでしょう。シナリオやタスクを作成する際には、実際の利用状況に近しいものに仕上げることが大切です。

テスト参加者の募集

シナリオやタスクが作成できたら、テストに参加してくれるユーザーを募集します。事前に決めていたテストの対象範囲に基づき、ターゲットを絞り込みながら募集していきましょう。

募集方法はターゲット層によって異なるものの、Web広告やSNS、自社が持つ顧客リストを活用することが多いです。あまり参加者が集まらないという場合には、参加者に対して報酬・特典などを用意しておくと集まりやすくなります。ただし、報酬目当てで参加する人も増えることから、高価なものを報酬にするのは避けた方がよいでしょう。

テスト実施

準備がすべて完了したら、いよいよユーザーテストを行います。対象ユーザーの行動を誘導するような質問などは避けつつ、行動を見守りましょう。実際に使用する様子をカメラに収めるのはもちろん、実際にユーザーがとった行動や表情などもよく確認しておきます。

ただし、担当者に見られながらテストを受けるとなると、ユーザーも緊張して委縮したり、本当は使い勝手が悪いと感じてもよい回答をしようと考えてしまったりする可能性もあります。そうなると正確な意見をもらえなくなってしまうので、事前の説明会などで気になったことはすべて言ってほしいことを説明しておきましょう。

分析・改善

ユーザーテストが終了したら、収集したデータを集計・分析します。定量データと定性データに分けてそれぞれ集計し、各データをもとに評価していきましょう。

分析した結果、ネガティブな要素が見つかったら改善していきます。改善すべき課題の数が多い場合は特に大きな課題から優先順位をつけて取り組みましょう。

ユーザーテストを成功させるためのポイント

ユーザーテストを成功させるためのポイント

ユーザーテストを実施するにあたって、成功させるためにはどのようなポイントを押さえておくべきなのでしょうか?特に押さえておきたいポイントは、以下の3つです。

  • 適切なユーザーを選定する
  • 現実に近い環境でテストを行う
  • ユーザーの行動を観察し、発言を記録する

適切なユーザーを選定する

効果的なユーザーテストを行うためには、適切なユーザーを選定することが重要となっています。例えばテストを実施する商品が20代女性向けの商品だった場合、テストを受けるユーザーは20代女性の中から選定しなくてはなりません。

ただし、年齢や性別などが同じだったとしても多様性を維持する必要があります。多角的な視点や意見を得るためにも、職業や年収、住所、家族構成なども考慮しながら、適切なユーザーを選定しましょう。

現実に近い環境でテストを行う

テストを実施してもらう環境が実際に使う場所と異なっていた場合、得られた結果が現実と乖離する可能性が高いです。こうした状況を回避するためにも、テストは現実に近い環境で実施する必要があります。

例えばリリースする商品を使用する場所が自宅と想定される場合、オンライン・リモートを活用して自宅で受けてもらった方が、現実に近い環境でテストを行えます。

ユーザーの行動を観察し、発言を記録する

モデレートテストで実施する場合、ユーザーの行動をよく観察することはもちろん、タスクをこなしながら思ったことをすぐ口にしてほしい旨を事前に説明しておきましょう。行動自体は観察できても、その時どのようなことを考えていたかまではわかりません。ネガティブな発言だったとしても、改良するために必要な意見となるため、遠慮せず言ってほしいと伝えてください。

ただし、中にはタスクをこなしながら発言するのに慣れていない人もいます。そんな時は担当者が「今その操作を行ったのはなぜですか?」などの質問を投げかけ、発言をサポートしましょう。

まとめ:ユーザーテストを活用し、UI/UXの改善を図ろう

まとめ:ユーザーテストを活用し、UI/UXの改善を図ろう

競合他社から似たようなアプリやサイト、商品・サービスが登場する中で、ユーザーから選ばれるものをつくるためには、UI/UXの改善は欠かせません。開発者だけでは気づけない部分もあることから、ユーザーテストは積極的に活用していきましょう。

アイリッジはこれまで企業様のアプリを300以上支援してきた実績があり、多角的な視点からの支援が可能です。「アプリ成長支援サービス」では、アプリの企画から市場調査、事業戦略までを一貫して支援しています。ユーザーの声を集め、課題を可視化した上でUI/UXの改善設計もサポートいたします。アプリのUI/UX改善を図りたいものの、具体的にどうすればよいかお悩みの方は、アイリッジのアプリ成長支援サービスをご利用ください。

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