顧客VOICE:名鉄「CentX」、リニューアルで地域の移動とおでかけをサポートするアプリへ進化
名古屋鉄道株式会社は、愛知・岐阜エリアを中心に鉄道事業を展開し、流通、不動産、ホテル、レジャーなど幅広いグループ事業を手掛ける地域密着型企業です。デジタル施策にも力を入れ、地域の移動を支える公共交通の中核としてエリア版MaaS「CentX」を推進しています。
“おでかけ”に特化したページの新設を伴う今回のリニューアルでは、アイリッジがUXリサーチからプロトタイプ開発、UI/UX改善支援までを担い、移動需要を創出するコンテンツの強化拡充を図りました。
これにより、おでかけ先探しから移動手段の検索、デジタルチケットの購入・決済に至るまでをこれまで以上に便利かつシームレスに体験できるMaaSアプリへと進化させました。
本リニューアルによる様々な効果や、パートナーであるアイリッジとの共創について、プロジェクトをご担当された柴田様、松葉様、光田様、中尾様にお話を伺いました。

写真左から、名古屋鉄道株式会社 DX・マーケティング部 中尾様、地域連携部 光田様、経営戦略部 松葉様/柴田様
「移動手段を調べるアプリ」から「おでかけのきっかけをつくるアプリ」へ
──おでかけページの新設を伴う今回のリニューアルの経緯を教えて下さい
「CentX」は、2022年に旧アプリ「名鉄Touch」を全面的にリニューアルし、沿線・地域の交通・生活・観光サービスをシームレスでストレスフリーにつなぎ、地域の皆さまの「おでかけ」に役立つさまざまな利便性の高い情報を提供するアプリとしてリリースしました。
リリース以降、新規ダウンロード数は堅調な推移を続け、乗換検索や時刻表などの公共交通での移動を支援する機能の利用が定着しつつある一方で、平日の通勤時の利用に比べて休日のおでかけ利用が少ない状況に課題を感じていました。
ストア評価や利用状況分析の中で、「CentXを休日のおでかけで使うきっかけがない」という理想とのギャップが明確になり、アプリ利用者のさらなる拡大および日常的な利用の定着化を図るため、おでかけ起点でも利用されるアプリへとサービス改善を図ることになりました。
アイリッジとは日頃の開発保守・運用面でのサポートや、アプリの課題や将来像を共有・議論を行いながらマーケティング支援も受けており、「的確な助言、提案をしてくれる」という信頼関係が築かれていました。
今回のリニューアルで重視したポイントは、UXリサーチの導入です。約70画面に及ぶプロトタイピングを作成し、実際の利用者の声を集めるという大規模な調査を実施しました。内部で決めた機能をそのまま開発するのではなく、事前にユーザーの意見を反映できたことで、より納得感のある意思決定ができました。
また、社内の関係者調整にあたっても適宜、親身なサポートをいただくことができ、結果として開発を進める基盤が強化され、単なる開発ベンダーではなく、社内外をつなぐ橋渡し役として心強く感じています。
新たに搭載したおでかけ機能で生まれたポジティブな反響

──開発の進め方やアプリの仕上がりはいかがでしたか
リニューアルでは、新設されたおでかけ機能を通じて観光スポットやイベント情報を発信できるようになりました。交通手段等の検索の合間に自然に閲覧できる導線を整えたことで、利用者アンケートでは「外出の参考になる」などの前向きなコメントが多く寄せられました。
また、アプリ内の各機能は長年の開発でやや統一感を失っていましたが、UI/UXを全面的に改善したことで一体感も生まれています。その結果として、「使いやすくなった」という声も増え、ユーザー満足度の向上につながっています。
運行情報や経路検索といった交通系機能の利用がメインではありながらも、おでかけページの新設によって「以前よりもアプリを開いてみたくなる」という声や「他にもこんな情報も活用できるのでは」といった前向きな提案がチームの内外から挙がるなど社内外の反応も大きく変化し、当社グループの情報発信のハブとしての期待も高まり、企画・開発の担当者のモチベーションアップにもつながりました。
さらに、運用面では各機能の利用状況を把握する仕組みが定着し、社内での迅速な情報共有に活用しています。
地域共創プラットフォームへの高次元化に向けて

──今後アイリッジにご期待することを教えて下さい
名鉄グループでは、グループ沿線・地域のサービスをつなぎシームレスでストレスフリーな移動の実現を目指す「エリア版MaaS構想」を展開しています。
CentXをハブに交通事業者や自治体、地域事業者と連携することで、公共交通利用の促進や沿線・地域の活性化に留まらず、社会課題解決につながる地域共創のプラットフォームとなることを目指しています。地域共創の取り組みを通じて、外部事業者や自治体からの関心も高まりつつあり、CentXアプリの存在感はますます大きくなっています。
アイリッジには、引き続きアプリ開発や運用だけでなく、データ活用やマーケティング支援の面でもより連携を強めていければと考えています。「CentX」が地域共創プラットフォームへと高次元化するうえで、引き続き伴走者としての役割を期待しています。
