毎月定額でファッションアイテムが借り放題「メチャカリ」の 目指しているものとは？
携帯電話やコンタクトレンズ、フィットネスクラブなど、様々な業界で展開されている毎月定額の利用料で使いたい放題というビジネス。
ついに、ファッション業界で初の定額制ビジネスがスタートしました。
実物を見て「失敗した！」がなしに
人気ファッションブランド「アースミュージック&エコロジー（earth music&ecology）」では、毎月5800円を支払うと、専用アプリから何度でも新作を含むファッショムアイテムが借り放題。
3点まで手元に置いておけます。
この借り放題サービス「メチャカリ」はアパレル業界で初の試みです。
ファッション通販の最大の欠点である、手元に届いてみたら色が思ったのと違った、着心地が好きでなかったなど、「思っていたものと違った」場合であっても、500円の返却料を払って返却が可能です。
これなら失敗せず、たくさんのアイテムを着回すことができます。
しかも、届くのはすべて新品のみ。返却期限は設けていません。
60日間、借り続けたアイテムは、そのままもらうこともできます。
簡単に言えば、5800円を２カ月分、つまり１万1600円でアースミュージック&エコロジーの服を3点、自分の手に入れることができるという仕組みです。
アースミュージック&エコロジーの他、「イー ハイフン ワールド ギャラリー（Ehyphen world gallery）」や「グリーン パークス（Green Parks）」、「セブンデイズ サンデイ（SEVENDAYS=SUNDAY）」の4ブランドのファッションアイテムを、「メチャカリ」のアプリから借りることが可能です。
なぜ、アプリ？なぜ、日常着のレンタルサービス？
ファッションアイテムのレンタルは、ドレスや着物のような高額でたったの1度しか着ないようなものの分野では存在していました。
ですが、「メチャカリ」のような気軽に買える価格帯の日常着のレンタルサービスは、新しい取り組みです。
総務省の調べによると、若年層の女性が１カ月に服や靴などファッションにかける費用は、2008年では1万7287円でしたが、2014年は1万718円と大幅に減りました。
若い世代ではファッションよりも音楽やインターネット、アニメ、漫画といったことに関心が高い人たちが多く、ファッション離れが進んでいるとも言われています。
そこで、考え出されたのが日常着のレンタルサービス「メチャカリ」です。
所得が少なく服を気軽に買えない若年層に、ファッションに興味を持ってもらえる値段を設定し、音楽など他の業界に奪われた売り上げを取り戻そうというものです。
10代の若年層は、将来は、メインの顧客になる年代になります。この世代のファッションへの関心を、今底上げしておく必要があるのです。
メチャカリにアプリを経由させるのはそのためでもあります。
10代は他のどの年代よりもアプリの利用率が高く、彼らにとって身近なアイテムだからです。
IDは1つ ポイントも共通
アースミュージック&エコロジーを展開するアパレルメーカー、クロスカンパニーでは、ネットショッピングのサイトも持っています。
つまり、アースミュージック&エコロジーの服は、メチャカリ、ネットショッピングサイト、実店舗の３つの場所で買うことができます。
ユーザーのその時の状況で便利に買い物をしてもらえるようにと、メチャカリとネットショッピングサイトは共通のIDでログインが可能です。
また、メチャカリ、ネットショッピングサイト、実店舗間で、購入の際にもらえるポイントも共通化してどこで買っても同じように貯められて、同じように使える仕組みにしています。
このO2Oを視野に入れたサービスを提供することによって、オンラインのメチャカリで関心を持ったユーザーに、オフラインの実店舗にも足を運んでもらうチャンスを作っています。
在庫情報も共有でさらに便利に
メチャカリで返却された商品は、クロスカンパニーのネットショッピングサイトで、ユーズド商品として割引サービスを行って販売しています。
また、新品の在庫も、メチャカリ用とネットショッピングサイト用を別にせずに共通で管理しています。
両サイトで同じ在庫を活用することで、準備した在庫が最大限活用できる仕組みです。
メチャカリのサービスは、単にファッションアイテムを定額制でレンタルする初の試みというだけではありません。
各サイトで会員情報の管理が連携されていてユーザーの利便性が追求されていること、在庫が一元化されていること、といった様々なO2Oの取り組みを視野に入れていることが注目すべき点です。
オムニチャネル化が必要なこれからの小売業のあるべき姿といえそうです。
参考
http://www.fashionsnap.com/news/2015-09-16/mechakari-cross/
