「誰のためのアプリ?」から始まった共創プロジェクト

 アプリを開発するうえで、「どんな機能をつくるか」以前に考えるべきことがあります。 それは、「誰にとって、どんな価値がある体験を届けるのか?」という視点です。

今回ご紹介するのは、つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道株式会社の社内メンバーの皆さんと一緒に取り組んだ、カスタマージャーニー・ワークショップをご紹介します。

これは、つくばエクスプレス沿線に住む方々を想定したアプリ開発プロジェクトの初期フェーズで行った取り組みで、社内のさまざまな部門の方々が集まり、「誰のために、どんな体験をつくるのか?」を考えながら、ユーザー視点を深めていきました。

アプリを「自分たちのサービス」として捉えるための、巻き込み型のワークショップ。その様子と、そこから生まれた気づきをご紹介します。

ユーザー像をみんなで描き出す、ペルソナづくり

 ワークショップの最初のテーマは、「どんな人がこのアプリを使うのか?」を想像するペルソナづくりです。

参加者は「沿線に住む会社員」や「通学で使う学生」など、異なる利用シーンを想定しながら、年齢や家族構成、通勤通学の状況、休日の過ごし方まで細かく設定していきました。

なかには、聴覚障害を持つ学生というペルソナもあり、誰にとっても使いやすい体験をどう設計するか?といった視点も自然に議論されていきました。

部署を超えたメンバー同士で、「こういう人なら、どんなことで困りそう?」「どんな情報があったら嬉しい?」と意見を出し合う時間は、まさに“ユーザーの生活に入り込む”感覚に近いものだったと思います。

「普段使いたくなるアプリって?」を一緒に考える

 次のステップは、カスタマージャーニーマップを使ったワークです。まずはAs-Isフェーズとして、今の利用シーンや課題を整理。たとえば「アプリを開くきっかけが少ない」「必要な情報にたどり着きにくい」など、現場ならではのリアルな視点で課題が挙がりました。

そのうえでTo-Beフェーズでは、「どうすれば“なんとなくでも開きたくなるアプリ”になるか?」をテーマにアイデアを出していきました。

「通勤中に、今日のお得な店舗情報が出てくると嬉しい」「イベント情報をもっとパーソナライズできると使いたくなる」など、日常生活の延長線上にある“ちょっとした価値”をどう提供するかが議論の中心でした。

印象的だった気づき、そして変化

 議論を通じて見えてきたのは、ユーザーにとっての“本当の使う理由”は、機能の便利さだけじゃない、ということ。

「トラブルが起きたときだけ使われるアプリにしないためには?」という問いかけに、参加者の視点がガラッと変わった瞬間がありました。

また、あるグループでは、聴覚障害のあるユーザーを想定して「音声ではなく、視覚でわかりやすく伝えるUIが必要かも」といったアイデアも出てきて、参加者から「これまで考えたことがなかった」という声も上がっていました。

ペルソナを深く考えることで、自然と多様性への意識が広がり、“誰のためのサービスか”を改めて見つめ直す時間になりました。

ワークショップは“考える開発”のスタート地点

 ワークショップで描き出したジャーニーマップやペルソナは、後日、改めて整理し、納品資料としてまとめました。アプリ開発において、こうしたワークショップは「アイデアを出す場」であると同時に、「チームでユーザー視点を共有する場」でもあります。

現場のメンバーが、自分たちでユーザー像を描き、体験の流れを考えたことが、その後の要件定義やUI設計にも生きてきます。

開発を“任せる”のではなく、“一緒に考える”。そのプロセスを通じて、社内の関係者にとってもアプリが自分ごとになっていく。

それが、私たちアイリッジが大切にしている伴走型の開発支援です。

巻き込みながら進める、わたしたちの開発支援

アプリ開発は、つくって終わりではありません。 誰のどんな生活の中で、どう使われるのか?を考えるプロセスこそが、継続的に使われるアプリの原点になります。

ワークショップという場を通じて、社内のメンバー同士が同じ視点でユーザーを見つめ、意見を交わし、自分たちの言葉で語れるようになること。

その積み重ねが、リリース後も成長し続けるサービスの土台になると、私たちは考えています。

なお、カスタマージャーニーやペルソナの考え方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。 

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