アプリデザインとは?作成手順や役立つツール、参考にしたいサイトも紹介
日本だけでもスマートフォンの利用者は非常に多いです。2024年1月に行われたNTTドコモ モバイル社会研究所の調査によれば、日本国内で携帯電話を持っている人のうち、スマートフォンの比率が97%だったことがわかっています。そのため、アプリを利用している人も多くいることが予想できます。
また、MMD研究所が発表した「2022年版:スマートフォン利用者実態調査 第2弾」では、インストールしているアプリの平均は19.3個です。世の中には多くのアプリがあり、より多く使ってもらうためには使い勝手の良いデザインにする必要があります。しかし、「どういったデザインが良いのかわからない」「デザインの構築方法がわからない」と悩んでいる方もいるはずです。
そこで今回は、アプリデザインの重要性や作成時に抑えるべきポイント、作成手順などを解説していきます。デザインの参考となるサイトもご紹介していくので、アプリデザインで悩んでいる企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
参考:【モバイル】2024年調査 スマートフォン比率97%:2010年は約4%(2024年4月15日)|レポート|NTTドコモ モバイル社会研究所
参考:2022年版:スマートフォン利用者実態調査 第2弾
アプリデザインとは?
まずは、アプリデザインについて解説していきます。重要性を知り、デザインの構築に活かしていきましょう。
アプリデザインの重要性
スマートフォンやタブレットなどで使うアプリケーションのデザインをアプリデザインと言います。UXデザインとUIデザインを組み合わせて使い勝手の良いアプリを作る作業です。近年では幅広い種類のアプリが企業によって提供されています。多くのユーザーがアプリを活用している中、利用者が求めているレベルは高まっていると考えられます。使い勝手が悪いアプリはすぐにアンインストールされ、他のアプリへと乗り換えられてしまうはずです。レビューで悪評が書かれてしまえば、企業の信用問題にも発展してしまいます。
そのため、企業はアプリデザインにこだわる必要があります。見た目が良いだけではなく、使いやすさやわかりやすさ、機能性の良さなど、そのすべてを備えたアプリデザインを作ることが求められています。快適にアプリを利用したい人は多いので、直感的に利用できるデザインのアプリを作ると利用者も増えていくはずです。
UXデザインとは?
アプリデザインを作る上で理解しておくべきこととしてUXデザインやUIデザインが挙げられます。UXはUser Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略語となり、ユーザー体験を意味します。アプリを通じて体験する物事を指し、提供する側には価値のある体験をユーザーに与えることが求められています。そのため、UXデザインはユーザーがアプリを活用する際に得られる体験を設計することを指します。
多くのアプリが展開されている現代において、競合との差別化を図ることは難しいです。しかし、UXデザインで魅力的な体験を与えられれば、差別化を目指せて満足度の増加や利用者の増加を促せるようになります。
UXデザインについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
UIデザインとは?
UIは、User Interface(ユーザーインターフェース)の略語で、ユーザーと関わる接点を意味します。アプリの画面上に配置されているボタンや文字、アイコンなどが当てはまります。そのため、UIデザインはUIをデザインすることを指しています。
ユーザーがサービスを使いやすくすることをデザインで目指し、優れたUIデザインを施せればユーザーの満足度向上につながり、アプリの利用率も向上させられるはずです。インストールしても使い勝手が悪ければアンインストールされてしまうので、魅力的なUIデザインでユーザーの心を掴む必要があります。
アプリデザインで押さえておくべきポイント
ユーザーが理想とするアプリデザインを構築するためにも押さえるべきポイントを解説していきます。以下を参考にアプリデザインを考えていきましょう。
シンプルで統一感のあるデザインにする
アプリデザインではシンプル且つ統一感のあるデザインの構築を意識しましょう。例えば、以下のような項目を意識して統一感を出してみてください。
・アイコン
テキストだけではなく、「×(削除)」や「+(追加)」といった視覚的に理解しやすいアイコンを使ってみてください。
・ボタン
重要や緊急性を促すボタンは赤にして優先度の高さをアピールし、追加や作成など、優先度の低いボタンは緑や青を用いるとわかりやすいです。
・テキスト
文章が多いと見にくさを与えてしまいます。余白を作ることでデザイン全体に美しさがプラスされます。重要な数字や文字は太字やサイズを大きくすると目に入りやすく、重要な点を理解しやすいです。
ユーザー視点で使いやすいデザインにする
アプリを作る際には使いやすさがポイントです。使い勝手が良くなれば評価も高くなるので満足度をアップさせることができ、企業に対する信頼性アップや利用者の増加につながります。
ユーザーにとって使いやすいデザインが重要となるため、実際に自分たちでアプリを使用して課題やアイデアを引き出していきましょう。既に提供されているアプリの中でも、満足度が高いアプリや利用者数が多いアプリを選び、自社アプリと比較してみてください。評価の高いアプリには理由があるので、良いアプリデザインを自分でも体験することで、自社アプリの課題点が浮き彫りになります。
アプリの目的とユーザーのニーズに合ったデザインにする
ユーザーが抱えている悩みや課題を解決することがアプリの目的です。ターゲットとなるユーザーのニーズを理解するためにも、まずは「誰のためにアプリを構築するのか」を考えてみましょう。そのため、ペルソナを考える必要があります。ペルソナとは、アプリのターゲット像を詳細に設定した架空の人物です。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 収入
- 趣味
- 価値観
- ライフスタイル
- 家族構成
など、実在している人物のように設定します。その結果、ターゲットとなるユーザーのニーズや行動パターンを深く理解するために役立ちます。
視認性とデザインのバランスを調整する
ユーザーがわかりやすいと感じるデザインを構築する必要がありますが、ユニバーサルデザインの観点から、幅広いユーザーに配慮した配色やデザインが不可欠です。配色に関しては、色を過剰に用いるとゴチャゴチャとしてしまいわかりにくい印象を与えてしまいます。「ベースカラー70:メインカラー25:アクセントカラー5」の比率が理想です。
また、ターゲットとなるユーザーが若年層ではなく年齢層が比較的高めの50~60歳代であれば、若い世代が心地良いと感じるフォントサイズよりも少し大きくすると見やすさを与えられます。デザイン性を考えた時には文字のサイズを大きくすると損なわれる印象がありますが、ターゲットに合わせて視認性を高めることが重要です。
モバイルデバイスに最適化されたレスポンシブデザインにする
アプリデザインでは、見やすさをモバイルに適用させて考える必要があります。モバイル端末で利用することを考えて、わかりやすく操作がしやすいようにタップのしやすさがポイントとなります。
ユーザビリティを意識したレスポンシブデザインを採用すれば、画面サイズや入力方法に応じて表示が最適化されます。ユーザーがスムーズに操作できるよう設計することが大切です。
アプリデザインの作成手順
ここからは、アプリデザインの作成方法をご紹介していきます。
1.目的とターゲットの明確化
アプリデザインを制作するためにも、まずは誰にどんな価値を提供するのか、作成する目的は何なのかなど、目的を設定していきます。目的やターゲットが曖昧になってしまうと、誰にも刺さらないアプリになるので制作する意味がなくなってしまいます。
目的やターゲットを設定することで、ユーザー目線のニーズに合うアプリデザインがイメージできます。また、その際にはペルソナを具体化し、ペルソナに対して何が必要なのかを洗い出すようにしてください。
2.ユーザーフローの設計
ユーザーがアプリで特定のタスクを達成するためにどんな操作をしていくのかを可視化したものをユーザーフローと言います。ユーザーがアプリを起動し、特定のゴールに辿り着くまでの一連の流れや行動を視覚的に表現した図となり、アプリの使いやすさやUIやUXの改善に役立てることが可能です。例えば、ショッピングを楽しめるアプリであれば、以下のようなステップが考えられます。
- アプリ内の商品ページにアクセス
- 商品の情報を確認
- カートに追加
- カートの中を確認
- 購入手続き
- 支払方法の選択
- 購入完了
上記のようなユーザーの行動を可視化すれば、アプリの設計や改善に役立つ仕組みです。
3.ワイヤーフレームの作成
次に、アプリの骨格となるワイヤーフレームを作成していきます。デザインを実際に起こす前の段階の過程となり、全体の設計図を無彩色で可視化したものをワイヤーフレームと言います。
ボタンやリンクも仮で配置し、アプリの全体像を作ることで機能の必要性やボリュームなど、構成の段階では見えなかったイメージを掴めるようになります。
4.UIデザイン(ビジュアルデザイン)の作成
ワイヤーフレームの作成が終わったら、デザインの作成に進みます。押さえるべきデザイン項目は以下の通りです。
- アプリのロゴ
- トップページ
- 文字や写真のビジュアル
- キャラクター
- アプリで使用する素材の作成
- イメージに合う配色がされているか
- ボタンの操作性
- 機能の過不足
- 目的達成までの導線がシンプルであるか
アプリ全体のビジュアルが良くても、操作性が難しければユーザーの離脱を招く要因です。UIやUXを考慮した上でデザインを制作してください。
5.プロトタイプの作成
プロトタイプとは、試作品や原型を意味します。アプリをリリースする前に動作や機能を検証するために作成されます。ユーザーによるユーザビリティテストといった評価のほかに、作成過程のデザインや動作の擦り合わせなど、関係者内で確認するために用いられます。
アプリの担当者が開発者やデザイナーにイメージを伝えることは容易ではありません。すべての要件を列挙し、ゴール地点までを過不足なく伝えるには多くの時間や労力が必要になります。明確に伝えられなければイメージが異なるアプリが出来上がるため、その分修正も必要になります。修正が多くなればコストや時間が膨大にかかってしまうため、プロトタイプを一度作成してから調整した方が要望や改善策を理解しやすいので、工程数を減らすことにつながります。
6.ユーザーテストとフィードバックによる調整
プロトタイプを作成したら、ユーザーによるテストを実施します。ユーザーに受け入れられる機能になっているのかを調査するためのテストです。ターゲットとなるユーザーに試験的に利用してもらい、行動視察やリアルな意見を聞くことで、課題を抽出できるようになります。
開発者側では気が付きにくい課題を発見するために役立つので、アプリデザインでは欠かせないステップです。
アプリデザインの参考にしたいサイト8選
最後に、アプリデザインを作成する際に参考となるサイトを8つご紹介していきます。
①UI Pocket
UIデザインの画像を公開しているギャラリーサイトがUI Pocketです。有名アプリのデザインを豊富に取り上げ、トップページや各ページのスクリーンショットが掲載されています。日本のアプリも多く取り上げられており、アプリ1つあたりの画像数が多いといった特徴があります。日本語で表示されているので理解しやすいのもポイントです。
掲載されるアプリは随時更新され、Xでも新着情報が発信されているので確認してみましょう。
参考:UI Pocket
②Behance
クリエイターが作成した作品をポートフォリオ形式で公開できるSNSサイトがBehanceです。気になるデザインをクリックすることで、ポートフォリオ形式となり、その他の作品やプロジェクトの詳細をビジュアルで確認できます。日本人クリエイターの作品も多数公開されていますが、海外のデザインが圧倒的に多いという特徴があります。そのため、海外のデザインを参考に作成したい方に向いているツールです。
プロジェクト名や人物名で作品を検索でき、フィルターを使って国や使用ツール、クリエイティブ分野など、条件を絞って検索することも可能です。クリエイターがどんなツールとテクニックを使用してデザインしているかなど、ライブ中継や録画された動画を閲覧して学ぶこともできます。
参考:Behance
③Dribbble
世界中にいる個人デザイナーや企業のデザインを閲覧できるサービスがDribbbleです。招待生SNSとなっており、既存ユーザーに招待された人でしか投稿できないので、一定上のレベルのクリエイターにしか作品をアップロードできないので、クオリティの高いデザインが多い特徴があります。ただし、閲覧のみであれば招待がなくても可能となっています。
クリエイターに質問ができるほか、制作の依頼をすることも可能です。
参考:Dribbble
④Awwwards
優れたWebデザインに贈られる賞を選定しているWebサイトがAwwwardsです。投稿されたデザインに対しては、ユーザーが採点や投票を行うことができ、順位付けされる仕組みです。ノミネートや受賞すれば信頼性を高めることが可能です。順位付けは、日次や週次、月次や年次で行われています。デザインの最新トレンドを知るためにも最適なサイトです。Awwwardsに出品をすれば、専門家による審査も受けられます。フィードバックが得られるので、問題点の改善にも効果的です。
参考:Awwwards
⑤Mobbin
海外のアプリデザインを10万点以上も掲載しているのがMobbinです。海外で人気のアプリは日常生活では知ることのないものも多いです。しかし、Mobbinには多数掲載されているので、世界で通用するアプリデザインを知ることができ、最新のデザイントレンドを把握するためにも役立ちます。
ビジネスやファイナンス、ヘルス&フィットネスなど、フィルターを細かくかけて検索することも可能です。また、iOSからAndroidやブラウザのデザインも閲覧できます。
参考:Mobbin
⑥UI Sources
厳選されたスマホアプリのUIデザインが集約したサイトがUI Sourcesです。カテゴリごとに分類されているので、挑戦したいカテゴリのUIデザインを探しやすい特徴があります。
また、UIデザインごとのユーザーのインタラクションを動画でチェックできます。スクリーンショット以外にも、ユーザーがアプリを操作し、画面変遷するまでのステップが動画で確認できるので、ユーザー体験の様子を確認できるメリットがあります。
参考:UI Sources
⑦Apple Human Interface Guidelines
iOSアプリのユーザーインターフェースの設計に関する基本的な指針がApple Human Interface Guidelinesです。Apple向けのアプリをリリースする開発者向けに、どんなデザインを構築すれば良いのかまとめたガイドラインとなります。言葉や画像、デザインをどのように選べばユーザーが手軽に使えるのかまとめた内容となっており、開発者にとって参考となるツールです。
参考:Apple Human Interface Guidelines
⑧Material Design 3
Googleが開発したデザインシステムとなっており、ドキュメントやデザインリソースなど、開発に必要なライブラリが公開されています。Material Design 2が2021年に発表されていますが、3になりさまざまな進化が加わっています。
ユーザーの壁紙から色を抽出し、UIの配色を自動で調整する機能のDynamic Colorやオブジェクトの表面に半透明のレイヤーを重ね、Elevationに応じて透過度を変化させることでコンテンツ間の境界を明確にできるSurface Tonesといった新機能が搭載されています。
まとめ:ユーザー目線を意識したアプリデザインを作成しよう!
アプリデザインは見た目の美しさだけでなく、ユーザーの使いやすさを追求することが重要です。目的やターゲットを明確にし、ユーザー視点に立った設計を行うことで、満足度の高いアプリを作ることができます。
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