アプリのオンボーディングとは?UI・UX設計のポイントと成功事例を解説

新規ユーザーがサービスを使い始めた直後に、「わかりにくい」「使いこなせない」と感じてしまえば、そのまま離脱につながる可能性は高まります。
どれだけ優れた機能・価値のあるアプリでも、最初の体験が不十分であれば、その魅力も十分に伝わらないでしょう。
「アプリのオンボーディング」は、初回利用時のガイドやチュートリアル、ナビゲーションなどを通じて、ユーザーの不安や迷いを解消し、スムーズな利用開始を支えるための体験設計です。
本記事では、アプリにおけるオンボーディングの役割や重要性を整理した上で、代表的なUIパターンや設計のポイント、成功事例などを紹介します。
アプリのオンボーディングとは?アプリにおける役割と重要性

「アプリのオンボーディング」とは具体的にどういったものか、よく把握できていない方もいるかもしれません。
まずは、アプリにおけるオンボーディングの役割と重要性について解説します。
アプリにおけるオンボーディングとは
アプリにおけるオンボーディングは、新規ユーザーに向けて使い方を習得するためのチュートリアルやナビゲーション、その導入プロセスなどを指します。
そもそもオンボーディングとは、「乗り物に乗る」という意味で使われる「on board」から派生し、組織やコミュニティに仲間として迎え入れ、順応させることを意味する言葉です。
アプリをダウンロードしても、確実に継続して使用されるわけではありません。
操作方法がわかりづらかったり、最初に説明がなくどこにどの機能があるかわからなかったりする場合もあるでしょう。
そうなると、ユーザーはアプリから離脱する可能性が高いです。
アプリにおけるオンボーディングは、こうした離脱リスクを回避し、継続利用を促すことを目的としています。
HRオンボーディングとの違い
オンボーディングという言葉は、アプリ領域だけでなく人事領域(HR)でも使われています。
HRオンボーディングは、新入社員が会社の社風やルールなどに馴染み、早期に実力を発揮してもらえるようサポートするプロセスです。
入社から戦力になるまでの期間を短縮させるだけでなく、早期の離職防止や、組織への帰属意識を高めて信頼関係を構築することを目的に行われます。
アプリのオンボーディングは、主に新規ユーザーがサービスを使い始める際の体験設計を指します。
HRオンボーディングは社員と組織の関係を構築することを重視しているのに対し、アプリのオンボーディングはユーザーとプロダクトの関係構築を重視している点が大きな違いです。
また、HRオンボーディングは面談やOJTなど、人を介したコミュニケーションを中心としていますが、アプリのオンボーディングはUI・UX設計を通じて提供されます。
人的サポートとプロダクト内の体験という明確な違いもあるのです。
オンボーディングが重要な理由
アプリにおけるオンボーディングは、ユーザーが最初に触れる体験を設計する重要なプロセスです。
初期体験の質によりサービスの第一印象が決まり、継続利用・離脱率などに大きな影響を与えます。
特に近年はどの業界でも競合アプリが増加しており、「使いにくい」と感じると別の選択肢に移ってしまう可能性もあるため、短時間で価値を伝える工夫が必要です。
また、オンボーディングは単に操作説明をするだけに留まらず、「このアプリによって何を得られるか」といった価値を理解してもらう役割も担っています。
さらに、オンボーディングによってユーザーの定着率が高まれば、集客にかかるコストを抑えることも可能です。
このように、オンボーディングはユーザー体験の質を左右するだけでなく、アプリの成長につながる重要な要素と言えるでしょう。
チュートリアル・初期UXとの違い
オンボーディングとチュートリアルは、どちらも同じものを指すように感じられるかもしれませんが、実際には異なります。
チュートリアルはアプリを起動した際に始まる説明やナビゲーションを指しますが、オンボーディングはその説明・ナビゲーションだけで終わらず、初心者から脱却するためのサポート・育成も含まれます。
また、アプリの初期UXもオンボーディングに含まれており、アプリを使いながら理解できるUX設計にすることで、ユーザーの離脱率を防ぐことが可能です。
つまり、オンボーディングと初期UXの設計は密接な関係にあると言えるでしょう。
UXデザインについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
アプリのオンボーディングでよく使われるUIパターンと選び方

アプリのオンボーディングではさまざまなUIパターンが活用されていますが、ユーザー特性によって適切なUIが異なるため、目的に応じて適切なUIパターンを選定する必要があります。
ここで、アプリのオンボーディングで使用されるUIパターンと、その選び方について解説しましょう。
オンボーディングに関連して、ポップアップのUIデザインについて知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
ウォークスルー型
ウォークスルー型は、アプリを起動した直後に3~6枚程度のスライドが表示され、アプリの使用方法や機能などを簡単に説明するUIパターンです。
アプリのオンボーディングで使用されるUIパターンの中でも代表的な手法になります。
「次へ」「スキップ」などのボタンを押さない限りスライドは消えないため、ユーザーへ確実に届けたい情報を提供することが可能です。
ただし、操作が簡単なウォークスルー型でも、たくさんの情報を届けようとしてスライドの量が多くなりすぎると、スライドの途中で離脱する可能性があります。
また、早くアプリを始めたいユーザーにとって、強制的に表示されるスライドを不快に感じる方もいるかもしれません。
パーソナライズ型
パーソナライズ型は、サービス内のコンテンツを選択肢として表示し、ユーザーに選んでもらうことで興味・関心のある情報を、アプリを利用する前から取得できるUIパターンです。
例えば、動画配信サービスを提供するアプリの場合、初回起動時にユーザーが興味・関心のあるジャンルや出演者、配信されている番組や映画などを選択する場合があります。
これにより、初回から一人ひとりのニーズに合わせた提案が可能です。
一方で、パーソナライズ型は情報が偏りやすいというデメリットもあります。
例えば、ユーザーが「スポーツ」に興味があると回答した場合、その後スポーツ関連ばかりおすすめとして表示され、その他のジャンルはおすすめとして表示される回数が減ってしまいます。
また、選択肢が多すぎることでユーザーは負担に感じてしまい、そのまま離脱する可能性もあるため、注意が必要です。
コーチマーク型
コーチマーク型は、アプリの画面を一時的に暗くし、説明したいアイコン・ボタンだけを光らせ、どのような機能なのか説明するUIパターンです。
コーチマーク型によって必要な情報だけ表示できるため、ユーザーは次にどのボタンをタップすればいいのか、どういった機能なのかがわかりやすくなります。
また、操作方法を初回にすぐ把握できるようになるため、ユーザーがマニュアルやFAQを見る必要性を減らすことも可能です。
ただし、コーチマーク型は長すぎる説明には不向きです。
説明が長すぎると、いくらコーチマークだけで必要な情報だけを表示したとしても、ユーザーはすべての情報を読み取れなかったり、読んでもすぐに忘れてしまったりする可能性があります。
また、画面内に存在しないものの説明ができなかったり、ユーザーが思うように動かせないためストレスを感じたりする点にも注意が必要です。
モーダルダイアログ型
モーダルダイアログ型は、画面にダイアログボックスを表示させ、他の要素を操作できなくするUIパターンです。
ユーザーが表示を消すまで表示されるため、例えばユーザーに対して確実に注意事項などを見てもらいたい、キャンペーン情報を届けたい場合などに適しています。
ただし、モーダルダイアログ型はユーザーの行動を強制的に中断させ、情報を届けることになるため、頻度や表示されるタイミングによっては、ユーザーは不快に感じてしまうかもしれません。
また、ユーザーがアプリを操作する中でダイアログが表示されると、情報を確認しないまま削除されるケースもあります。
そうなるとモーダルダイアログ型を取り入れた意味がなくなってしまうため、ワークフローを妨げることなく頻度や表示タイミングに配慮することが大切です。
通知バッジ型
通知バッジ型は、アイコンの右上などに赤丸などのマークを表示することで、未読の情報やコンテンツがあることをお知らせしてくれるUIパターンです。
モーダルダイアログ型とは異なり、ユーザーのワークフローを中断させることなく、新情報や機能の存在を伝えることができます。
ワークフローが中断されないことで、ユーザーは自分のペースでアプリ内の情報を確認できるようになり、ストレスを感じることも減らせるでしょう。
通知バッジ型のデメリットとして、ユーザーは通知バッジを消す行為だけに集中してしまい、届けたい情報やコンテンツなどが認識してもらえない可能性があります。
また、通知バッジはあくまでユーザーに気づかせるためのものであり、誘導した後のコンテンツの説明や、コーチマークやモーダルダイアログといった他のUIパターンを活用することになるでしょう。
エンプティステート型
エンプティステート型は、その画面でまだ表示できるコンテンツがないときに、どのようなアクションを取るべきか説明するUIパターンです。
例えば、アプリに表示されるコンテンツに対してお気に入り登録ができる場合、まだ何もお気に入り登録していない状態で「お気に入り一覧」をタップしても、表示できるコンテンツがありません。
この画面で「お気に入り登録をしたコンテンツが並びます」などと説明したり、お気に入り登録のやり方を表示したりすることで、ユーザーに機能の使用を促せます。
ユーザーにとって次にすべき行動がわかりますが、ユーザーによっては不要な情報となってしまう場合もあります。
また、該当するページを開くまでその情報を伝えられない点にも注意が必要です。
チェックリスト型
チェックリスト型は、ユーザーにしてほしいことをリスト化し、誘導するUIパターンです。
ユーザーはやるべきことがタスクとして表示されるため、一つひとつのタスクをクリアするごとに達成感を得ることができ、さらに使用方法などの理解にもつながります。
達成感はアプリを利用するモチベーションにもなり、継続利用を促すこともできるでしょう。
一方で、ユーザーにとって難しいアクションがタスクに含まれていると、いつまでも消化できない状態が続いてしまい、ストレスを感じてしまう可能性があります。
UIパターンの選び方
アプリにおいて最適なオンボーディングを設計するためには、オンボーディングの全体設計をし、それぞれの情報をいつどのように出すかを明確にしてから、各情報に適した手法を取り入れることが重要です。
そのため、どれかひとつを選ぶのではなく、ユーザーの状態や伝えたい情報によって最適な手法を選択します。
例えば、アプリの利用開始時にはウォークスルー型やコーチマーク型など、必要な情報や操作を一連の流れとして伝えられるUIが最適です。
一方で、最初に必ず伝えたい情報でなければ対応した機能のページに遷移した際にダイアログを表示させるなど、伝えるべき優先度によって、オンボーディングの開始タイミングをずらすことで、ユーザーが情報を理解しやすくなり、アプリの操作やベネフィットの理解促進、継続率を向上させることにつながります。
オンボーディング設計の基本原則と実践ポイント

実際にアプリでオンボーディングを設計する場合、基本原則に加え、いくつか実践ポイントを押さえておく必要があります。
ここで、オンボーディング設計の基本原則と実践ポイントを解説していきましょう。
ユーザー中心設計を最優先にする
オンボーディング設計でまず重要なのが、ユーザー中心設計を最優先にすることです。
企業としてはアプリを通じて伝えたいことや、ユーザーにやってほしいことがありますが、それよりもまず「ユーザーは何を知りたいのか」「アプリを通じて何を達成したいのか」「どこにつまずきやすいか」といった視点を最優先にすることが重要となります。
ユーザーのペルソナや利用シーンを明確にすることで、初回利用時の行動や心理状態を具体的に想定できると、過不足のない導線設計が行えるでしょう。
例えば、初心者・上級者で異なる表示になるよう設定したり、機能の説明を確認できるヘルプ・ガイドボタンを設置したりするなどです。
これにより、ユーザーは自分のペースで機能などを学んでいくことができます。
最初に「機能」ではなく「価値」を伝える
アプリによっては、初回起動後すぐにアプリの機能説明から入るケースも少なくありません。
しかし、ユーザーの継続的な利用を促すためには、まず「何ができるのか」よりも、「このアプリによって何を得られるのか」といった価値を伝えることが重要となります。
特に、多機能なアプリになると主要な機能を説明するだけでも時間がかかってしまい、ユーザーの離脱につながる可能性があります。
こうした状況を回避するためにも、アプリを使うことで得られる成果や変化を提示し、利用する意義を理解してもらうことが重要です。
その上で、必要な機能などを紐づけて説明すると、ユーザーは納得感のある体験を得られるでしょう。
情報は段階的に提示し体験しながら理解させる
オンボーディング設計において、情報は段階的に提示し、体験しながら理解させることが重要となります。
例えば、アプリの初回起動時に大量の情報が提示されてしまうと、ユーザーは混乱し、理解しきれないまま離脱する恐れがあります。
そのため、オンボーディングでは情報を小出しにし、実際の操作とセットで学べる設計が有効です。
例えば、初回起動時はあくまで基本的な機能だけを説明し、高度な機能はユーザーがその機能にたどり着いた際に説明します。
他にも、特定の機能を使うタイミングで簡単なガイドを表示し、必要なときに必要な情報を提示するようにします。
これにより、ユーザーは負担を感じることなく自然にアプリの使い方を習得できるはずです。
ユーザー行動に応じて体験をパーソナライズする
オンボーディング設計を最適化するためにも、ユーザーの行動データや選択内容に応じて、体験をパーソナライズすることも大切です。
アプリを利用するユーザーの目的やスキルレベルは人によって異なります。
そのため、すべてのユーザーに対して同じオンボーディングを提供しても、最適とは言えないでしょう。
特定の機能を使いこなしているユーザーには説明不要ですが、その機能をまだ使っていないユーザーも存在します。
こうした行動に対して、使いこなしているユーザーには説明を省き、まだ使ったことがないユーザーには丁寧な補足を取り入れるなどの工夫が重要です。
体験をパーソナライズすることで、ユーザーの満足度と定着率の向上が期待できます。
スキップや後回しなどユーザーの自由度を確保する
ユーザーの自由度を確保することも、オンボーディング設計において重要となります。
オンボーディングはアプリ内で重要な導入プロセスを果たしますが、すべてのユーザーが丁寧な説明やナビゲーションを求めているわけではありません。
すでに類似するアプリ・サービスを利用したことがある人にとっては、早く始めたいのに説明のせいで先に進まず、ストレスを抱えてしまう可能性もあります。
説明が不要なユーザーに対しては、スキップや後回しできる機能を追加し、ユーザー自身がアプリの進め方をコントロールできる設計にすることが大切です。
ユーザーの自由度を確保することで、満足度を損なわずにオンボーディングを提供できます。
迷わせない導線設計で次の行動を明確にする
アプリのオンボーディングでは、「次に何をすればいいのか」が直感的にわかることが重要です。
ボタンやナビゲーションの配置、テキストの表現などを工夫しつつ、迷わずにアプリ内の機能を使えるように設計します。
明確な導線を提示することで、離脱を防ぎつつ目的達成もスムーズに導けるでしょう。
例えば、コーチマーク型を活用することで段階的に機能を説明でき、自然な体験によってユーザーは迷うことなく次のアクションに移れます。
また、チェックリスト型もユーザーのアクションがリスト化されており、何をすればいいか迷っている方のサポートにつながります。
小さな成功体験を設計して価値を実感させる
ユーザーにアプリを継続して利用してもらうためにも、早い段階で「このアプリを選んでよかった」と感じてもらう必要があります。
アプリに価値を見出し、実感してもらうには、短時間で達成できる小さなゴールをいくつか設定し、成功体験を積み重ねられるようにすることが大切です。
例えば、機能の習得度に合わせてバッジを付与したり、簡単な操作で成果が見える機能を最初に体験させたりすることで、アプリの価値を実感しやすくなります。
また、ゲーム的な体験により、ユーザーはアプリやサービスについて学習したり、会員登録をしたりするハードルも下がりやすいです。
小さな成功体験を積み重ね、ユーザーがアプリの価値を実感できるように、オンボーディングを設計しましょう。
オンボーディング支援ツールを活用する
オンボーディングを効率的かつ効果的に実装するには、オンボーディング支援ツールやSaaSを活用するのも1つの手です。
ツールを活用することで、チュートリアルの作成やユーザー行動に応じたガイド配信などを実現できます。
また、ツールによってはノーコードでナビゲーションなどを作成できるものもあり、開発のリソースを大きく割かずに顧客体験の改善を目指すこともできます。
自社の体制や目的に合わせて、適切なツールを選定することでオンボーディングの成果を高められるでしょう。
オンボーディングの効果を測定・改善できる仕組みを組み込む
効果的なオンボーディングに設計していくには、KPIに基づいて効果を測定し、継続的に改善していくことが大切です。
そのため、どのステップで離脱が起きているのか、どの機能がよく使われ、逆にどの機能があまり使われていないのかなどのデータを可視化し、効果を測定・改善できる仕組みを組み込む必要があります。
KPIとしては、初回完了率や継続率、機能利用率などが主な指標となります。
これらのデータに基づいて改善を重ねることで、より高い成果を生み出すことができるでしょう。
オンボーディング設計において、ユーザー行動の分析や指標設計も重要です。
アプリの分析指標や改善方法については、以下の記事もあわせてご覧ください。
アプリのオンボーディングの成功事例

実際に効果的なオンボーディングを設計したアプリをリリースし、成功した事例はいくつも存在します。
ここでは、国内アプリ・海外アプリの成功事例と、成功事例からわかるオンボーディング設計の共通点について紹介します。
国内アプリのオンボーディング成功事例
国内アプリの成功事例として、まずコーナン商事がリリースする「コーナンアプリ」が挙げられます。
コーナンアプリはコーナン商事の決済サービス「コーナンPay」やクーポン配信機能、CRM連携機能などを有しています。
アプリ利用が一過性で終わらないように、LINEとの連携強化を図り、お得なキャンペーン情報やクーポンを配信する仕組みを整えています。
また、直感的に使えるUI・UXデザインにより、年代を問わず幅広いユーザーが利用できるアプリとなりました。
「ブックオフアプリ」もオンボーディング設計に成功したアプリの1つです。
ブックオフアプリはポイントカードのデジタル化を目的に開発され、現在は会員数1,000万人を超えるアプリに発展しています。
ブックオフアプリではユーザーの使い勝手を考え、クーポンの利用ボタンを画面上に固定させました。
さらに、クーポンのバーコードを表示する画面には必要な情報を記載し、店舗スタッフがすぐ確認できるようにしています。
これにより、ユーザーの体験価値を高めることに成功しました。
成功事例を通して、導入前の課題や使われ続けるアプリにするための工夫、実際の成果などがわかります。
詳しく知りたい方は、ぜひ以下の成功事例もご参照ください。
海外アプリのオンボーディング成功事例
海外アプリのオンボーディング成功例として、「Slack」が挙げられます。
ビジネス用のチャットアプリとして活用されているツールです。
Slackはただコミュニケーションが取れるだけでなく、多岐にわたる機能が搭載されていますが、オンボーディングでは特に重要な機能としてチーム内でのコミュニケーション、関連テーマごとに情報を管理できるチャンネル機能、ダイレクトメッセージ機能の3つだけを最初に紹介しています。
また、ゲーム感覚で言語を学べる「Duolingo」は、最初に学びたい言語を設定し、学びたい理由や目標をアンケート形式で定めていきます。
このアンケート形式によってコースのレベルが調整され、その後いきなりレッスンに入り、問題を解いていくことになります。
アプリのアカウント登録を促す画面やTOP画面はレッスン後に表示されるため、まずはDuolingoの魅力でもある「ゲーム性」を体験できるようになっているのです。
成功事例から見るオンボーディング設計の共通ポイント
国内外アプリのオンボーディング設計で成功した事例を見ると、共通点として「ユーザー視点」を重視していることがわかります。
「企業側がアプリを通じて提供したいこと」よりも、「ユーザーが体験したいこと、得たいこと」を優先し、オンボーディングに組み入れることでユーザーの定着率を高めていると考えられるでしょう。
また、混乱や離脱を防ぐためにフローを簡素化している傾向もみられます。
段階的に機能を開示したり、まとめて説明するよりもそれぞれのフローで必要な場面に説明を入れたりすることで、アプリの利便性も高めています。
オンボーディングで失敗しやすいポイント

アプリのオンボーディングを実現しようとした結果、失敗するケースもあるでしょう。
具体的にどのような点に注意すればいいのでしょうか?
ここで、オンボーディングで失敗しやすいポイントを解説していきます。
初回に情報を詰め込みすぎてユーザーが理解できない
アプリの機能や魅力をたくさん伝えようとしすぎて、初回に情報を詰め込みすぎてしまうと、失敗に陥りやすいです。
例えば多機能アプリで初回にすべての機能を説明しようとすると、ユーザーは結局どの機能をどのように使えばいいか理解できず、そのまま離脱する可能性があります。
このような状態を回避するためにも、初回の説明やチュートリアルでは基本となる機能だけの説明に留めておき、使用状況に合わせて少しずつ情報を提供することが大切です。
例えば、通知バッジ型やエンプティステート型を取り入れることで、ユーザーのペースで他の機能の説明を進めることができます。
アプリの価値を体験する前に登録や設定を求めてしまう
まだアプリの価値を体験していないにもかかわらず、いきなり会員登録や設定を求めてしまうと、ユーザー離れを引き起こしてしまいます。
ユーザーはアプリをダウンロードしても、具体的なメリットまでわかっていない場合もあり、そのような状況でいきなり登録を求められると不快に感じたり、面倒だと思ったりするケースも少なくありません。
そのため、オンボーディングで失敗しないためにも、いきなり会員登録や設定を求めるのではなく、アプリの価値について説明することが大切です。
アプリの価値が伝わり、ユーザーにとって利用するメリットがわかれば、利用意欲の向上も期待できます。
操作が複雑で直感的に使い始められない
いくらオンボーディング設計で丁寧な説明を入れたり、ユーザーのペースで進められる仕組みを取り入れたりした場合でも、その操作方法が複雑で直感的に使い始められないと、ユーザーの離脱率も高まってしまいます。
そのため、オンボーディングに限らず、アプリ全体の設計として「シンプルで使いやすい」ことを意識することが大切です。
そもそもユーザーにとってアプリは、特定のタスクにおいてより便利に、より達成しやすくすることを目的にダウンロードをする方も多いです。
この特定のタスクを達成するまで時間がかかったり、ストレスを感じたりするようでは、他の競合アプリに移ってしまう可能性があります。
あくまでシンプルでわかりやすく、使いやすいと感じられるアプリに仕上げることが大切です。
ユーザーの目的やレベルを考慮せず一律の導線になっている
すべてのユーザーに対して同じオンボーディングを提供し、一律の導線になっていると、ユーザー一人ひとりの体験を最適化するのが難しくなってしまいます。
例えば、初心者のユーザーは「説明不足」に感じてしまったり、逆に上級者は「冗長で不要」だと捉えられたりしてしまいます。
どのユーザーにとってもわかりやすく、体験しやすいアプリにするためにも、オンボーディングではユーザーの利用目的やレベルなどに考慮した導線に調整することが大切です。
セグメントごとに最適なフローを用意したり、行動に応じて提供する情報を変えたりするなど、パーソナライズされた設計がユーザーの離脱を防ぎます。
オンボーディングをスキップできずストレスを与えている
アプリをダウンロードしたユーザーの中には初めて利用する方もいれば、すでにアプリの使い方をわかっている方もいます。
そのようなユーザーに対して、オンボーディングを強制的に最後まで見せるように設計してしまうと、すぐ使いたいユーザーにとって大きなストレスを感じやすいです。
ユーザーに快適なアプリ体験を提供するためにも、オンボーディングをスキップ・後回しできる選択肢は用意すべきです。
スキップや後回しを入れることによって、ユーザー自らがアプリをコントロールできるようになり、ストレスを軽減しつつ満足度を高められます。
メリットではなく機能説明ばかりになっている
オンボーディングで機能の説明に終始してしまうと、ユーザーはこのアプリで何ができるのか理解できず、離脱につながる可能性があります。
アプリを利用する上で機能説明はもちろん重要ではありますが、そればかりではなく、アプリを利用する価値・メリットについても紹介することが大切です。
機能からどのような成果を得られるのか、どのような変化が見られるのかを伝えることで、ユーザーはアプリを利用した際のイメージが膨らみ、利用意欲が向上します。
また、ユーザー目線で価値を提示し、その価値を実現する手段として機能を紹介することで、納得感のある体験につながります。
実施して終わりになり、効果検証や改善をしていない
オンボーディングは、アプリ開発時に設計すればそこで終わりというわけではありません。
継続的に見直し、改善を図ることでより良いアプリ体験をユーザーに提供できます。
しかし、アプリによっては実装後に効果検証は特に行わず、放置するケースもあるでしょう。
オンボーディングは継続率や完了率、利用状況などのデータを定期的にチェックし、課題を特定した上で改善を繰り返すことが重要です。
検証と改善のサイクルを回すことにより、さらに大きな成果を生むオンボーディング設計に進化させることもできます。
オンボーディングの効果測定のポイント

オンボーディングは「導入・実施して終わり」ではなく、数値で効果を把握しながら改善を重ねることが重要です。
ユーザーがどの段階で離脱しているのか、どの体験が定着につながっているのかを可視化することで、より精度の高い改善施策を実行できます。
ここでは、代表的な指標とその見方、ポイントなどを解説します。
初期継続率(Day1・Day7・Day30)を確認する
オンボーディングの成果を測る際に、「初期継続率」は特に重要な指標の1つです。
一般的にDay1(翌日継続)、Day7(1週間後)、Day30(1カ月後)のタイミングで、どれだけのユーザーが利用を続けているか確認します。
特に、Day1の数値が低かった場合、ユーザーはアプリをダウンロードしてから翌日には継続を止めていることになるため、初回体験に課題がある可能性が高く、オンボーディングの見直しが必要です。
一方、Day7とDay30でユーザーの継続率が大きく下がった場合、初期体験後の価値提供や導線などに問題があると考えられます。
また、タイミングごとの変化を分析することでも、改善すべきポイントを特定しやすくなるでしょう。
オンボーディング完了率を計測する
オンボーディング完了率とは、新規ユーザーのうちオンボーディングで設定したプログラムを完了した顧客の割合を示す数字です。
顧客がアプリの機能やサービスについて理解し、活用できる状態かを数値で表します。
完了率が低かった場合、オンボーディングのフローで離脱するユーザーが多いことになります。
完了率が低くなる理由としては、ステップ数の多さや内容のわかりにくさ、機能説明ばかりで価値を説明できていないことなどが挙げられます。
原因を特定し、問題が改善されれば、オンボーディングやアプリ全体の体験品質が高まるでしょう。
主要機能の利用率・到達率を見る
オンボーディングを導入する目的は、ユーザーにアプリやサービスの価値を理解してもらい、継続的な利用につなげることです。
そのため、アプリのコアとなる機能がどれだけ利用されているか、さらにその機能に到達できているかなどを確認することも重要となります。
もし、コア機能が実行されていなかった場合、導線や説明が不十分だった可能性が高いです。
利用率や到達率を指標にすることで、ユーザーがアプリ本来の価値にたどり着けているか客観的に判断しやすくなります。
そのため、オンボーディングの導線を確認する上でも、主要機能の利用率・到達率をチェックするようにしましょう。
オンボーディング途中の離脱ポイントを把握する
オンボーディング設計を改善していくには、「どこでユーザーが離脱しているか」も正確に把握することが大切です。
単に完了率を見るだけでなく、ステップごとの遷移率や離脱率を細かく分析することで、原因を特定し、具体的な改善策を講じることができます。
例えば、アプリを始める際の会員登録のフォーム画面で、入力項目が非常に多い場合、ユーザーは面倒に感じて離脱する可能性が高まります。
ステップごとに細かく分析する中でその原因が判明すれば、会員登録画面を後回しにしてまずはアプリの価値を届けるようにしたり、入力項目を減らしたりするなどの対策を講じられます。
このように、課題を可視化して改善することで、完了率やユーザー体験の向上にもつながるでしょう。
アクティベーション指標(価値体験の達成率)を測る
オンボーディングの最終的な目的として、ユーザーにアプリやサービスの価値を実感してもらうことが挙げられます。
そのため、「どれくらいのユーザーが価値体験に到達・達成したか」を示すアクティベーション指標を設定することも重要です。
また、アクティベーション率を追跡することで、UXやフローが合理的か判断する際にも役立ちます。
例えば、SNSなら「初投稿」、タスク管理アプリなら「1つのタスク作成と完了」など、各サービスによって価値を象徴する行動を定義します。
この指標を追うことで、実際の利用定着につながるオンボーディングか判断することも可能です。
A/BテストでUI・文言の効果を比較する
オンボーディングの最適化を図るには、仮説に基づき改善と検証を繰り返すことが大切です。
この検証に役立つのが、「A/Bテスト」になります。
A/Bテストでは、UIのレイアウトやボタンの配置、説明文の表現など複数のパターンを用意し、それぞれの成果を比較します。
これにより、どのレイアウト・表現などが高い効果を示すのか見極めることが可能です。
感覚や経験だけに頼るのではなく、データに基づいて判断することで、再現性のある改善性も実現できます。
継続的にA/Bテストを実施し、小さな改善を積み重ねていくことが大切です。
オンボーディングの改善は、継続率や離脱率の変化を見ながら継続的に最適化することが重要です。
アプリユーザーの離脱要因やリテンション向上の具体策をまとめた資料は、以下より無料でダウンロードいただけます。
▼アプリユーザーの継続率をUP
離脱する5つの理由とリテンションのテクニック集
定量データとユーザーフィードバックを併用する
オンボーディングを改善させる上で継続率や完了率、離脱率などの定量データは「どこに問題があるか」を把握できますが、「なぜ問題が起きているのか」まで明確にできません。
そこで、定性データとしてユーザーのフィードバックを併用することで、ユーザーが何に不満を抱いているのか、深く理解できるようになります。
例えば、特定のステップで離脱率が高かった場合、「情報量が多い」「内容が難しい」など複数の要因が絡んで離脱につながっているケースもあります。
こうした複数の要因も、ユーザーの声から見えてくる場合も多いです。
データとユーザーからの声という両面からアプローチをすることで、実効性の高いオンボーディング改善につながるでしょう。
オンボーディングを継続的に改善し、ユーザー定着を高めよう

オンボーディングはアプリ開発時に設計して終わりというわけではありません。
A/BテストでUIデザインや文言の効果を比較し、より効果を高めるためにデータ分析や仮説検証を実施して、オンボーディングの改善を繰り返し行っていきます。
継続的に改善・検証を実施することで、ユーザーの離脱を防ぐだけでなく、アプリ全体の使いやすさや印象などの向上につながります。
アイリッジの「アプリ成長支援」では、オンボーディングの改善も含め、企画からリリース後のマーケティング支援、データ分析まで総合的にサポートすることが可能です。
アプリが使われない・アプリを作ったものの売上にどうつなげればいいのかわからないなどの悩みを持つ方は、アイリッジまでお気軽にご相談ください。






