【無料テンプレあり】初めてのアプリ企画の進め方~カスタマージャーニーの作り方~ #やさしいアプリ企画
この「#やさしいアプリ企画」では、これからアプリを企画・開発する方に向けて、
「アイリッジが行っているアプリ企画支援サービスとはどんなものなのか」
「アプリ企画・開発とはどのように進めていくのか」
「まずは何をすればいいのか」
がわかるようなコンテンツをお届けしていきます。
前回のブログでは、アプリ制作を進める上で重要な「プロダクトコンセプト」の作り方をご紹介しました。
今回は、アプリ制作のプロフェッショナルであるビジネスパートナー部門統括・井上直人に、アプリ企画で欠かせない「カスタマージャーニーの作り方」を聞いてみました!
■本記事はこんな人におすすめ
- 自社アプリを開発したいが、何から始めればいいのかわからない方
- アプリ企画の具体的な流れが知りたいという方
- ユーザーのニーズがつかみきれないという方
認知から評価まで、ユーザーの行動を可視化するカスタマージャーニーマップ
―まずは井上さんの職種・役職と普段のお仕事について教えてください。
井上:営業本部にてスマホアプリの企画から開発、グロースまでの営業部門の統括をしています。
アイリッジではニトリ様、ファミリーマート様など小売企業のアプリプロジェクトを担当し、企画開発や取り組み拡大の継続支援などを行ってきました。
―では、さっそくですが「カスタマージャーニー」とはどんなものなのでしょうか?
井上:簡単にいうと「ユーザーが商品を購入に至るまでのプロセス」です。
ある商品やサービスに対して、ユーザーがどんな機会から認知して関心を抱き、購入し、評価するのか。この一連のプロセスを、カスタマージャーニーといいます。
そして、その内容を時系列にして可視化したものを、「カスタマージャーニーマップ」と呼んでいます。
―この「カスタマージャーニーマップ(※以降ジャーニーマップと記載)」を作成するメリットはなんですか?
井上:企業側がユーザーとのタッチポイント(接点)を見つけ、適切な方法、タイミングで情報を伝えられることですね。
以前は、テレビや新聞などの単一メディアから情報を得るユーザーが多かったので、ユーザーとのタッチポイントも画一的でした。
でも、現在はネットメディアやSNS、比較サイトなどによって、商品やサービスに関するユーザーからの評価や評判が瞬時に共有される時代です。
ユーザーの「顧客体験」が多様化するなか、商品購入や評価までにたどり着く経路を企業側が知り、適切なタッチポイントを作ることで、見込み客は顧客に、顧客は自社のコアなファンになってもらうように、働きかけることができます。
また、ジャーニーマップを通じて、ユーザーの悩みやニーズ、購入にいたるまでの過程を想定し、「どんな課題があるのか」「どんなことが障害になっているのか」を可視化し、マーケティング活動やアプリ制作に応用できるのもメリットですね。
なぜ、アプリ開発において、カスタマージャーニーマップが必要なのか
―ジャーニーマップは、アプリ開発においてどんな役割を持つのでしょうか?
井上:アプリ開発をする上で最大のメリットは、ユーザーの悩みやニーズを汲んだ「顧客目線」を持って、アプリを開発できることです。
顧客目線で考えることで、ユーザーと企業がアプリを通じてどんな接点を持てるのかを可視化し、接点を作るために必要な具体的な施策を検討できます。
―もし、ジャーニーマップを制作せずに、アプリを作るとどうなるのでしょうか?
井上:顧客視点がないと起こりがちなのが「機能先行」で、独りよがりなアプリになるリスクがあります。
企業側の作りたい機能や開発者側の視点からの要件ばかりを重視したアプリでは、ユーザーからすれば使いづらいですよね。
そうなると、せっかく作ったのに利用者が少ない、あるいは使われないアプリになってしまいます。
だからこそ、思いつきや主観ではなく、ユーザーの抱えるニーズや課題を洗い出していくことが重要なのです。
カスタマージャーニーマップはどうやって作ればいい?
―具体的にはどうやって作ればいいのでしょうか?
井上:まずは、ジャーニーマップの対象となる顧客像「ペルソナ」を設定しましょう。
自社の商品やサービスを利用するユーザーを想定し、年齢や性別、家族構成、職業といった属性や、趣味やライフスタイルへの価値観、悩み。
また、そこから浮かび上がってくる行動パターンを書き出していきましょう。
ペルソナはできるだけ、具体的に記載するのがおすすめです。
たとえば、「10代女性、大学生。洋服が好き」などというぼんやりしたものではなく、「大学に通う19歳女性。自宅から自転車で通学していて、通学途中のファミレスで週2回程度アルバイトをしている。
カフェ巡りが好きなため、バイト代は趣味に使いたいから洋服選びは慎重。
SNSはInstagram、LINE、TikTokを利用している」などと、細かく設定します。
アンケートデータなどを利用して、より現実的なペルソナの情報を取得するのも効果的です。
―ペルソナを設定した後は、どんな作業が必要でしょうか?
井上:ジャーニーマップのフレームを作成しましょう。
一般的なフレームとしては、縦軸はペルソナの行動や思考。
そして横軸は、ペルソナが商品やサービスを認知し、関心を持って比較検討し、購入し、どう評価するかまでの時系列でのフェーズが入ります。
自分でゼロから作るのが難しい……と感じた場合は、テンプレートを利用するのもおすすめです。
👉※無料ダウンロード可能! アイリッジが提供するカスタマージャーニーマップ テンプレート
- ユーザー行動(どのような行動をするか)
- タッチポイント(ユーザーが情報を得るチャンネルなど)
- 思考・感情(どう考え、どんな感想を示すかなど)
- ボトルネック(ユーザーが商品をリピートするまでに発生する懸念点など)
- 施策案(ボトルネックに対する対策法など)
- インサイト(ユーザーが置かれている背景や環境など)
- ユーザーシナリオ(ユーザーがサービスと出会い、どのようなゴールを達成するかの理想的なストーリーなど)……など
- 潜在ニーズ(潜在的な欲求があるものの、ユーザー自身にはまだ自覚がない場合)
- ニーズ顕在化(ユーザー自身が自分のニーズに気づいた場合)
- 情報収集(その商品やサービスの情報を手に入れた場合)
- 検討・相談・確認(その商品やサービスを購入するかどうかを検討している場合)
- 商品・サービス購入(その商品を購入する場合)
- 再購入(その商品を気に入り、再購入する場合)
- 評価・共有(その商品を評価し、誰かに共有する場合)
なお、フレームは、上記に縛られず、業界や業態、目的に応じて適宜アレンジして作成してください。
―まだジャーニーマップを作り慣れないとき、上手に作るコツはありますか?
井上:「無理しないこと」です。慣れないうちは、無理せず、項目を減らして、シンプルなものから作成してください。
その際、最低限必要な項目は「ユーザー行動」「タッチポイント」「思考・感情」の3項目です。この3項目の縦軸と、時系列のフェーズを辿る横軸から、ジャーニーマップを作成していきましょう。
ネットなどで検索すると、ビジュアル的にも美しいジャーニーマップが紹介されていることが多いのですが、見栄えは気にする必要はありません。
むしろ、中身を充実させてほしいと思います。
【参考:小売・流通(アパレル企業)のECアプリの場合のカスタマージャーニーマップ】
カスタマージャーニーマップは複数名、もしくはチームで作成しよう
―ジャーニーマップを作る際に注意するポイントはありますか?
井上:一人ではなく、複数人、もしくはチームで作成するのがポイントです。
できれば、そのサービスに携わる様々な部署から参加してもらえると、より多角的な視点でジャーニーマップを作成できます。
作成するときは行き当たりばったりに作るのではなく、事前にチーム内でサービスのプロダクトの対象や範囲といった前提条件をきちんと整理し、認識を共有しましょう。
「ターゲットは誰なのか」を明確にするため、ペルソナもこの時点で定義してください。
定義ができたら、ペルソナがどんなものを好み、どういう行動をとるのかを、アンケートやインタビューなどを通じて、データ収集やリサーチを行いましょう。
これらの前提条件が整ってから、いよいよジャーニーマップを作成してください。
途中で、各タッチポイントにおける課題が生まれたら、その課題解決に対するアイデア出しを行いましょう。
- サービスやプロダクトの対象や範囲といった「前提条件」を整理
- ペルソナを定義して、ターゲットが誰かを明確にする。
- インタビューやアンケートを通じて、ペルソナのデータ収集&リサーチ
- カスタマージャーニーマップの作成
- カスタマージャーニーマップから浮かび上がってきた、
各タッチポイントにおける現状課題整理 - 課題に対する改善アイデア出しを行う
カスタマージャーニーマップは、「作って終わり」ではない!
―ジャーニーマップを作った後は、どんな風に活用するべきですか?
井上:ジャーニーマップから浮かび上がってきた課題を抽出して、分析しましょう。
そして、「課題を解決するためにはどうしたらいいのか」という仮説を立てて、仮説をもとに施策を実施してください。
そして、仮説にギャップはないのかを検証し、もし問題があれば改善する……というPDCAサイクルを回していきましょう。
このサイクルを回し続けることで、ジャーニーマップを随時ブラッシュアップし、更新することができます。
ジャーニーマップは、「一度作って終わり」ではありません。
常に更新していくものだという共通認識を、ぜひチーム全体に共有してほしいと思います。
まとめ
- カスタマージャーニーマップは「顧客視点」で作成しよう
- より多面的な視点を取り入れるべく、複数名で作成を!
- 課題を分析して仮説を立てて実施後は必ず検証し、更新することが大事!
【テンプレートを無料ダウンロード!】
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【次回予告】
次回の「#やさしいアプリ企画」では、「アプリの必要機能の検討」をご紹介していきます!
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