認知拡大とは?効果的なマーケティング施策や計測方法、成功のポイントを解説
売上を作るためにも企業や商品、サービスについて顧客に知ってもらう必要があります。ターゲット層に認知してもらえれば、商品やサービスの成約にもつながりやすいです。しかし、競争が激しい市場の中で認知拡大を目指すのは容易ではありませんので、効果的な戦略が必要となります。
そこで今回は、認知拡大のための施策を行うメリットや認知拡大の有効な施策、施策効果を評価・測定する方法などを解説していきます。認知拡大に成功した事例もご紹介していくので参考にしてみてください。
認知拡大のための施策を実施するメリット
認知拡大のためにもマーケティング施策を実施することで、さまざまなメリットが得られます。ここでは、認知度向上によって企業が得られるメリットを45つご紹介します。
消費者の購買行動に影響を与える
認知拡大ができれば、消費者の購買行動に影響を与えられます。認知度向上によって想起率が高まり、市場におけるポジションが明確化されれば、売上増加に結び付くためです。一般的に、人がものを購入したりサービスを利用したりする際には、自分が知っているブランドや企業のサービスを選ぶ傾向にあります。
そのため、「こんな時にはこれ」「この商品があれば大丈夫」といったイメージを浸透できれば、市場シェア拡大が期待できます。
企業やブランドの信頼性が向上する
認知度が拡大すれば企業やブランドの信頼性向上にも役立ちます。これは、認知度が上昇することで顧客との接点が増加して効果的なイメージ形成がされやすくなるためです。
顧客との接点が増えれば繰り返しのアプローチがさまざまな角度から行えるので、ブランド価値の向上につながります。ブランド価値が向上すれば、商品やサービスが優先的に選ばれやすくなるので企業にとっては大きなメリットです。
新規顧客の獲得につながる
認知拡大ができれば新規顧客の獲得にもつながります。広告やマーケティング施策によって、ブランドや商品、サービスの特徴や利点などを伝えられれば、新たな顧客獲得に役立ちます。
例えば、フレッシュジュースを売り出したい企業が認知度上昇のために、「無農薬野菜や果物を使用している」「野菜や果物によって得られる効果」などを発信すれば、健康志向の新規顧客を引きつけられます。認知拡大が成功すれば、新規顧客の獲得数増加につながるので、事業の発展にも影響を与えます。
広告コストが削減できる
認知拡大のための施策の実施は、広告コスト削減にも影響を与えます。自社商品やサービスをさまざまな人たちに知ってもらうためにも広告宣伝は欠かせません。しかし、広告を発信するにも費用が掛かり、中には予算の都合上、大々的な広告を発信できないケースもあります。
しかし、近年SNSが浸透し、認知を獲得しているブランドや商品は自発的にSNSで取り上げられる機会が増えるのです。いわゆるクチコミで情報が拡散されれば、予想していなかった層にまでリーチできる可能性もあります。うまく活用すれば、広告コストが削減できるだけではなく、売上アップも期待できます。
認知拡大に効果的なマーケティング施策10選
ここからは、認知拡大に効果的だと考えられるマーケティング施策を10種類ご紹介していきます。
①SNS広告
商品やサービスを広く知ってもらうためにも有効な施策としてSNS広告が挙げられます。SNS広告とは、InstagramやX、LINEやFacebookといったSNS上で配信する広告です。SNSを利用しているユーザーは増加しているため、多くの人たちにアピールできる点が大きなメリットです。広告感も少ないので、ユーザーに受け入れられやすい点も魅力となっています。
ただし、SNSごとにユーザー層に違いがあります。自社がターゲットとしているユーザーが多く利用するSNSを活用することが大切です。
②動画広告
動画広告も認知拡大施策として有効な手法の1つです。動画広告とは、動画を用いた広告を指し、中でもYouTube広告は広く知られています。近年は、動画共有プラットフォームの人気を受け、多くのユーザーにアプローチできる施策として注目を集めています。文字だけではなく、音や映像によって情報が届けられるので、伝えたい内容を盛り込みやすい特徴があります。
ただし、YouTube広告といっても種類がたくさんあります。バンパー広告やインフィード広告、スキップ可能なインストリーム広告など、幅広い種類があるので、それぞれの特徴を理解してから認知拡大につなげる施策に活用してみてください。
③交通広告・OOH
「Out Of Home」の略語でもあるOOH広告は、自宅以外で目にする広告を指します。ビルの屋外看板や電車内にある広告、駅構内にある広告などがOOH広告です。人の目に触れやすい広告となり、認知度アップ効果を見込める手法です。
繰り返し見てもらいやすく、人の記憶に残りやすい特徴があります。エリアを絞ったターゲティングも可能なので、ターゲットに見てもらいやすい場所に設置できる利点もあります。自販機やトイレ、シャッターなど、あらゆる種類があるので、ターゲットに合わせて広告の発信場所を選定しましょう。
OOHについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
④ディスプレイ広告
Web媒体やアプリの広告枠に掲載する広告がディスプレイ広告です。認知拡大にも使える手法で、バナー広告ともいわれています。テキストや画像、動画を活用して商品やサービスの魅力を紹介できる広告です。
商品について知らないユーザーや興味はあるものの調べるまでに至っていないユーザーにアプローチできます。「こんなものが欲しかったんだよな」と思い起こさせる効果が期待できるので、コスメや健康商品といった商材との相性が良いといわれていますその他にも、検討期間が長く単純接触効果を狙える不動産や車といった商品とも相性が良いです。
⑤マスメディア
以前に比べるとマスメディアの影響力は低下していると言われますが、マスメディアに広告を出すのは有効な認知拡大施策です。具体的なメディアは、テレビや雑誌、新聞やラジオなどです。大衆向けの広告となり、自社商品やサービスを知らないユーザーにもアプローチできます。
マスメディア広告に関しては、媒体の広告審査基準をクリアした広告しか掲載されません。厳しい審査で媒体の信頼性を担保しているので、マスメディア広告に掲載されれば「信頼しても問題ない」とユーザーに感じてもらいやすいメリットがあります。ただし、広告費用が高く、掲載したら気軽に修正できない点がデメリットです。
⑥オウンドメディア
オウンドメディアも有効な施策の1つです。オウンドメディアは企業が自社で保有しているWebメディアを指し、自社商品やサービスに関連した情報を定期的に発信するのが一般的です。価値のあるコンテンツを提供できれば、興味や関心を引きつけやすく、認知拡大に大きな影響を与えます。
検索エンジンに評価されて集客ができるようになるまでには時間が掛かりますが、作成したコンテンツは資産として積みあがっていきます。自然検索からの流入増加につながるので、費用を掛けなくてもユーザーの継続的な流入を見込める手法です。
オウンドメディアについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
⑦プレスリリース
企業がメディア関係者向けに一次情報や画像、動画といった素材を発表する公式文書をプレスリリースといいます。商品やサービスなどの特徴や内容などを簡易的な資料にまとめて発信することで、取引先や顧客からの認知を獲得できます。
報道関係者の目に留まって魅力を感じてもらえれば、取材や雑誌やテレビで取り上げられる可能性もあります。その結果、追加費用を掛けずとも大きな反響が期待できます。必ずしも取材や掲載につながる保証はありませんが、多方面への情報拡散が期待できる手段の1つです。
⑧インフルエンサーマーケティング
影響力のあるインフルエンサーにPRしてもらうインフルエンサーマーケティングも認知拡大に有効な手法です。インフルエンサーとは、ユーチューバーやインスタグラマー、ティックトッカーやブロガーといった人たちを指し、世間や人々の思考や行動に対して影響を与える人物です。
ファッションやコスメ、旅行やグルメなど、ジャンルに特化したインフルエンサーが多く活躍しています。そのため、ジャンルや興味関心、年代など、詳細なターゲティングが可能です。例えば、メイクアイテムを訴求したい場合には、メイク方法を紹介しているインフルエンサーにアイテムを紹介してもらえれば、興味関心の高い人たちに向けて商品を発信できます。広告臭も少ないので、受け入れられやすいメリットもあります。
⑨イベント・セミナー
イベントやセミナーの開催も認知拡大に効果的な手法です。イベントとしては、商品やサービスの体験イベントや商談会、展示会などが挙げられます。拡散性は少ないですが、実際に体験してもらえれば、実際の使用感や魅力をわかってもらえるだけではなく、顧客との信頼関係を築くためにも役立ちます。
参加している時点で興味がある顧客だといえるので、イベントやセミナーによってより興味を持ってもらえれば、ファン獲得につながります。ただし、企画や運営に手間が掛かる点や会場を確保するための費用が掛かる点がデメリットです。
⑩コンテンツマーケティング
ターゲットにとって有益な情報やコンテンツを配信して信頼関係を築きながら購入意欲を高める手法をコンテンツマーケティングといいます。広告のように購入やサービスの利用を直接的に促すのではなく、ユーザーが抱えている課題やニーズに対して、解決策や役立つ情報を発信し、価値を感じてもらうことを重要視している施策です。
商品やサービスの使い方、業界のトレンド、成功事例などを発信することで、ユーザーの興味関心を深めていきます。活用される媒体は以下の通りです。
- ホワイトペーパー
- Webサイト
- メルマガ
- SNS
- 動画
認知拡大施策の効果を評価・測定する方法
ここからは、認知拡大施策の効果を評価、測定する方法を解説していきます。
ブランド名の検索ボリュームの変化
商品やサービスの認知度がアップすれば、消費者が興味を持っているため、ネット上で検索する回数が増加する傾向にあります。そのため、GoogleやYahoo!といった検索エンジンで、ブランド名や商品名の検索回数が増えているかチェックすることで、施策の効果を測定できます。主な計測ツールは以下の通りです。
- Googleトレンド:検索キーワードの人気度をチェックできる
- Google Search Console:ブランド名の検索クエリを確認できる
- Ahrefs / SEMrush:検索ボリュームの推移を分析できる
ウェブサイトのトラフィック(訪問者数)の変化
認知度がアップすれば、公式サイトへの訪問者数増加が期待できます。新規訪問者の割合が増加していれば、新たな層にリーチできている証拠です。そのため、以下のツールを活用してWebサイトのトラフィックの変化を測定していきましょう。
- Google Analytics:新規ユーザー数や流入元を分析できる
- SimilarWeb:競合サイトと比較してトラフィックを分析できる
SNSでのエンゲージメントとフォロワー数の増加数
SNSで自社アカウントを所有しており、情報発信や広告を掲載している場合は、「いいね」や「リポスト、フォロワー数などのエンゲージメントを確認すれば、施策の評価が可能です。主な計測ツールは以下の通りとなっています。
- X、Instagram、TikTokのアナリティクス:リーチ・インプレッション・エンゲージメント率を確認
- Hootsuite / Buffer:複数のSNSデータを一括管理できる
SNSを活用してキャンペーンを実施した際には、定期的にエンゲージメントを確認すればユーザーの反応を把握するために役立ちます。SNS上でユーザーが発信した内容を分析できるソーシャルリスニングを実施すれば、ブランドイメージの評価も行えます。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)の増加数
UGCとは、一般のユーザーが作成し、発信するコンテンツを指し、ブログやSNSでのレビューや画像、動画など、さまざまな形式があります。ユーザーの実体験や意見が反映されているので、リアルな情報を把握できる点が特徴です。消費者の共感を得やすいので、自然拡散される傾向が強く、企業のマーケティングでも欠かせない要素の1つです。このUGCの増加数を分析すれば、どの程度の人たちに認知されているのか、話題になっているのかを知ることに役立ちます。計測できるツールは以下の通りです。
- XやInstagramでのハッシュタグ検索:ブランド名の投稿件数をチェックできる
- 口コミサイト:Amazonや楽天、Googleマップのレビューで確認可能
PR・メディア露出の回数
テレビや雑誌、新聞やネット上など、メディアに取り上げられる回数が増えれば、ブランドの認知度が向上しています。プレスリリースの掲載数やニュース記事など、露出回数や露出時間、露出媒体の種類などを分析すれば、どの媒体が認知度向上に貢献しているのか調査するために役立ちます。計測ツールは以下の通りです。
- Googleアラート:ブランド名や商品名がニュースに掲載されたのかを自動で通知してくれる
- Meltwater:メディア露出のモニタリングを実施する
広告のリーチ数やインプレッション数
SNS広告やGoogle広告を活用している場合、広告がどれだけの人たちに届いているのかリーチ数や表示された回数となるインプレッションの確認が必要です。以下のようなツールを活用して効果を測定できます。
- Facebook Ads Manager
- Google Ads
どちらも、リーチ数やインプレッション、クリック率などを確認できます。Facebook Ads Managerは、Facebook社が提供している広告管理ツールとなり、広告のパフォーマンスの最新データを表示することが可能です。Google Adsは、Google社が提供している広告サービスです。
ブランドリフト調査(アンケート調査)
アンケート調査でも認知度を評価できます。広告やキャンペーンを実施する前後でどの程度認知度に違いがあるのかを直接測ることが可能です。例えば、広告を配信する前後で「このブランドを知っていますか?や「この商品を知っていますか?」とアンケートを実施すれば、広告を配信する前と後での認知度の違いを把握できます。
また、YouTube広告やFacebook広告では、「ブランドリフト調査機能」があります。積極的に活用してみましょう。
認知拡大に成功した企業事例3選
最後に、認知拡大マーケティングで成功した企業を3つ事例としてご紹介していきます。目標達成を目指すためにも参考となる内容です。
株式会社POLA
化粧品販売を行う株式会社POLAは、「ひとりの女の子を変えた、ひとりの女性の話」という記事を新聞広告に掲載しました。女性の可能性を広げるための施策で、株式会社POLAが実施している女性を支援する取り組みが書かれています。多くの女性から支持を得たことで、認知拡大が成功しています。
また、コンテンツマーケティングとしてオウンドメディアの「MIRAIBI」も運用しています。以前は美容情報をメインに掲載していたメディアだったのですが、美容情報以外のコンテンツも多く掲載することで潜在層へのアプローチを強化しています。その結果、多様な価値を提供したことで、認知拡大に貢献しています。
株式会社SmartHR
クラウド人事労務ソフトを提供する株式会社SmartHRは、タレントマネジメント領域での認知拡大を図るため、Yahoo!広告のディスプレイ動画広告を活用しました。静止画ではなく、視覚的な印象が強い動画広告を採用し、幅広いビジネス層への訴求を意識した展開を行っています。
ターゲティング精度の向上と広告の最適化を重ねた結果、指名検索による流入数は他媒体の約2倍に増加。加えて、広告コストは約10分の1に抑えられ、高い費用対効果を実現しました。
さらに、従来のバナー広告に加えて、タクシー内やエレベーター内の広告とも連動させた複合的なプロモーションが成功し、新たな領域でのブランド想起にもつながっています。
ヤッホーブルーイング
クラフトビール「よなよなエール」で知られるヤッホーブルーイングは、広告予算が限られる中でも、独自のファンマーケティングを通じて着実に認知度を高めてきた企業です。自社ECサイト「よなよなの里」の運営や、個性あふれるメルマガ配信によって顧客との関係性を深め、ファン参加型のイベント「超宴」を定期的に開催するなど、リアルとオンラインの接点を巧みに融合させてきました。
さらに、SNSではユーザー生成コンテンツの投稿数をKPIに設定し、投稿者への積極的な反応を行うなど、双方向のやり取りを重視しています。こうした取り組みにより、熱量の高いファンが自発的に情報を広める環境が生まれ、大手ビールメーカーとの差別化にも成功しました。商品の魅力だけでなく、情緒的な価値や作り手への共感を丁寧に育んだことが、認知拡大を後押ししている事例です。
まとめ:認知拡大についてお困りなら弊社におまかせ
本記事では、認知拡大の基本的な意味から始まり、具体的なマーケティング施策や効果測定の方法、さらに成功事例までを網羅的にご紹介しました。
認知拡大は単なる認知度の向上にとどまらず、企業の信頼性を高め、新規顧客の獲得や広告費の効率化にもつながる重要な取り組みです。施策は一度きりで終わらせず、自社に合った方法を選びながら継続的に改善していく姿勢が成功を左右します。
また、自社のリソースやノウハウだけでの推進に不安を感じる場合は、アイリッジが提供する「ビジネスプロデュース支援」の活用もご検討ください。
戦略設計から、オンライン・オフラインを融合した施策の立案・実行までをワンストップで支援可能です。認知拡大にお悩みの企業さまへ、課題に即した具体的な解決策をご提案いたします。
