顧客VOICE:徹底したお客様視点で“使われ続ける”アプリへ――コーナン商事の全面リニューアルと運用戦略
ホームセンター事業を中心に幅広い商品を展開し、全国に店舗網を広げているコーナン商事株式会社。
顧客体験のさらなる向上とデジタル活用、さらには自社決済サービス「コーナンPay」の展開が進む中で、販促と決済をつなぐ新たな顧客接点が求められていました。
このリニューアルにあたり、アイリッジはスクラッチ開発で「コーナンアプリ」を開発。CRM連携やクーポン配信機能、直感的に使えるUI/UXを実装し、販促と決済をつなぐ基盤の整備を行いました。
本インタビューでは、アプリのリニューアルを推進された、上席執行役員 販売促進部長の濱野 崇様にお話を伺いました。

チラシ依存からデジタルへ――アプリリニューアルの背景
──導入の経緯を教えて下さい
初めてスマートフォン向けアプリを開発したのは2018年。当時、販促活動の中心は新聞の折込チラシでしたが、発行部数の減少や費用対効果を測定できないことが大きな課題でした。
直接お客様にアプローチできる新たな手段としてアプリに着目し、まずはスピードを優先してパッケージを用いた簡易的なアプリを立ち上げました。初期のアプリは決済機能付きハウスカードとしての役割を果たしましたが、その他はホームページ情報の確認に近い機能にとどまっていました。
その後、クーポン配信や顧客情報連携など活用の幅が広がるにつれ、パッケージ型では拡張性に限界があることが明らかになり、全面リニューアルに踏み切りました。
決済領域の実績と安心して任せられる提案力
──全面リニューアルに際し、アイリッジを選んだ理由を教えて下さい
開発パートナー選定にあたり、弊社はニトリ様やファミリーマート様といった大手流通業の成功事例をベンチマークとしました。数ある候補の中で、決済領域に強みを持ち、さらに運用や成長戦略まで含めた提案をしてくれるアイリッジを高く評価しました。
単なる開発ベンダーではなく、課題が発生したときに複数の選択肢を提示し、最適な判断を導いてくれる“伴走型のパートナー”であると感じられたことも大きな理由です。技術面の信頼性に加え、コミュニケーションのしやすさや現場の声を柔軟に取り込む姿勢が心強く、長期的な協業を見据える上で重要な決め手となりました。
複数ベンダー調整を乗り越え、半年でリリース
──アプリの仕上がりと導入後の評価はいかがですか
リニューアル開発には、アイリッジ以外にも決済機能や顧客情報を担当する複数のベンダーが参画し、それぞれのシステム連携が必要でした。調整の難易度は高かったのですが、アイリッジがうまくリードしてくれたおかげで、CRM連携やクーポン配信、スムーズなUI/UXを備えたアプリを約半年で完成・リリースすることができました。
判断に迷う場面でも過去の成功事例を参照しながら提案を受け、スピーディに前進できたことは大きな安心材料でした。豊富な知見を生かして伴走してくれたからこそだと感じています。
リリース後に発生した課題に対しても粘り強く対応してもらい、安定した運用につながっています。
LINE連携と現場巻き込みで“使われ続ける”アプリに
──導入後の工夫や成果を教えてください
リリース後は、アプリが一過性で終わらず“使われ続ける”存在になるよう、アイリッジと相談しながら運用の工夫を重ねてきました。
たとえば、LINEとの連携を強化し、キャンペーン情報やクーポンを届ける仕組みを整備。MAU向上に向けた定期的なコンテンツ更新やプッシュ通知の最適化についても、都度アドバイスを受けています。
特に、ダウンロード促進のためには店舗従業員の協力が不可欠でした。アイリッジからは「どのようにすれば現場の協力を得られるか」「MAUを高めるためにはどんな施策が有効か」といった具体的な事例やアドバイスを、分かりやすい言葉で伝えてもらいました。
こうした支援を受けつつ、店頭での声掛けや利用案内を実施したことで、顧客の理解が深まり、アプリの定着につながっています。
さらに、営業・SE・UI/UX・CRMといった多様な分野のスタッフによる幅広いサポートを受けられる体制があるため、開発だけでなく、運用や改善に至るまで総合的に支援してもらえることで、継続的な改善を進めやすい環境が整っています。
最新技術よりもお客様視点 コーナンが描くDXの形
──今後の展望を教えて下さい
DX推進において「最新技術を取り入れること」よりも「お客様の立場で考え、改善を積み重ねること」を何よりも大切にしています。現在は店舗とオンラインの顧客情報を統合し、シームレスな購買体験を提供する体制づくりを進めています。
例えば、店舗での購買履歴とオンラインでの行動データを組み合わせることで、一人ひとりに合わせたクーポンや情報を提供することが可能になります。顧客接点を一元化し、パーソナライズされた体験を提供することこそが、真の意味でのDXであると考えています。
今後もアプリ機能の拡充やUI/UX改善を重ね、顧客にとって利便性が高く、長く愛されるサービスを目指していきます。アプリは単なる販促ツールではなく、顧客とコーナンを結ぶ「生活インフラ」として位置付けていきたいと考えています。
