コンテンツマーケティングとは?活用するメリットや導入・実施までの流れを徹底解説
近年、消費者の購買行動は大きく変化し、従来の広告だけでは企業の商品やサービスの魅力を伝えることが難しくなってきました。そんな中で注目を集めているのが「コンテンツマーケティング」です。これは、ユーザーにとって価値のある情報を発信し、信頼関係を築いた上で商品やサービスの購入へとつなげるマーケティング手法になります。
今回は、コンテンツマーケティングの基本から、導入・実施の具体的なステップ、活用することで得られるメリットまでをわかりやすく解説します。初めて取り組む方でも実践できるよう、順を追ってご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、ターゲットとなるユーザーに対して有益な情報を提供し、最終的には自社の商品・サービスを購入してもらうマーケティング手法を指します。
一般的に広告は「買ってください」と訴求するものであり、購入してもらうために商品・サービスの良さや魅力を中心に紹介していきます。
一方、コンテンツマーケティングは自社の商品・サービスに関連するものの、有益な情報を提供してユーザーの課題・問題点を解決することが目的です。そのコンテンツを見ただけで自社の商品・サービスを購入しなかったとしても、継続して情報を与えることでユーザーと信頼関係を築けるようになり、購買意欲の向上が期待できます。
コンテンツマーケティングは集客から育成、CRMまで、それぞれのタイミングでニーズに合ったコンテンツと情報を提供できれば、大きな効果を発揮できます。
コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違いは?
コンテンツマーケティングと似た言葉として「コンテンツSEO」があります。コンテンツSEOとは、検索ニーズに合わせて有益な情報・コンテンツを充実させていき、検索流入数を増加させる方法です。検索エンジンに最適化したコンテンツの作成を重視しており、検索順位の上位表示を目指しています。
一方、コンテンツマーケティングは情報収集や販売促進などから成果を引き出すことが目的です。検索エンジンの自然検索からSNS、広告、メールマガジンまで、その種類は多岐にわたります。つまり、コンテンツSEOは商品の売り込みではない有益な情報を提供する、コンテンツマーケティングの一種であるといえます。
コンテンツマーケティングが注目されている背景
コンテンツマーケティングが注目されている背景として、以下の3点が挙げられます。
- アドブロック・広告疲れによって広告の効果が低下している
- SNSの台頭によって情報収集の多様化が促進している
- 購買行動の変化によってプル型マーケティングの重要性が増している
それぞれの背景について詳しく解説します。
アドブロック・広告疲れによって広告の効果が低下している
インターネットやスマホの普及により、消費者の購買行動が変化しています。これまではマスメディアの広告を目にする機会が多かったものの、現在はWeb広告を利用した方が効果を発揮する場面も増えてきました。
しかし、インターネットに触れる機会が増えたことでWeb広告を見る機会も増えた消費者は、アドブロック(広告を非表示にする技術)サービスの活用や、広告疲れを起こす人も増えています。この影響でユーザーの広告離れが進んでおり、広告の効果が低下しているのです。
その一方で、ユーザーに有益な情報を提供するコンテンツマーケティングは、広告感がないためユーザーにも受け入れてもらいやすい傾向にあります。
SNSの台頭によって情報収集の多様化が促進している
インターネットやスマホの普及に加え、今では多くの人がSNSを活用するようになりました。このSNSの台頭により、商品やサービスの検討段階においてSNSから情報を収集し、本当に自分に合っているのかを見極める消費行動が増えています。
この新しい消費行動に対して、Googleは「ZMOT(ジーモット)」と名付けました。具体的には、消費者は店舗を訪れる前からネットによる情報収集により、買うものが決まっているという理論です。ZMOTはマスメディアの広告はあくまで商品・サービスを知るきっかけにしかならず、購入するかどうかを決めるものではないとしています。
消費者は検索エンジンを活用するだけでなく、SNSなども活用して情報を集めるため、情報収集の多様化が進んでいるといえます。そんな中で自社と消費者の接点を増やすために、各チャネルで有益な情報を届けるコンテンツマーケティングが注目されているのです。
購買行動の変化によってプル型マーケティングの重要性が増している
消費者の購買行動が変化を遂げている中で、アプローチの仕方も変化しています。例えばこれまでは企業が見込み客に対して積極的にアプローチをかける「プッシュ型」が主流でした。しかし、プッシュ型は顧客と一方通行でしかコミュニケーションを取れなかったり、マーケティングにおける効率性が低かったりする特徴が見られます。
一方で、近年は「プル型マーケティング」の重要性が高まっています。プル型は、見込み客に自社の商品・サービスを無意識に、能動的に伝えるアプローチ手法です。購入するか検討するための情報を与えるだけで、積極的に売り込むようなことはしません。
広告というだけでスルーされるようになってしまった今だからこそ、無理に売り込もうとしないプル型マーケティングを採用した方が、商品・サービスの購買意欲向上につながるといえるでしょう。
コンテンツマーケティングの主な種類
コンテンツマーケティングといってもその種類は多岐にわたります。ここでは、各種類の特徴を紹介します。
ブログ・オウンドメディア
ブログ・オウンドメディアは、コンテンツマーケティングの中でも定番になっている方法です。自社サイトや別のメディアサイトを運営し、有益な情報が記載された記事を投稿していきます。
ブログ・オウンドメディアを活用するメリットとして、自社サイトの集客数に貢献できることと、広告費を抑えられる点が挙げられます。自社サイトにコンテンツページをつくり、そこに記事を投稿していくことで、サイトへの流入数が上がる可能性もあります。また、継続して広告費が必要となるWeb広告に比べて、一度制作したコンテンツはそのまま集客効果を発揮し続けるため、広告費の削減効果が期待できるでしょう。
オウンドメディアについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
SNSマーケティング
SNSマーケティングとコンテンツマーケティングの両方を組み合わせて活用する方法もあります。いくら有益な情報を発信したとしても、ユーザーの元まで届きません。しかし、SNSと組み合わせればコンテンツが拡散され、多くの人に有益な情報を伝えたり、消費者と双方でコミュニケーションを取ったりすることができます。
SNSマーケティングを活用するなら、コンテンツにSNSのシェアボタンを設置して、読んだユーザーがSNSから情報を拡散できるようにするのがおすすめです。また、SNSに自社のアカウントを作成し、SNSで直接有益な情報を発信していく方法もあります。それぞれのSNSで利用者の層や特徴が異なるため、各SNSの特性に合わせて使い分けることも検討してみましょう。
SNSマーケティングについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
動画マーケティング
コンテンツというと記事などのテキストを思い浮かべる人が多いですが、近年は動画を活用した方法も注目されています。動画の中でも特にショート動画は、長くても1分程度の動画なので、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する人から好まれる傾向にあります。
動画を活用するメリットには、視覚的な訴求力が高く、商品・サービスの特徴を伝える際に理解してもらいやすいという点が挙げられます。また、動画もSNSでの拡散性が高く、エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。ただし、動画にはある程度のクオリティが求められ、質の高い動画をつくろうとすると時間とコストがかかってしまいます。
メールマーケティング
メールマーケティングは、企業が保有する顧客リストに対して一斉にメールを配信する手法です。見込み客に対して興味・関心があると考えられる情報をメールで送信します。
メールを送信するだけなので費用を比較的安く抑えられる点や、MAツールなどを活用すれば自動化・効率化できる点、顧客に届けるまでの過程から送信する内容まで企業側の自由度が高い点などがメリットです。見込み客に直接アピールをしつつ、コストを抑えながら利益につなげたい場合にメールマーケティングが適しています。
ただし、顧客に対してあまりメリットが期待できないメールを何度も送信してしまうと、配信を停止されてしまう可能性があります。継続して配信することが大切ですが、頻度が高くなりすぎないように注意しましょう。
ホワイトペーパー
ウェビナー(Webセミナー)は、企業が商品・サービスの販促を目的としつつ、その領域に関するノウハウや事例などを紹介することを指します。本来セミナーは現地に行かないと参加できないものですが、ウェビナーはオンライン上で開催されるため、場所を問わずテーマに対して興味・関心を持つユーザーが集まりやすくなりました。
企業はウェビナーを開催することにより、参加者と直接コミュニケーションを取ることができます。業界の最新トレンドを共有しつつ自社のノウハウを提供していけば、専門性の高さをアピールでき、結果として自社商品やサービスの購入につながる可能性があります。
また、ウェビナーで活用した動画や資料は、別のコンテンツマーケティングの手法に活用することも可能です。例えば2時間の配信映像を編集し、切り抜き動画として投稿したり、ウェビナーで使ったスライドをホワイトペーパーに活用したりできます。
ウェビナー(Webセミナー)
ウェビナー(Webセミナー)は、企業が商品・サービスの販促を目的としつつ、その領域に関するノウハウや事例などを紹介することを指します。本来セミナーは現地に行かないと参加できないものですが、ウェビナーはオンライン上で開催されるため、場所を問わずテーマに対して興味・関心を持つユーザーが集まりやすくなりました。
企業はウェビナーを開催することにより、参加者と直接コミュニケーションを取ることができます。業界の最新トレンドを共有しつつ自社のノウハウを提供していけば、専門性の高さをアピールでき、結果として自社商品やサービスの購入につながる可能性があります。
また、ウェビナーで活用した動画や資料は、別のコンテンツマーケティングの手法に活用することも可能です。例えば2時間の配信映像を編集し、切り抜き動画として投稿したり、ウェビナーで使ったスライドをホワイトペーパーに活用したりできます。
ウェビナーについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
ポッドキャスト
ポッドキャストとは、元々iPodで配信されていたラジオ放送を指す言葉で、現在はオンライン上で配信されている音声コンテンツ全般を指す言葉として活用されています。音声コンテンツを配信するサービスは多岐にわたっており、幅広いジャンルの番組が制作されています。
コンテンツマーケティングとしてポッドキャストを活用した場合、ブランドの認知拡大・ブランディング効果などが期待できます。また、音声コンテンツは動画を制作するよりもコストが抑えられ、スマホ1台と録音・編集アプリさえあれば誰でも簡単につくれるのも魅力です。
配信を聞いているリスナーに対して有益な情報を届けられるだけでなく、例えば商品づくりへの想いや考え方、人となりなども届けることができます。また、他のメディア媒体との相性も良く、うまく組み合わせることでより多くの人に有益な情報を届けられるようになるでしょう。
プレスリリース
プレスリリースとは、企業が経営・事業に関する情報や、新しい商品・サービスの情報を関係者に知らせることを目的とした配信を指します。プレスリリースは自社サイトから配信するだけでなく、プレスリリースを配信するメディアサイトに依頼し、投稿してもらうことも可能です。
そもそもコンテンツマーケティングはすでに興味・関心がある人は検索などで確認できるものの、興味を持っていない人からは見てもらえないというデメリットがあります。特に自社の事業内容がニッチなものだと、その傾向は高まってしまいます。しかし、プレスリリースを配信してSNSで拡散されれば、興味・関心を持たない層にも知ってもらうことができます。
コンテンツマーケティングを実施するメリット
コンテンツマーケティングを取り入れることで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?ここからは、8個のメリットについて紹介します。
広告費を抑えながら効果的な集客ができる
一番のメリットとして、広告費を抑えつつ効果的な集客につながる点が挙げられます。コンテンツを制作したり、サイトやアカウントを運用したりするのにある程度のコストは必要です。しかし、長期的な目線で比較してみると、広告を打つよりもコンテンツを制作した方が安く抑えられる場合があります。
例えばWeb広告や従来のマスメディア広告は、露出期間があらかじめ決まっており、広告を掲載している期間はある程度の集客効果が見込まれます。しかし、露出期間が終わってしまえば話題になることも減り、別の商品・サービスなどに注目が集まってしまうでしょう。
一方、コンテンツマーケティングは費用を抑えられるからといって効果まで落ちるわけではありません。ターゲット層が抱える課題やニーズにも適切に応えられるため、集客効果は高いといえます。
見込み客の獲得(リードジェネレーション)がしやすい
目的やニーズが明確になっている顕在顧客に加え、見込み客の獲得がしやすいのもコンテンツマーケティングのメリットといえます。見込み客は特に関連性がないキーワードで検索し、偶然サイトに辿り着いた人に対しても、有益な情報を発信することで興味・関心を持たせることが可能です。
例えば、PCを販売するメーカーがオウンドメディアを活用し、PCで起こりやすいトラブルへの対処法や基本的な使い方、ちょっとした裏技・コツなど、PCに関する役立つ情報を提供し続けたとします。すると、元々PCを持っているものの、買い替えるつもりはないユーザーにもアプローチをかけることができ、何度もメディアを見てもらうことでメーカーの名前や商品などを目にするようになるでしょう。そして、いざ買い替えようと考えた際に、候補として自社の商品が上がってくる可能性が高まるのです。
購買・コンバージョン(CV)率が向上する
コンテンツマーケティングはただ集客するだけでなく、購買や問い合わせといったコンバージョン(CV)につながる行動を促進する効果も期待できます。なぜなら、ユーザーの関心や悩みに寄り添った情報を提供することで、企業とユーザーの間に信頼関係を醸成できるためです。信頼を獲得したユーザーは自らの意思で商品・サービスについて調べ、納得した上で購入や申し込みをしやすくなります。
また、コンテンツの中で商品・サービスの価値や具体的に利用する場面などを伝えることで、購買意欲を高めることもできます。無理に売り込むような表現は避けつつも、自然な流れで商品・サービスを紹介することがポイントになります。
ブランドの認知度・信頼性が向上する
企業やサービスの認知度を高めるだけでなく、ブランドへの信頼感を築くのに有効な手段でもあります。ユーザーにとって有益な情報を継続的に発信していけば、「この企業は業界についてよく知っている」「困ったらあの企業のサイトを確認しよう」などの印象を与えることも可能です。
特に課題解決を目的とした記事や、専門的な知見を含むコラムは、読者から共感や信頼を得やすく、企業の専門性の高さを自然な形でアプローチできます。一度でも良い印象を持ってくれたユーザーは、すぐに購買にはつながらなかったとしても、将来必要となった際に良い印象の記憶から、選択肢の1つとして候補に上がりやすくなるでしょう。
顧客のエンゲージメントを高められる
顧客のエンゲージメントとは、企業と顧客間に生まれる信頼性や親密な関係性を築いていくことを指します。コンテンツやSNSなどを通して顧客と直接交流できれば、顧客一人ひとりの好みや興味・関心に基づいてマーケティングを行えるようになり、信頼性が高まります。
顧客のエンゲージメントが高まると、「またここのサービスを利用しよう」「リピートで購入しよう」という気持ちになりやすく、継続的に購入・利用してもらえる可能性が高いです。また、顧客は良かった商品・サービスに対して自主的にポジティブな口コミを発信してくれる場合もあり、その口コミを見た人が新規顧客になってくれるケースもあります。
購買後のロイヤルティ向上・リピーター獲得につながる
コンテンツマーケティングによって購買後のロイヤルティ向上やリピーター獲得につながる点もメリットです。顧客ロイヤルティとは、企業やブランドに対して顧客が抱く「愛着」を示したものです。顧客エンゲージメントにも似ていますが、エンゲージメントは顧客の行動に対して焦点が当たっている指標であり、顧客ロイヤルティは顧客が持つ感情に対して焦点が当たっています。
顧客が企業やブランドに対して愛着を持つと、継続して自社の商品・サービスを使ってくれるだけでなく、周りの人におすすめとして紹介してくれる可能性が高まります。また、ロイヤルティが向上すれば顧客単価の増加も期待でき、1回あたりの購買金額が増えることも考えられるでしょう。
SNS・バイラル効果で拡散されやすい
コンテンツマーケティングはSNSとの相性が良く、バイラル効果によって拡散されやすい傾向にあります。例えば多くの人が知らなかった専門的な情報をわかりやすい内容でSNSから発信した場合、有益だと感じたユーザーによって広く拡散されていきます。質の高いコンテンツは特に拡散されやすく、自然と集客にもつながるでしょう。
また、SNSとバイラル効果によって多くの人から認知されるようになると、その分ユーザーとの接点も増えるようになります。SNSから直接コミュニケーションが取れれば、企業やブランドに対して良い印象を持ってもらえる可能性が高いです。「UGC」と呼ばれるユーザーがつくったコンテンツも生まれやすくなり、より多くの人に商品・サービス・ブランドを知ってもらえるでしょう。
h3:社内のマーケティングにおける資産になる
一度作成したコンテンツに関しては、広告と違って半永久的に残すことができ、さらに効果も持続するため、会社の資産にすることもできます。特にSEO記事に関しては検索結果で上位表示され続けることもあり、定期的に見込み客とつながれる可能性があります。
質の高いコンテンツを再利用すれば、メルマガやホワイトペーパーなど他のマーケティング手法にも活用できます。コンテンツそのものを再利用することも可能ですが、フォーマットを活用すれば新たにコンテンツを作成する際の効率化にもつながります。さらなる効果を狙いたい場合にもおすすめです。
コンテンツマーケティングを実施するデメリット
コンテンツマーケティングを実施することでさまざまなメリットが得られますが、一方でデメリットになってしまう部分もあります。具体的にどのようなデメリットがあるのか、解説していきます。
成果が出るまでに時間がかかる
1つ目のデメリットとして、成果が出るまでに時間がかかってしまう点が挙げられます。例えばオウンドメディアを立ち上げてコンテンツの作成・投稿を行ったとしても、すぐに検索エンジンから評価をもらって検索順位の上位表示につながるわけではありません。検索エンジンから評価してもらうまでに時間がかかり、さらに実際に商品・サービスが売れるまでユーザーの購買意欲を高める時間も必要です。
このように、基本的にコンテンツマーケティングは短期的に取り組むものではなく、長期的に取り組まないといけないものです。なかなか成果が出ないからといって早めに諦めてしまうと、成果が出る前に終わってしまう可能性が高いので注意してください。
継続的なコンテンツ制作が必要
コンテンツマーケティングは顕在層だけでなく潜在層にもアプローチができますが、アプローチできたとしてもすぐに購入してもらえるわけではありません。そのため、継続的に顧客と接点を持ち、購買意欲を高めていくためにも継続的にコンテンツ制作が必要となってきます。
しかし、継続して制作をしたくてもその分リソースが割かれることになるでしょう。また、新規のコンテンツを作成するだけでなく古い情報を新しい情報に更新していく作業も必要であり、継続的な調整が必要不可欠です。
競合が増えているため差別化が難しい
従来のマスメディアを使った広告から、コンテンツマーケティングによる長期的な施策を打つ企業も増えています。その結果、多くの企業がさまざまなコンテンツを提供することで、同業他社だと特に差別化を図るのが難しい状況です。
また、競合が増えたことで十分に掘り下げられていない、薄い情報を発信したとしても他社と似たようなコンテンツに留まってしまい、独自性を出すのが難しくなっています。差別化を図るためには、他社には真似できない独自の強みを活かしたコンテンツや、思いがけない新しい視点からコンテンツを提供してみましょう。
コンテンツの質を維持するのが大変
オウンドメディアや自社サイトのコラム記事としてコンテンツを投稿する場合、たくさんの記事を制作するよりもある程度の質を確保し、維持することが重要となってきます。なぜなら、Googleは記事を評価する際に「量」よりも「質」を重視すると発表しているためです。
ただし、コンテンツの質を維持するのはとても大変で、その分リソースを割く必要がありますし、属人化しやすい傾向にあるので注意が必要です。
SEOやSNSのアルゴリズム変更の影響を受けやすい
コンテンツマーケティングはSEOやSNSのアルゴリズムが変更されると、その影響を受けやすいというデメリットもあります。検索エンジンやSNSでは定期的にアップデートが行われており、評価の基準などが変わってしまうことも考えられます。評価の基準が変わってしまうとせっかく検索結果の上位に表示されても、また2ページ目以降に下がってしまうかもしれません。
そのため、検索エンジンやSNSの公式からアルゴリズムの変更が発表されたら、すでに投稿されているコンテンツを見直し、最新のアルゴリズムに基づいたものに修正・改善していくことが大切です。
ROI(投資対効果)の測定が難しい
ROI(投資対効果)は、企画に投じた費用に対してどれくらいの利益を上げることができたのかを示すための指標です。ROIが高ければ投資効率が高いと判断でき、事業を続けるべきか否かを判断しやすくなります。
ROIは事業投資の評価として活用される指標ですが、短期的な効果を見るものであり、長期的な施策を分析するのは難しいとされています。また、売上や設備投資費など数値化したものしか評価できないため、例えば顧客からの認知度や評価などをROIから判断することはできません。
ROIについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
炎上や誤情報といったリスクがある
コンテンツマーケティングは提供する情報の中身や表現方法によっては、炎上につながるリスクがあります。炎上した場合は迅速かつ誠実な対応が必要であり、事業活動にも大きな影響を与えてしまう可能性が高いです。正しい対応によってすぐに鎮静化できたとしても、デジタルタトゥーとして残り続ける場合もあります。
また、専門的な情報を取り扱うコンテンツで誤った情報を提供してしまうと、企業としての信頼性が失われてしまうリスクもあるでしょう。特にSNSで誤情報を発信してしまうと、そのまま一気に拡散されてしまい、収拾がつけられない状況に追い込まれる可能性もあります。
コンテンツマーケティングの導入・実施する際の手順
実践するにあたって、どのような流れで、何を行えばよいのかを事前に知っておくことも大切です。ここでは、コンテンツマーケティングを導入・実施する際の手順について解説します。
①コンテンツマーケティングを導入する目的を明確にする
施策に入る前に、まずは導入する目的を明確にしておく必要があります。目的が曖昧なままになってしまうと、施策を進めていく中でブレてしまい、うまく効果が発揮されない可能性もあるため、最初に目的を明確にしておきましょう。
コンテンツマーケティングにおける主な目的は以下のとおりです。
- 潜在顧客との接点をつくり、新規顧客を獲得する
- ブランドの認知度を高める
- 見込み顧客を育成(リードナーチャリング)する
- 顧客のロイヤルティを強化してファンを増やす
- 購買意欲を醸成して収益を向上させる
- 採用活動で活用する
②カスタマージャーニーマップやKPIを設定する
次に、カスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーマップはユーザーが自社の商品・サービスを認知してから興味・関心を持ち、最終的に購入・利用に至るまでのプロセスを表したものです。カスタマージャーニーマップによって顧客の行動・感情を時間軸で捉えることができ、それぞれのフェーズにおいて課題やニーズを見つけることができます。この情報に基づき、どのタイミングで価値の高いコンテンツを提供するか見極めることも可能です。
さらに、KPIの設定も行います。KPIは施策を成功につなげるための重要な目標であり、具体的な数値目標などを設定することで客観的に評価できます。この評価から方向性や施策内容などを修正していき、最終的なゴールを目指すのです。
カスタマージャーニーについては以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
③ペルソナやカスタマージャーニーマップを設定する
施策を進めるうえでペルソナを設定しておくことも大切です。ペルソナはターゲットをより詳しく明確化したもので、年齢や性別、住所、職種などに加えて、家族構成や趣味、ライフスタイル、悩み、興味・関心のあることなどを設定します。ターゲット像がペルソナによって具体的になれば、そのユーザーに適したコンテンツを制作できるようになります。また、チームで取り組む際にも共通認識として理解でき、コンテンツの方向性もブレにくくなります。
ペルソナに関してはカスタマージャーニーマップの中でも重要な要素であり、ペルソナの感情や行動を予測して設定することになります。
④コンテンツ戦略を策定する
カスタマージャーニーマップが完成したら、コンテンツ戦略を策定していきます。策定する内容としては、例えばさまざまな手法の中でどの媒体から配信するのか、コンテンツ作成に自社からどれくらいのリソースを割くのかなどを決めます。特にリソースが限られている中小企業の場合は体制を整えておかないと、コア事業が多忙になったタイミングで運用の継続が難しくなる可能性があります。
媒体が決まり、制作体制まで整えることができたら、計画表も作成していきます。あらかじめスケジュールを決めておくことで、他部署に協力してもらう際に、公開に合わせて依頼することも可能です。
⑤コンテンツを作成する
体制が構築され、計画表まで作成できたら、その計画表に従ってコンテンツを作成していきます。コンテンツを作成する際には、発信する媒体に合わせた内容や表現方法を採用することが大切です。
質の高いコンテンツを作成するには、誤字脱字などをなくして読みやすくすることと、リサーチを徹底して行うことがポイントになってきます。信頼性が高く、正確な情報を提供するためにも、作成する前に十分なリサーチを済ませておきましょう。
ただし、質の高いコンテンツを作成するには時間と工数がかかってしまいます。リソースを十分に割けない場合は外部の制作会社に依頼することも検討してみてください。
⑥コンテンツの配信・プロモーションを実施する
コンテンツが作成できたら、いよいよ各媒体に配信していきます。配信してからすぐに効果は出ないものの、プロモーションを図ることで結果が出るまでの期間でユーザー数を増やすことができ、検索順位の上昇につながります。
プロモーションでは、例えばコンテンツにSNSに拡散されるようにシェアボタンを設置したり、ユーザーがコンテンツに対して直接コメントを残せるようにしたりする方法があります。また、一度サイトに来訪したユーザーに対してプッシュ通知を設置しておくと、再訪を促すことも可能です。
他にも、リターゲティング広告を活用して別のサイトを訪問している際に自社サイトの広告を表示させたり、インフルエンサーと協力してコンテンツの拡散を依頼したりすることもできます。
⑦定期的に効果測定・改善を行う
一度コンテンツを作成して発信したら、そこで終わりということにはなりません。定期的に効果測定・分析を行い、コンテンツの修正・改善を行っていきます。
コンテンツマーケティングにおいて効果の測定・分析がしやすい指標には、以下が挙げられます。
- 記事数
- セッション数、PV数
- UU(ユニークユーザー数)
- CTR(クリック率)
- シェア率
- CV数(コンバージョン数)
- 回遊率
- 滞在時間
- 自然流入数
滞在時間が短く、前半で離脱されやすいコンテンツに関しては、どこに問題があるかを確認し、より質の高いものへ改善していくことが大切です。
コンテンツマーケティングを成功させるためのポイント
施策を実行するうえで、どのようなポイントを押さえると成功しやすくなるのでしょうか?ここでは、コンテンツマーケティングを成功させるためのポイントを解説します。
検索意図に合ったコンテンツを作成する
まず重要となってくるのは、検索意図に合ったコンテンツを作成することです。いくら質の高いコンテンツが出来上がったとしても、ユーザーの検索意図に合っていなければ意味がありません。
例えばユーザーが「○○について知りたい」と考えて「○○とは」というキーワードで検索した場合、ユーザーが知りたい情報を詰め込んだブログ記事やガイドなどの方が検索意図に合っているとして検索エンジンからも評価を受けやすくなります。また、「○○について比較・検討したい」というユーザーには、比較・検討がしやすい情報を盛り込み、比較表にしてまとめると、ユーザーも理解しやすいでしょう。
コンテンツマーケティングの運用体制を整える
コンテンツマーケティングは長期間にわたって運用することが前提となってくるため、事前に運用体制を整えておく必要があります。もし十分に運用体制を整えていない状態で施策をスタートさせてしまうと、継続的な更新が難しくなってしまい、施策自体が頓挫してしまう可能性もあるでしょう。このようなリスクを回避するためにも、運用体制を整えておくことが大切です。
運用体制を整える際には、チームを構築しておくのがおすすめです。企画からコンテンツの作成、編集、効果測定・分析に至るまで、チームで作業を進めることによって、スケジュールに合わせて滞りなく進められるようになります。
ツールをうまく活用する
運用していく中でコンテンツの作成に時間と手間がかかってしまいます。しかし、スケジュール通りに進めていくためには、効率化を図ることも重要です。コンテンツマーケティングの効率化を図るなら、ツールをうまく活用していきましょう。
例えばCMSやアクセス解析ツール、MAツールなどが挙げられます。CMSはオウンドメディアを運用する際に活躍してくれるツールで、WordPressなどが該当します。CMSは多くのコンテンツを管理でき、テンプレートや自動生成機能などを活用してコンテンツを生み出すことも可能です。
また、アクセス解析ツールはWebサイトのPV数や離脱数、流入元など、コンテンツの効果分析・改善に役立つ情報を取得でき、MAツールはリード管理やスコアリングなどの機能によって効率化を図れるツールです。
外部リソースも活用する
自社だけだとリソースを十分に確保できなかったり、視点が偏ってしまいユーザー目線のコンテンツを作成できなくなったりするケースもあります。そんな時は外部リソースを活用して、コンテンツを作成してもらうのも1つの方法です。外部リソースを活用すれば自社のリソースが不足していても継続してコンテンツを提供でき、しかもプロの制作会社に依頼すれば質の高いコンテンツを生み出すことも可能です。
ただし、外部リソースを活用するということは、その分コストもかかってきます。特にコンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかってしまうため、予算も考慮しつつ外部リソースを活用するかどうか検討することが大切です。
まとめ:コンテンツマーケティングを活用し、自社のマーケティング力を高めよう
コンテンツマーケティングは、ユーザーに有益な情報を提供しながら信頼関係を構築し、自然な形で購買や問い合わせへと導くマーケティング手法です。短期的な効果は見込みにくいものの、継続することで自社のマーケティング基盤を強化できる施策として注目されています。
アイリッジでは、戦略立案からデジタル・リアルを統合した施策の企画・実行までをトータルで支援する「ビジネスプロデュース支援」を展開しています。コンテンツマーケティングをはじめ、CRM構築やアプリ戦略、プロモーション設計など多角的にサポート可能です。課題解決や事業成長を目指すなら、ぜひ一度ご相談ください。
