アプリ決済ソリューションとのコラボで叶える、「.pay(ドットペイ)×FANSHIP」で目指す新しいデジタルマーケティングとは

2022年4月、東京都江東区にオープンした大規模商業施設「カメイドクロック」。

その公式アプリとしてアイリッジが開発支援を行った「カメクロアプリ」は、アプリ決済ソリューションである「.pay(ドットペイ)」とアイリッジが手を組んだ5つ目のアプリとなりました。

 

そこで、.payのサービスを提供する東急株式会社の松藤様と、アイリッジで9年間東急グループを担当し、.payの開発時にプロジェクト推進メンバーとして2年間の出向経験もあるテクノロジーパートナー本部ビジネスパートナー部 モビリティグループの吉岡に、これまでの歩みやこの先の展望などを伺ってみました。

(画像左から アイリッジ・吉岡、東急株式会社・松藤様)

 

アイリッジとのコラボレーションはすでに6例 アプリ決済ソリューション「.pay」とは? 

―まずは.payというサービスについて、簡単に教えてください。

松藤:「.pay」は、スマホ決済と販促機能をひとまとめにした、決済連動型の販促ソリューションです。

東急とNTTデータの事業共創により2018年4月から施設単位で実装可能な世界初のハウス型決済ソリューションとして事業を開始しました。

ワンアクションで処理できるQR決済機能、自社ポイント、クーポン機能を有し、1つの商業施設の単位でも実現ができる新しいデジタルマーケティングソリューションとして開発をしました。

 

吉岡:アイリッジでご一緒させていただいた案件で言うと、mozoワンダーシティ、京都ファミリー、川崎ルフロン、あびこショッピングプラザといった大型商業施設のアプリで導入していて、今年4月のカメイドクロックで5例目、その後渋谷スクランブルスクエアアプリにもFANSHIPを導入いただいたので、全6例になります。

 

―商業施設向けのソリューションということでしょうか。どういった経緯で開発されたのですか?

松藤:開発するにあたり、実際にシリコンバレーやサンフランシスコに渡り、日本より少し早くサービスを開始していたスマホ決済の事例を海外のスマホを片手に歩き回り、情報収集してきました。そして東急で実績のある商業施設の運営に当てはめて、日本版のそして、将来商業施設のためになるツールとして開発をしました。

 

吉岡:東急さんとは以前からアプリ開発案件を通したお付き合いがあり、そのご縁もあって.payについても実は、開発当初から立上げメンバーとして関わらせていただいていたんです。

立上げ当社は大変でしたが、先進的ことを一緒に関われたと感じております。世界初ということで特許も取られてましたよね。

 

松藤:はい。今でこそ当たり前ですが、当時は共感もされず大変だったことを覚えております。

 

商業施設でニーズがあった独自決済 .payとアイリッジが出会うきっかけとは

―以前からお付き合いがあったということですが、どんな案件か差支えなければ教えてください。

吉岡:2013年にリリースした東急線アプリですね。

当初は「のるレージ」というゲーミフィケーションの乗車サービスをWEBサービスとして提供をしておりましたが、2014年頃から現在のような運行情報や列車走行位置などの機能を持った鉄道アプリに発展しました。

のるレージサービスは松藤さんが手がけられたんですよね。

 

松藤:はい、思い返すといろいろとご縁がありますね。

一時期、アプリの話があれば全てアイリッジさんにご相談していたこともありましたね。

 

―なるほど。長くお付き合いいただいているんですね。そうすると、.payとアイリッジのFANSHIPが手を組むことになったのも、自然な流れということでしょうか。

吉岡:アイリッジにアプリ開発のご相談があった商業施設の運営企業から、施設アプリで決済ができるようにしたいというお話をいただいたんです。

アイリッジではアプリ内決済のシステムを持っていないので、いくつかの企業にご相談をしたのですが、どれも実現できない金額感だったので諦める寸前でした。

そんな中で東急の知り合いの方から、「アプリ内決済のソリューションの開発を計画しているので、一緒に開発をしませんか?」とまさかの逆オファー!こうして一緒に開発したのが東急さんの.payでした。

 

松藤:東急グループでも商業施設を展開していますので、商業施設の決済サービスにおいて何が求められているのか、何が課題なのかがよくわかります。

なので、最初にご相談いただいた時、これはお力になれる内容だと感じました。

おまけにアイリッジさんはアプリ開発に詳しく、FANSHIPというSDKを提供している会社なのでピッタリじゃないかと。

 

吉岡:これがきっかけで、今のmozoワンダーシティアプリが誕生したんです。

 

松藤:そうでしたね。2019年に.payをリリースしてから3年弱の期間で6例ですから、かなり濃いお付き合いになりました。

 

―これほど多くの商業施設で、アプリ内決済のサービスが求められたのはなぜだとお考えですか?

吉岡:アプリ決済がない時代、商業施設のアプリはWEBサイトと同じフロアマップやお知らせが表示されているだけの、中身のないアプリばかりでした。

だからダウンロードされても、来館時に起動すらされない死んでいるアプリだったと言えます。

 

松藤:販促に直結するアプリを創ることが大切なんだと考えております。

決済は必ず通る動作ですから、決済と連携するアプリは、販促アプリのコアアプリになりますよね。

.payは初期費用が不要でSDKを組み込むだけですから、導入のしやすさ、費用感から多くの商業施設に支持されたのだと思います。

その商業施設が創りたいアプリの世界観を壊さず、組み込むことができますから。

 

.pay×FANSHIP コラボレーションで何ができる?

―では、.payとFANSHIPの連携について教えていただけますか。

松藤:.payでは、年齢・性別などのユーザー属性情報を持っています。

もちろん利用許諾に同意いただいたアプリユーザーの前提となりますが、商業施設アプリの場合、アプリで決済をするとテナント別にいくらの買い物をしたかという情報を取得できます。

これらを掛け合わせたデータを商業施設が保有することができるようになります。

これによって、いつどんな属性の人がどのテナントでどのくらい買い物をしたかというデータの分析ができるようになっています。

 

吉岡:FANSHIP側ではpopinfoIDでアプリユーザーのアプリ内行動データを保有しています。

これを.payと連携させることで、施設での買い物というオフライン行動と、アプリの利用状況というオンライン行動を結び付けることができるんです。

 

松藤:施設内での買い物状況をトリガーとしたアプリからの働きかけができるというのが、この連携の一番の肝だと思います。

 

―具体的にどんな施策が考えられますか?

松藤:例えば、以前に利用したテナントの新着情報をプッシュ通知で配信したり、一定金額以上の買い物をした方に特別クーポンを配布したりですね。

当たり前のように感じますが、実はこれを通常の販促としてやるのはかなりの手間がかかるので、連携にはそこを簡略化して売上をダイレクトあげることに拘ってます。

 

吉岡:商業施設での買い回りキャンペーンにも活用できます。

従来紙のカードで運用していた部分をアプリにできるので、スタッフの工数削減にも繋がります。

 

松藤:利用ポイントがもうすぐ失効しますよ、という通知の配信なんかもできますね。

ただの広告をプッシュ通知で送っても効果は薄いんですが、こういった自分と関係ある通知だと開封率が高くなるんです。

 

吉岡:オフラインでの行動をもとにしたプッシュ通知だと、自然とユーザーにとって自分に関係のある内容になっていきますよね。

他にも、会員ランクを設けているような商業施設で、ランク更新の締め日前に「あと〇〇円でランクアップします」というようなプッシュ通知を送ったりしています。

これは実際にランクアップを意識したお買い物が増加していて、オフラインの行動をもとにオンラインで働きかけをし、オフラインの行動を促すといういい循環ができています。

 

―工夫次第でさまざまな使い方ができそうですね。今後の展開として、どんなことを考えていらっしゃいますか?

松藤:これまで複数の商業施設で利用いただいたことで、経験値を蓄積できたので、新たな可能性も見えてきました。

それらを他の商業施設にもフィードバックして、アプリ決済を通じた新しい形のデジタルマーケティングのご支援ができると思っています。

 

吉岡:同感です。

.payとFANSHIPの連携で何ができるのか、最初は手探りの部分もありましたが、当初考えていたより色々な応用が可能なんだなと感じています。

商業施設によって客層も利用シーンもエリアも異なるので、現場からあがってくる様々な改善要望に対応していくことで連携機能も醸成されてきました。

 

松藤:本当にそうですね。

ここまで一緒に取り組ませていただいてありがたく思っています。

この経験を活かして、商業施設以外でも導入していただけるよう働きかけていきたいです。

アプリでのオリジナルの決済機能を求められている企業はまだまだあるんじゃないかと感じています。

 

吉岡:本当にそう思います。

paypayの効果でアプリでの非接触決済が全国区になりましたからね。

将来的には商業施設だけでなく、商店街や個店など店舗がある業態では一般的な決済方法になっているかもしれませんね。

.payとFANSHIPとの連携があることで新しい決済体験と的確なマーケティングが行えるので、これからも一緒にアプリ決済領域を開拓していきましょう。

 

―ありがとうございました!

 

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