これから始めるBtoBデジタルマーケティング|企業の成長を加速させる施策や導入手順を解説
企業に対して自社の商品・サービスを提供する「BtoBビジネス」は、担当者との信頼関係を構築するために、何度も直接商談に訪れたり、テレアポを行って困っていることはないか聞き出したりするなどの手法が行われていました。しかし、近年はデジタル技術の発展に伴い、BtoBビジネスでもデジタルマーケティングの重要性が高まっています。
そこで今回は、BtoBデジタルマーケティングの概要と具体的な施策、さらに導入に向けたステップもご紹介します。これからBtoB向けにデジタルマーケティングを取り入れたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
BtoBデジタルマーケティングとは?
BtoBデジタルマーケティングとは、法人向けビジネスにおいてデジタル技術を活用したマーケティング活動を指します。BtoBはBtoC(一般消費者向けビジネス)とは異なり、比較的検討期間が長く、購買するかどうかは予算の取得時期や現在利用しているサービスの更新時期に合わせて行われることが多いです。
BtoBマーケティングは、これまで顧客企業へのテレアポや直接訪問して自社商品・サービスを提案する営業方法が主流でした。しかし、これでは接点を持てる企業数に限りがあります。また、見込み顧客のニーズがあるのか、商品・サービスに対して興味を持ってくれているかを判断するには、相手の反応を見た上で察する必要がありました。
そんなBtoBマーケティングにデジタル技術を活用することで、見込み客(リード)を大量に獲得して接点を持つことができ、各社に対して効果的なアプローチができるようになっています。
Webマーケティングとの違い
Webマーケティングとデジタルマーケティングは似ていますが、活動の範囲が異なります。Webマーケティングはその名の通り、Webを介して実施するマーケティング活動です。例えば集客力を高めるためにSEO対策を行ったり、自社ブランドや商品・サービスの認知度を高めるためにWeb広告を出稿したりします。
一方、デジタルマーケティングはWebの中も含め、さまざまなデジタル技術を活用してマーケティング活動を行います。例えば以下に挙げる技術を用いて、売上の向上などを目指します。
- IoT
- AI
- ビッグデータ
- AR
- VR
- デジタルサイネージ
- MA
- CRM など
Webマーケティングについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
コンテンツマーケティングとの違い
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって有益なコンテンツを作成し、顧客の獲得を目指す手法になります。例えば自社サイトにブログ記事として商品の正しい使い方を投稿したり、サービスに関連するホワイトペーパーを作成して顧客に提供したりするなどです。また、コンテンツマーケティングはWeb上のコンテンツだけでなく、チラシやDM、会報誌、雑誌などアナログな手段も含まれます。
デジタル技術を活用していれば、コンテンツマーケティングもデジタルマーケティングに包括されます。例えばセミナーを開催して手法や成功事例などを説明する手法はコンテンツマーケティングに含まれますが、このセミナーの内容を動画にしてYouTubeなどに投稿したり、オンラインセミナーを開催したりすると、デジタルマーケティングにも含まれるようになります。
BtoBデジタルマーケティングが重要視されている理由
顧客と直接対面でアプローチを行うことも重要ですが、年々BtoBデジタルマーケティングも重要視されてきています。なぜ重要視されるようになったのか、その理由について解説していきましょう。
購買プロセスのデジタル化が進んでいるため
重要視されている理由の1つに、購買プロセスのデジタル化が挙げられます。CEBというデータ分析を担う企業がGoogleとの共同研究によると、購買プロセスの中で約57%は営業担当との商談前に終わっていることがわかりました。
営業担当に会う前にWebサイトや広告などから情報収集を行っており、この情報によって購買プロセスの半分以上を占めていることになります。デジタル化の進行によってデジタルマーケティングの重要性が増しているのです。
効率的に見込み客を獲得できるため
購買プロセスのデジタル化が進んだことで、多くの企業はオンラインを通じて自社に適した商品・サービスを探しています。そのため、デジタルマーケティングによって多くの見込み客を効率的に獲得できるようになりました。
特に近年は人手不足に陥っている企業も多く、アナログな手法による人海戦術が難しくなっています。デジタルマーケティングなら集客自体をデジタル技術に任せて、その後の各社に適したアプローチをかけることにより、効率よく購買行動につなげられます。
効率的に情報発信が可能であるため
情報発信を効率的に行えるのも、デジタルマーケティングの強みです。ほとんどの企業は商品・サービスに関する情報を探すとき、Web検索などを活用します。そのため、逆にオンライン上で情報を発信していないと、認知度は大きく下がってしまう可能性が高いです。
商品・サービスを必要としていそうな企業を探して飛び込み営業をかけたり、DMを送ったりするよりも、効率よく情報発信が行えるでしょう。
非対面営業が主流になったため
2020年頃に起きた新型コロナウイルスの感染拡大以降、働き方や仕事の取り組み方なども含めて、さまざまな変化が求められました。例えばこれまでBtoBマーケティングは対面での営業が重視されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大から非対面での営業が主流になっています。
また、近年は政府主体となって企業のDX化を推進しており、ますますデジタル技術の活用は進んでいくと考えられます。社会的なニーズが変化していることもあり、デジタルマーケティングの重要性は高まっているのです。
BtoBデジタルマーケティングのメリット
BtoB向けにデジタルマーケティングを行うことで、さまざまなメリットが得られます。例えば以下のようなメリットです。
- 顧客に合わせたアプローチができる
- 営業効率が向上する
- 見込み客の獲得から育成までを一貫して行える
- 顧客との継続的な関係を構築しやすい
- 顧客の行動データを蓄積できる
顧客に合わせたアプローチができる
BtoB向けにデジタルマーケティングを行うメリットとして、顧客に合わせて最適なアプローチができるという点が挙げられます。各企業によって購買プロセスのどのステージにいるのかは異なります。例えばまだ自社の商品に対して認知したばかりで詳しい情報は知らないという人もいれば、すでに競合他社の似た製品と比較段階に入っている人もいるでしょう。
アナログな手法だとどうしても個別に要望を聞いたり、メールの内容を変えたりする必要があったため、対応できる数にも限りがあります。しかし、デジタルマーケティングならそれぞれの顧客の興味・関心度合いに合わせて、個別でアプローチ方法を変えることも可能です。
営業効率が向上する
これまでのBtoB向けの営業活動は、営業担当が見込み客の獲得から商談に持っていき、さらに発注まで営業活動のすべてを担っていました。しかし、これでは1社に対して1人の営業担当が対応する時間が増えることから、他の企業に対して対応するまで時間がかかったり、アプローチできない企業があったりするなど、効率的とは言えないやり方でした。
BtoBデジタルマーケティングを導入することで、情報収集までは顧客側が行い、比較・検討のフェーズで営業担当が商談を行います。これにより、営業担当が1社にかける時間が減り、営業効率を向上させることが可能です。
見込み客の獲得から育成までを一貫して行える
マーケティング戦略において、顕在層のみを意識したアプローチを行いがちです。実際に顕在層を意識したアプローチは短期的な売上につながりやすいというメリットがあります。しかし、潜在層の見込み客に向けて早期段階からリード化させることで、さらなる売上向上につなげていけます。
従来のマーケティング手法では見込み客の獲得はできても、育成はまた別の手法を使って行う必要がありましたが、デジタルマーケティングなら見込み客の獲得から育成までを一貫して行うことも可能です。
顧客との継続的な関係を構築しやすい
顧客との継続的な関係を構築するためには、顧客と双方向でコミュニケーションを取り合うことが重要となってきます。顧客からのフィードバックを受け、それに基づき商品・サービスの開発や改善に努めることで、顧客満足度が高まり継続的な関係につながりやすいです。
例えば、ブログやSNSなどで高品質かつ有益なコンテンツを提供し続けることで、見込み客や顧客との長期的な関係構築にも効果が期待できます。
顧客の行動データを蓄積できる
デジタルマーケティングを取り入れれば、顧客の行動データが蓄積されます。そのデータを分析すれば、顧客が考える真のニーズやどこに興味・関心を抱いているのか、などが把握できるようになり、より精度の高いマーケティング戦略を打ち出すことも可能です。
また、顧客の行動データ以外に営業のノウハウまでデータ化して蓄積することもできます。営業のノウハウがデータ化されれば、属人的だった業務も共有しやすくなり、営業の質も一定に保ちやすくなります。
BtoBデジタルマーケティングの主な施策・手法
BtoB向けのデジタルマーケティングの施策・手法には多岐にわたりますが、その中でも特に活用されているのは、以下の種類です。
- SEO対策
- オウンドメディア
- SNS運用
- Web広告
- ホワイトペーパー
- メールマガジン
- オンラインセミナー
- マーケティングオートメーション(MA)の活用
SEO対策
SEO(検索エンジン最適化)対策とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで自社サイトやWebコンテンツを上位に表示させるための施策を指します。多くのユーザーは、検索結果の1ページ目から目的に合ったサイトを選び、クリックして情報を得ようとします。
そのため、検索結果で上位表示を獲得することは、自社サイトやLPへの流入数を増やし、見込み客の獲得にも大きく貢献します。特にBtoBビジネスでは、導入を検討している担当者がWeb検索で情報収集を行うケースが多く、SEO対策は非常に重要です。
しかし、近年ではChatGPTやPerplexityなどのAI検索ツールの普及が進んでおり、今後はWeb検索からAI検索への移行が進むと予想されます。とはいえ、現時点ではSEO対策の重要性が薄れるわけではなく、引き続き主要な施策として取り組む必要があります。
今後は従来の検索エンジン対策に加えて、AI検索で取り上げられるコンテンツ構成や信頼性の高い情報発信にも注力していくことが、デジタルマーケティングの新たな成功要因となるでしょう。
オウンドメディア
オウンドメディアは、自社が運営するすべてのメディアプラットフォームを指す言葉ですが、一般的には自社が運営するブログや記事コンテンツなどを指す場合が多いです。オウンドメディアで有益なコンテンツを継続的に投稿していけば、SEO対策にもつながりやすく、見込み客の獲得も可能です。
ターゲットの顧客層に対して価値を提供することで関心を引きつつ、自社ブランドのイメージを市場に浸透させることもできます。また、キーワードや運用方法を変えることで、潜在層へのアプローチにもつながります。
SNS運用
SNS運用は、XやInstagram、Facebook、LINEなどのSNSに自社アカウントを作成し、情報を発信していく手法です。拡散性の高いSNSは話題が集まるとフォロワー以外の人にもその投稿を閲覧してもらえる可能性が高まります。
これまで自社について知らなかった人も、SNSを通して自社サイトにアクセスしてくれたり、投稿から資料のダウンロードや問い合わせを促して見込み客を獲得したりすることも可能です。また、フォロワーに向けて継続的に情報発信を行っていけば、見込み客の育成にもつながります。
SNS運用やマーケティング手法については以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
Web広告
Web広告は、Webサイトや検索結果ページ、SNSなどインターネット上に表示される広告を指します。Web広告をクリックすると自社サイトやLPにアクセスできるため、見込み客の獲得も可能です。
Web広告にもさまざまな種類があり、目的やターゲットに合わせて最適な広告を選択できます。また、マスメディアの広告に比べて手軽に取り組みやすく、コストを抑えやすいという点もメリットと言えます。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、ビジネスや各業界に関連する有益な情報をまとめた資料です。ホワイトペーパーは基本的に無料で配布することになりますが、ダウンロードをする際に企業名や連絡先などを入力するフォームを設定しているため、見込み客に関する情報を獲得できます。その情報をもとに、それぞれの企業に向けたアプローチを行うことも可能です。
さらに、ホワイトペーパーから有益な情報が提供されることで、見込み客の購買意欲をかき立てたり、信頼性を向上させたりすることもできます。
メールマガジン
メールマガジンは、定期的に発行するメールです。Webサイトなどに登録フォームを設置し、興味を持った人に氏名やメールアドレスを入力してもらうことで、メールを受け取れるようになります。会員登録時に入力した情報を活用してメールマガジンを送ることも可能です。
メールマガジンは見込み客の獲得にも活用できますが、育成面でも力を発揮します。タイミングごとに最適な内容のメールマガジンを送ることで関係性を深めることができ、商談につなげていきます。
オンラインセミナー
オンラインセミナーは、インターネット上でセミナーを開催し、見込み客の獲得と育成を行える手法です。特に育成で活用されやすく、商品・サービスについて比較検討している段階の顧客だけでなく、まだ情報収集の段階にある顧客層に向けてアプローチすることもできます。
本来セミナーはオフライン環境で行われていましたが、顧客はセミナーが開かれる場所まで足を運ぶ必要があり、遠方にいる場合は参加したくてもしにくい状況でした。しかし、オンラインセミナーなら場所に捉われず、多くの見込み客の獲得と育成に効果が期待できます。
マーケティングオートメーション(MA)の活用
マーケティングオートメーションは、マーケティング活動と見込み客の管理から育成までを自動化させる手法です。MAツールを活用すれば見込み客の行動をスコアリングすることもでき、行動データも蓄積されるため、現在どのような問題を抱えているのか、どんなニーズがあるのかなども分析できます。
分析したデータに基づいてパーソナライズ化したコンテンツを提供すれば、見込み客との関係性をさらに深められるでしょう。
BtoBデジタルマーケティングを導入するステップ
実際にBtoBデジタルマーケティングを導入するためには、どのような流れで進めれば良いのでしょうか?ここからは、導入するためのステップをご紹介します。
目的と目標を明確にする
最初に目的と目標を明確にするところから始めます。目的と目標が曖昧なまま施策に取り組んでも、途中で「なぜやっているのか」「どうなれば成功と言えるのか」が不透明になり、施策に関わる従業員のモチベーションも低下しやすくなります。
例えば商品やサービスの売上向上を目的にする場合、具体的な数字を使って目標値を設定していきます。目標を設定することで、最適なマーケティング手法を選択することも可能です。
ペルソナを設定する
目的や目標が決まったら、次にペルソナを設定します。BtoBの場合は企業やその担当者を設定することになります。例えば担当者が在籍する部署や役職、年齢、家族構成、情報収集の方法など、細かく属性を考えていきます。
細かく属性を設定した方が、そのターゲットに向けて照準が定まりやすくなり、ピンポイントでアプローチすることも可能です。
カスタマージャーニーを設計する
カスタマージャーニーは、顧客が自社の商品・サービスを知ってから実際に購入や契約に至るまでの心理と行動を可視化したものです。特にBtoBは担当者個人だけでなく上司や経営層などの関係者も携わることから、購買プロセスが複雑化しやすい傾向にあります。
しかし、カスタマージャーニーを設計することによって、担当者が現在どの立ち位置にいるのか、フェーズごとにどんな心理状況なのかを把握できます。また、カスタマージャーニーによって可視化されることで、顧客に対する情報を社内で共有することも可能です。
カスタマージャーニーについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
施策・手段を選定する
カスタマージャーニーが設計できたら、次に顧客情報や行動データなどをもとに、どのような施策・手段を取ると効果的なのかを考えます。上記でもご紹介したように、デジタルマーケティングの施策・手法は多岐にわたり、それぞれ目的や効果なども異なることから、自社に適した施策・手法を選定する必要があります。
施策・手法を選定したら、施策ごとに細かく目標値も設定しておきましょう。
Webサイトやコンテンツを整備する
施策・手法を選定したら、Webサイトやコンテンツの整備を行います。例えばWeb広告を出稿したとしても、広告をクリックした先の自社サイトが見にくかったり、わかりづらかったりすると、興味・関心が薄れてしまいそのまま離脱する可能性が高いです。
このような事態を避けるためにも、Webサイトやコンテンツを整備し、ユーザーにとって見やすくわかりやすいサイトづくりを目指す必要があります。
実行し、定期的に効果測定と改善を行う
Webサイトやコンテンツを整備して準備が整ったら、いよいよ施策・手法を実行に移します。一定期間実行してみて、どれくらいの成果があったのかを定期的に確認します。効果を測定・分析し、そこで出た課題に対する改善策を実行していきます。このようにPDCAサイクルを継続的に回すことで、施策の精度をより高めていくことができます。
まとめ:BtoBデジタルマーケティングなら弊社におまかせ
今回は、BtoB向けのデジタルマーケティングについてご紹介してきました。デジタル技術が発展した昨今において、従来のマーケティング活動だけでなくデジタルマーケティングも取り入れることで、営業効率の向上や顧客との継続的な関係構築などが期待できます。
しかし、具体的に施策が自社に適しているのか、どのようにすればより効果的に運用できるのか悩んでいる方も多いでしょう。そのようなお悩みを抱えている方は、「ビジネスプロデュース支援」をぜひ活用してみてください。
ビジネスプロデュース支援では、OMOビジネスからCRMファンマーケティングなど、あらゆるソリューションを活用してお客様の課題解決を目指します。コミュニケーションデザインの戦略立案からオンライン・オフライン双方を活かした施策の企画・実行まで、総合的にサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
