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デザインシステムとは?作り方や主要な構成要素を詳しく解説

デザインシステムとは?作り方や主要な構成要素を詳しく解説

近年、Webサイトやアプリの開発現場で「デザインシステム」が注目を集めています。複数のデザイナーやエンジニアが関わるプロジェクトでは、デザインの統一性や作業効率を保つことが重要です。そこで役立つのが、再利用可能なUIコンポーネントやスタイルガイドなどを体系的にまとめた「デザインシステム」になります。

この記事では、デザインシステムの基本的な考え方から、具体的な作り方、主要な構成要素、導入によるメリットまでを詳しく解説します。プロジェクトの品質を高めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

デザインシステムとは?

デザインシステムとは?

デザインシステムとは、企業や組織が優れたデザインを生み出すために必要な情報を構造化・体系化したものを指します。国の省庁でもあるデジタル庁でも「人にやさしいデジタル化」の実現を目指し、デザインシステムの構築を推進しています。

デザインシステムが必要とされる理由

デザインシステムが必要とされる理由として、企業やブランドとプロダクトをつなぐ橋渡しのような存在であることが挙げられます。企業における文化は、ミッションやビジョン、価値観などによって構成されています。この企業文化をより具体的に外部へ伝えられる形にしたのが「ブランド」です。デザインシステムはプロダクトの中で統一したロゴ・カラー・フォントを使用することで、ブランドを通して企業文化を多くのユーザーに伝えられるようになります。

また、デザインシステムはプロダクトに対してユーザーが抱いているニーズを満たす形で構築しなくてはなりません。そのため、ユーザーのニーズを企業にわかりやすく伝えられる媒介にもなっているのです。

デザインシステムとデザインガイドラインの違い

デザインシステムと似ている言葉に「デザインガイドライン」があります。デザインガイドラインとは、デザインをしていく中で決められた原則やルールなどです。例えば、ブランドのアイデンティティや統一するカラー、文字を美しく見せるタイポグラフィにおけるルール的な部分はデザインガイドラインです。

デザインシステムとの大きな違いは、コンポーネントライブラリを含むかどうかです。コンポーネントライブラリは主要な構成要素の中で詳しく解説しますが、デザインガイドラインとは別の要素であり、逆にデザインシステムには含まれています。

デザインガイドラインはあくまでも実装する前段階までに必要な視点です。つまり、デザインガイドラインはデザインシステムにおける要素となります。

デザインシステムの主要な構成要素

デザインシステムの主要な構成要素

デザインシステムは主に3つの要素によって構成されています。

  • デザイン原則
  • スタイルガイド
  • コンポーネントライブラリ

3つの要素は完全に独立しているわけではなく、相互連携によって成り立っています。お互いに影響を与え合っていることで、1つのデザインシステムが構築されているのです。ここでは、各構成要素について詳しく解説していきます。

構成要素①:デザイン原則

デザイン原則は、デザインを決める上でベースとなる考え方をまとめたものを指します。主に、「ブランドアイデンティティ」と「デザイン指針」の2つはデザイン原則に該当し、それぞれ企業の理念やブランドの方針を反映しています。

デザイン原則を作成する目的として、デザインシステムにおける「らしさ」が何かをステークホルダーで理解・共有することが挙げられます。デザインシステムの方向性が決まることで、デザイナーやエンジニアなどが個別でタスクを進める際に、同じ方向に向かって作業を進められるようになるのです。組織としてデザインシステムを新たに設ける場合は、まずデザイン原則の定義を行うべきでしょう。

構成要素②:スタイルガイド

スタイルガイドは、デザイン原則に基づいて決められたルールを指します。主に以下の要素がスタイルガイドで決められるものです。

  • メインカラー、サブカラー
  • フォントサイズ
  • タイポグラフィ
  • レイアウト
  • UIのルール

スタイルガイドは見た目に一貫性を持たせるために重要な要素であり、プロダクトがどのような状況にあっても統一されたビジュアルを保ちます。例えば1つの画面内に2つボタンを配置したい場合、常に横並びにするのか、それとも縦並びで設置するのか、などです。人によってはあまり気にならないかもしれませんが、ユーザーの中にはボタンの配列方法に統一感が見られないことで混乱させてしまう恐れもあるので注意が必要です。

構成要素③:コンポーネントライブラリ

コンポーネントライブラリは、UIコンポーネントの再利用可能なコード・デザイン要素を含む、デザインシステムにおいてより実践的な箇所を指します。UIコンポーネントにもさまざまな種類があります。

  • ボタン
  • ナビゲーションバー
  • 入力フォーム
  • リスト
  • アコーディオン
  • モーダル など

コンポーネントライブラリによって同じコード・デザインを何度も作成し直す必要がなく、作業効率のアップにもつながります。業務中は基本的にデザイナーがスタイルガイドを使用し、エンジニアがコンポーネントライブラリを使用することになります。

なお、デザインシステムは一貫性を保つ必要があり、エンジニアが勝手にコンポーネントライブラリの種類が少ないからと言って勝手に追加してしまうと、デザインシステムがうまく機能しなくなる可能性が高まります。そのため、新規でUIコンポーネントを作成する際には、デザイン原則や事前に決められた組織でのフローに従って進めていくことが大切です。

デザインシステムを導入するメリット

デザインシステムを導入するメリット

デザインシステムを導入した場合、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここで4つのメリットをご紹介します。

一貫性のあるUI/UXの提供ができる

デザインシステムを導入することで、チーム内はもちろん、企業やブランド全体でプロダクトのデザイン統一を図ることができます。カラーやフォントなどで一貫性を持たせることもできますが、一貫性のあるUI/UXを提供できるのも大きな魅力です。

UI/UXが一貫していることで、単にデザイン的な美しさだけでなく、ユーザーが多岐にわたる接点の中でも迷わずに操作できるようになり、最終的には満足度の高いユーザー体験につながります。1つのサイト内で一貫性を持たせることはもちろん重要ではありますが、複数のサービスを提供している企業なら、すべて一貫性のあるUI/UXに統一したほうがユーザーも操作がしやすくなるでしょう。

開発・デザインの効率化を図れる

一度デザインシステムを構築・導入してしまえば、その後も繰り返し使用することが可能です。そのため、新たにデザインを一から作り直す必要がなく、開発時間も大幅に短縮されるでよう。また、新しく作り直さなくてもよいということは、その分エラーやミスが起きる可能性が低くなります。

開発やデザインの効率化が図れると、プロダクトの開発サイクルを素早く回せるようになり、メンバー間での伝達工数や保守運用の工数なども削減できます。これにより、開発のスピードが上がってコストダウンにつなげることも可能です。

チーム間のコミュニケーション向上につながる

デザインシステムの構築によって、チーム間でのコミュニケーションも取りやすくなります。プロダクトではデザイナーやエンジニアなど、あらゆる職種の方が関わってくると言われています。その中で共通のデザイン言語を持っていないとお互いのイメージや認識にズレが生じてしまい、開発に矛盾が生じたりプロダクト開発に遅延が発生したりする可能性もあるでしょう。

デザインシステムを導入することによって、チーム間で一人ひとり職種が違っていたとしても、共通の認識を持ってプロダクト開発に取り組めるようになります。スムーズな連携ができるようになれば、チーム間の生産性も向上するはずです。

ユーザビリティが向上する

上記で挙げた一貫性のあるUI/UXやチーム間でのコミュニケーション向上は、高品質なプロダクトの開発に欠かせない要素でもあります。特にUI/UXはWebサイトやアプリを使用する上で、直接ユーザー体験に関わってくる部分です。

高品質なプロダクト開発によってユーザビリティが向上すれば、ユーザーは「また利用したい」と感じられるようになり、CV率や再訪率のアップも期待できるでしょう。

デザインシステムを導入するデメリット

デザインシステムを導入するデメリット

デザインシステムの導入によってさまざまなメリットが得られますが、一方でデメリットになってしまう部分もあります。どのようなデメリットがあるのか、解説していきましょう。

導入に時間とコストがかかる

デザインシステムを構築するためには、多くの工数をこなす必要があり、かなりの手間と時間がかかってしまいます。まずはデザイン原則を定めてから、スタイルガイドとコンポーネントライブラリを設定しなくてはなりません。

また、デザインシステムを構築するのに多くのリソースを割くことになります。リソースを割く必要があるということはその分導入コストも高くなってくると考えられるでしょう。

管理・運用が大変

デザインシステムは最初に構築すれば終わりというわけではありません。正しく運用されるように、専任のチームを作って運用体制を構築していく必要があります。

また、一貫性を保つようにガイドラインなどが設けられていますが、システムを変更したい場合や新たにアイデアを追加したい場合などは対応が難しく、柔軟性を持って運用しにくいというデメリットもあります。

小規模プロジェクトでは導入のメリットが少ない

デザインシステムを構築するのに時間がかかるだけでなく、ある程度のリソースが必要であることは解説しましたが、その結果中規模・大規模のプロジェクトには向いているものの、小規模のプロジェクトには導入するメリットが少ないと言えます。

具体的にはLPなどの1ページで終わるサイト制作ではなく、ページ数が多い中~大規模のサイト制作のプロジェクトなら、デザインシステムを導入するメリットが大きいです。

デザインシステムの作り方【7ステップ】

デザインシステムの作り方【7ステップ】

実際にデザインシステムを構築する際には、どのような流れで作業を進めていけばよいのでしょうか?ここで、デザインシステムの作り方について解説します。

ステップ①:デザインシステムを作成する目的を明確にする

最初にデザインシステムを作成する目的から明確にしていきます。目的を最初に決めておかないとチームでの方向性がバラバラになってしまい、一貫性のあるデザインシステムを構築することができません。そのため、はじめにデザインシステムを作成する目的を明確に定め、そこからデザイン原則のブランドアイデンティティやデザイン指針を決めておきましょう。

定義や指針などが明確になったら、ドキュメント化をして多くの人に共有できるようにしておきます。なかなか決められない場合は、プロダクト開発の戦略策定や要件定義におけるアウトプットを使い回す、またはアレンジすることによってデザイン原則を決めても問題ありません。

ステップ②:スタイルガイドを作成する

デザイン原則が決まったら、次にスタイルガイドを作成していきます。デザイン原則に基づき、デザイナーを中心にメインカラーやサブカラー、アイコン、余白、フォントサイズなどを決めます。

なお、スタイルガイドを作成する上で気を付けておきたいのは、完璧につくり上げようとすることです。ここで完璧にしておこうと内容を盛り込み過ぎてしまうと、時間がかかってしまうだけでなく、小規模のプロジェクトになるとそもそもたくさんのルールを設けてもほとんど不要になる可能性が高いです。そのため、プロジェクトの規模に見合ったスタイルガイドを作成するようにしましょう。

ステップ③ :UIコンポーネントの定義を定める

コンポーネントライブラリを作成する前に、まずはUIコンポーネントを定義していきます。例えばWebサイトやアプリの中で特に重要なUIコンポーネントの1つでもある「ボタン」は、ユーザーとUIが直接接する部分になるため、定義を決めておかないとユーザーがアクションを起こしにくくなる可能性があります。

また、サイトやアプリをロードするタイミングで表示される進捗バー(プログレスバー)は、タスクの進捗状況をユーザーにお知らせできるコンポーネントです。進捗バーにもさまざまな種類があり、例えば名前のとおり横に伸びるバーや、回転するサークル型、数字によるカウントなどが挙げられます。

一つひとつのUIコンポーネントを定義していくのは大変ですが、ここで定義しておくと後で再利用ができる形になるため、最低限使用するコンポーネントをピックアップしておきましょう。

ステップ④ :コンポーネントライブラリを構築する

UIコンポーネントの定義づけが完了したら、コンポーネントライブラリを構築していきます。まずはデザイナーがスタイルガイドと定義に基づいてUIパーツを作成していき、さらにエンジニアがUIパーツを実装するためのコードを作成します。

コンポーネントライブラリはデザイナー側の視点とエンジニア側の視点を考慮しながら作成することが大切です。例えばデザイナーが凝ったデザインで作ったとしても、エンジニア側からするとコードが複雑化したり、サイトが重くなったりする可能性があります。そのため、両者の視点を加味しながら、現実的に実現できるラインを探っていくことで、ユーザーの満足度向上につながります。

ステップ⑤ :パターンライブラリを作成する

パターンライブラリとは、デザイナーがユーザビリティに関する問題点を解消するために活用するコンポーネントのグループを指します。前述したコンポーネントライブラリと似た概念になりますが、コンポーネントライブラリは主にエンジニアが使用するツールという要素が強く、またパターンライブラリは組織内で共有するためのものという要素が強いです。

例えば背景や途中経過などは一旦置き、すでに完成したデザインパターンを一覧で表示したものがパターンライブラリです。また、コンポーネントがUIの最小単位であり、パターンはコンポーネントを複数組み合わせたことで大きい単位として扱うことになります。プロダクトでよく使用するUIテンプレートを作成しておけば、作業の効率化も図れるでしょう。

ステップ⑥ :ドキュメント化とガイドラインを作成する

パターンライブラリまで作成できたら、次にドキュメント化とガイドラインを作成していきます。デザインシステムを構築した場合、デザイナー側がFigma(ブラウザ上で動作するデザインツール)、エンジニア側がコードを残していますが、デザイナーとエンジニアでデータを共有することは難しいと言えます。そもそもデザインシステムは共通言語という役割を持っていることから、共通するデータとしてデザイナーとエンジニアが共有できるドキュメント化は重要な工程になります。

さらに、ガイドラインも作成する必要があります。デザインシステムの使い方からルール、最善の手順や成功事例などをまとめたガイドラインを作成しましょう。

ステップ⑦ :運用を開始する

ドキュメント化とガイドラインまで作成できたら、いよいよデザインシステムの運用を開始します。デザインシステムの運用開始にあたって、まずはチーム全体でメリットや使い方などを共有し、全員が活用できるようにしておくことが大切です。ワークショップなどを開き、活用できるようにサポートしていきましょう。

また、運用後はフィードバックを収集して改善したり、定期的にアップデートしたりすることも重要です。デザインシステムの改良を図っていくことで、作業の効率化だけでなくプロダクトの品質向上にもつながるでしょう。

まとめ:デザインシステムを活用して効率的な開発を実現しよう

まとめ:デザインシステムを活用して効率的な開発を実現しよう

今回は、デザインシステムとは何か、主要な構成要素や作り方について解説してきました。デザインシステムはプロダクト全体に一貫性を持たせて、生産性やプロダクトの品質を向上させることが期待できます。また、優れたユーザビリティを実現でき、ユーザーにとって利用しやすいサービスを提供することもできるでしょう。

ただし、初めてデザインシステムを導入しようと考えても、どのように始めればよいかわからなかったり、リソースが不足したりする可能性も考えられます。そこでおすすめしたいのが、アイリッジの「アプリ成長支援サービス」です。

アイリッジの「アプリ成長支援サービス」では、優れたユーザビリティを実現させるために、アプリの設計から見直して改善方針を探っていきます。さらに、企画支援から市場調査、事業戦略の立案まで一貫したサポートが可能です。デザインシステムを取り入れながら自社アプリの改善を図りたい方は、ぜひアイリッジの「アプリ成長支援サービス」をご利用ください。

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