初めてのアプリ企画のすすめ方~プロダクトコンセプトの作り方~ #やさしいアプリ企画
こんにちは、セールスマーケ担当の松岡(まつおか)です。
最近は顧客接点の一つとして自社アプリを開発し、よりビジネスを成長させたいと考える方が増えている一方で、「どこから始めたらいいのかわからない」「自分で企画してみたけど自信が持てない」とスタートで壁にぶつかっている方も多い印象です。
この #やさしいアプリ企画 では、アイリッジが行っているアプリ企画支援サービスをとにかく簡単にわかりやすくし、これからアプリを企画・開発する方がアプリ企画・開発とはどのように進めていくのか、まずは何をすればいいのかがわかるようなコンテンツをお届けしていきます。
前回のブログでは、アプリで失敗しないためには企画段階からアプリで成し遂げたいことを意識して、きちんと順番に整理する必要があるということとまず始めに行うべきターゲットとペルソナの設定の仕方についてご紹介しました。
本日は、続いて整理すべきプロダクトコンセプトの作り方について話を聞いていきたいと思います。
質問に答えてくれるスペシャリストは、金融・通信企業を中心に数多くのアプリ企画を担当している内田さんです。よろしくお願いいたします!
内田:よろしくお願いします。
──まずは内田さんの職種・役職と普段のお仕事について教えてください。
内田:テクノロジーパートナー本部 テレコム&フィナンシャルグループにてグループ長をしています。
主に金融機関様や通信会社様に対しアプリの企画・提案や、ファン育成プラットフォームFANSHIP導入・活用のご支援等をしています。また、パートナー企業様とのアライアンス推進なども行っています。
──ありがとうございます。それでは早速ですが、アプリ企画における「プロダクトコンセプト」とは、どのようなものでしょうか。
内田:ひとことで言えば、アプリ企画・開発を進める上での方向性のことです。
外部情報(顧客や競合の状況、技術や社会トレンド等)と内部情報(自社の戦略等)を総合的に考慮して、アプリのあるべき姿の方向性を定めます。
最終目的はアプリを完成させることなので、コンセプトを考える際には、コンセプトだけではなく、ユーザーの使い方を想定した機能設計やデザインなども意識して考えていく必要があります。
もし途中でコンセプトが変われば、その後の機能設計やデザイン設計もすべて変更になり、余計に工数がかかることになります。
なので、少し大変かもしれませんが、この段階できちんとコンセプトを固めておくことが重要です。
──工数をかけてまで、自社アプリのコンセプトを作るメリットはなんでしょうか。
内田:アプリの目的を常に明確にできることです。
方向性が定まらないままアプリの要件定義がスタートすると、アプリにどのような機能を実装するか?という手段の議論が中心となってしまい、そもそもアプリで何を実現したいのか?という目的の部分が不明瞭なままで開発が進められてしまいます。
そして、アプリマーケティングの効果を何で判断するのかというところが曖昧なままアプリをリリースし、運用を始めてしまうと、費用対効果を測定できないという事態を引き起こすことが多々あります。
そのようなことを防ぐために、プロダクトコンセプトは役立ちます。
──プロダクトコンセプトを実際にどのような手順で考えていくのかを教えてください。
内田:色々なアプローチがありますが、まずは改めて自社の戦略をおさらいします。
全社、自部門、そして自分自身にどのようなミッションが課せられているかをしっかりと噛み砕いて理解するところがスタートです。
その上で、外部の情報(顧客や競合の状況、技術や社会トレンド等)をインプットしていくという進め方が一般的です。
次に、それまでの様々なインプットを踏まえた上で、「自分達はアプリで何を体現したいのか?」を思考し、コンセプトを練り上げていくという進め方になります。
──コンセプトを練り上げていくにあたっての考え方やフレームワークなどは何かありますか?
内田:アウトプットの一つとして関係者で「エレベーターピッチ」に取り組むことで、アプリの目的を共通認識として持つことができます。
エレベーターピッチでは、「そのアプリをひとことで言うと何か?」という問いに対して明快に説明できる簡潔な文章を作ります。
複数のメンバーで検討を進めている場合、各人の考えるエレベーターピッチを作成し、それを持ち寄ってディスカッションを行うというやり方もおすすめです。
一緒に検討を進めているメンバー間でも意外に違う想いを持っていて、それをすり合わせることで自分達が何を実現したいのかを改めて発見できることも多々あります。
このプロセスを通じて、関係者でしっかりと意識を固めておくと、後工程で「そもそもの目的はなんだっけ?」という話が出た時に立ち戻れるものになります。
エレベーターピッチとは
エレベーターに乗っているくらいの短い時間で自分自身や自社のビジネスなどについてプレゼンする手法のこと
これをベースに、必要に応じてもう少し細かなユーザー体験や利用シーン、主要機能やアプリの将来像(ビジョン)などを定義し、プロダクトコンセプトを固めていきます。
これらの工程を全て自社メンバーのみで実施されるケースもあれば、外部企業へ一部業務を委託して実施されるケースもあるかと思います。
私のおすすめは、「適度に外部リソースを使う」です。
様々な事例を持った(成功談、失敗談ともに)外部リソースを検討チームに入れる事で、自社メンバーにはない経験をインプットに活用できます。
そうすることで自社メンバーの知見を高めることもできますし、検討スピードを早めることもできます。
一方で、丸投げになってしまい、自社内にノウハウが残らないという状態にならないように注意する必要があります。
──どんな機能にするかもこの時点で話し合うんですね。
内田:そうですね。
この段階で実装する全ての機能を決定するわけではなく、主要機能を想定するイメージです。
コンセプトを決めると、それに基づいてある程度、実装したい機能が見えてくるかと思います。おそらくコンセプト決めの段階では、やりたいことがたくさん出ていると思いますが、その中でも特に重要なものは何かをしっかりと定めることが肝要かと思います。
その上で、この後のロードマップ作りの中でどのように他の機能を加えていくか検討していくという進め方がよいのではないでしょうか。
業界は異なりますが、ある建築士の方から「私が好きな建築は引き算だ。そぎ落として、そぎ落として、そぎ落として、それでも残った部分が強く美しいものは長い年月をかけても残るものだ。」というお話を伺い、感銘を受けたことがあります。
長く愛されるものの核となる部分は、実は極めてシンプルなのかもしれないですね。
──素敵なお話です。プロダクトコンセプトですが、例えば手を動かせるのが担当者一人しかいなくても作成できるものでしょうか?
内田:もちろん可能だと思います。
ただ、やはり仲間がいた方がアイディアも出ますし、推進力をあげることもできるかと思います。
弊社でご支援させて頂く場合、プランナー、UX/UIデザイナー、システムアーキテクト等のメンバでチームを組成し、クライアントのメンバーの方とOne teamで検討を推進させていただいています。
是非、ご一緒に、前に進めていくという事に取り組めたらとても嬉しいです!
──しっかりと宣伝も入れていただいて、さすが営業という感じですね(笑) では最後に、内田さんが思う「プロダクトコンセプト作りで最も大切だと思うこと」は何ですか?
内田:自分自身が、そして巻き込みたいステークホルダーが、信じて一緒に行動できる思想をきちんと言語化する。という事ですかね。
内田さん、ありがとうございました!
まとめ
・プロダクトコンセプトでアプリの方向性を決める
・コンセプト作成にはサービスの重要部分を明確化する「エレベーターピッチ」を活用する
・一人でも作成可能だが、「知見のある外部リソースを適度に使う」のがおすすめ
プロダクトコンセプトの作り方、流れは理解いただけたでしょうか?
次回は、カスタマージャーニーの作り方をご紹介します。
アイリッジでは、アプリ開発だけでなく企画段階からのご支援を行なっています。
自分たちの力だけではうまくできないかもしれない、やることが多くて大変そうと思った方は、ぜひ私たちにご相談ください。