ロケーションビジネス領域において、 クロスロケーションズ(株)と業務提携、同社へ一部出資
〜ロケーションビジネスの拡大とクライアント向けCRM施策強化〜
2018年6月15日
株式会社アイリッジ(本社:東京都港区、代表取締役社長:小田健太郎、以下「当社」)は、2018年6月15日開催の取締役会において、ロケーションデータ(位置情報)を活用した広告配信等を行うクロスロケーションズ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:小尾一介 、以下「クロスロケーションズ」)と、ロケーションビジネス領域において業務提携契約(以下「本業務提携」)を締結すること、及び同社の株式の一部を取得(以下「本株式取得」)することを決議いたしました(以下、本業務提携及び本株式取得を総称して「本提携」)。
1.本提携の背景と目的
当社は、企業向けに、O2O(注1)アプリの企画・開発・運用をトータルに提供しておりますが、企業のスマホ・マーケティング(スマートフォンを活用したマーケティング)への取組は良好で、小売・流通等に留まらず、業界を問わず拡大の傾向にあります。足元では、電子地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」や行動データを活用したロケーションビジネスの展開などを進めております。
インフラ環境としましては、2016年末時点でスマートフォンを保有する個人の割合は56.8%を占め(前年比3.7ポイント増)(注2)、スマートフォンの普及に伴い、位置情報データが飛躍的に増えております。また、2018年に本格運用が始まった日本の高精度衛星測位システムやIoT機器のさらなる普及等によって各所で環境整備が進んでおり、位置情報の種類も、GPS、Wi-Fi、Beacon等、近距離をベースとしたものから屋内空間での測位まで、多様化しています。総務省「G空間×ICT推進会議」報告書によりますと、位置情報活用に関連する市場規模は、2012年の約20兆円から、2020年には約62兆円に拡大すると予想されています。
マーケティング領域においても、位置情報を利用したサービスが展開されていますが、現状は特定のエリアにいる/いた消費者に配信する位置情報連動型の広告配信が中心となっております。今後、位置情報とクライアントのもつ会員データや購買履歴等との連携を行うことで、広告配信だけではなく既存ユーザー向けの効果的なCRM(注3)といった事業領域が拡大することが見込まれます。
クロスロケーションズは、Near Pte. Ltd.(本社:シンガポール、Founder & CEO:Anil Mathews、2012年10月設立、以下「Near」)からスピンオフし、2018年1月より日本国内向けにサービス提供を開始しております。
Nearは特定のデバイス、OS、アプリに依拠しない広範で多様な位置情報を取得し、ロケーションベースのオーディエンス(広告配信の候補先となる消費者)を構築できるグローバルなプラットフォーム「Allspark」(注4)を運営し、広告代理店やリサーチ部門向けに広告配信サービスや分析データを提供しております。同社はSequoia Capital(米国)やCisco(米国)、Telstra Ventures(豪州)などから出資を受け、日本国内はもとより世界15億を超えるデバイスから許諾を得た上で個人の特定を排除した位置情報データを保持しております。なお、クロスロケーションズの前身として、Nearは、2014年1月より日本国内向けにサービス提供しておりましたが、現状、クロスロケーションズに移管されております。
クロスロケーションズは、「Allspark」の日本国内における独占的ライセンス販売権をもち、同社(その前身を含む)は日本国内において、「Allspark」を活用した広告配信サービスや分析レポートの提供等を行ってきました。引き続き「Allspark」を活用したビジネス展開を図るとともに、日本国内のロケーションデータを拡充し、日本のビジネス環境により適合したデータ解析モデル、データ・プラットフォーム「Location AI Platform」(注5)の構築を進めています。
当社は位置情報連動型の情報配信ツール「popinfo」(注6)をはじめ、O2Oアプリを軸にしたCRM領域を得意としており、上述の位置情報を取り巻く環境を踏まえ、ロケーションデータを活用したCRM領域の強化を積極的に図っていきたいと考えております。
このような背景のもと、当社は、クロスロケーションズの「Allspark」やデータ解析モデル、データ・プラットフォームと連携することにより、当社クライアント向けのCRM施策を強化することができ、また当社のロケーションビジネスの拡大、成長に繋がると判断し、本業務提携に至りました。また、本業務提携の実効性を高め、より強固なものにするため、本株式取得を行うことといたしました。
(注1)O2O (Online to offline:オンライン トゥ オフライン)とは、消費者にインターネット(オンライン)上のウェブサイトやアプリを通じて情報を提供し、実店舗(オフライン)への集客や販売促進に繋げることをいいます。
(注2) 出典:総務省「平成28年通信利用動向調査」
(注3) CRM (Customer Relationship Management:カスタマー リレーションシップ マネジメント)とは、顧客の嗜好、属性、利用状況等の情報を分析・活用し、顧客のニーズに合致した情報やサービス等を提供することにより、顧客の利便性と満足度を高め、顧客と企業の長期的な関係を築く取り組みのことをいいます。
(注4) Allsparkとは、スマートフォンアプリから取得される位置情報を活用してロケーションベースのオーディエンスを構築できるツール。
(注5) Location AI Platform では各種位置情報やGIS関連データ(注7)を統合し、格納されたデータの統計的モデル化をおこなった上で、AIによる地域や動態の特性把握や企業・団体の事業での施策案推薦機能などを搭載していきます。本プラットフォームを活用することで、様々な位置情報やGIS情報を統合した位置情報ビッグデータを企業・団体の事業でスムースに活用できるようになります。
(注6) popinfoとは、スマートフォンの待受画面に、伝えたい情報をポップアップで配信できるサービスです。スマートフォンアプリに組み込むだけで、ユーザーの位置情報、属性、時間に応じた情報配信が可能となります。
(注7) GIS(Geographic Information System: 地理情報システム)は、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術のことをいいます。
2.本提携の内容等
(1)本業務提携の内容
当社とクロスロケーションズで合意している本業務提携の概要は、以下のとおりです。
- 当社クライアント向けCRM施策の強化
当社が保有するロケーションデータや属性データとクロスロケーションズのデータ・プラットフォームを連携することで、当社クライアント向けCRM施策の強化を図ります。分析対象のデータ量が増加することや、クロスロケーションズのノウハウを活用したデータ解析モデルにより、これまで以上に分析精度の向上が可能となり、効果的なCRM施策の提案に繋がると考えております。 - 当社「popinfo」を活用した広告配信プラットフォームの開発
クロスロケーションズがロケーションデータ分析に基づいて抽出した広告配信対象者に対して、当社「popinfo」を通じて広告を配信するためのプラットフォームを共同で開発して参ります。 - サードパーティー・データ(注)の蓄積と活用
当社とクロスロケーションズが保有するロケーションデータを連携し、サードパーティー・データを蓄積、広告やマーケティングのための分析データとして提供していくこと等を検討して参ります。
(注)サードパーティー・データとは、自社の顧客等のデータ(ファーストパーティー・データ)以外の第三者(サードパーティー)が提供するデータ。
(2)本株式取得の内容
クロスロケーションズが第三者割当増資により新株式を発行し、その一部を当社が引き受けます。
以上
カンタン導入、ラクラク運用。
アプリビジネスを、これひとつで。